表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

13

「ここまでくるのにわざわざ険しい山道を登ってきたのか。それはご苦労なこったのぉ」ダインスレイフはボクらを憐れんだ。

 近道がある、といってダインスレイフにつれてこかれたのは冥府の山の山腹にできた洞窟だった。松明を片手に洞窟の奥まですすむと頑丈そうな鉄の扉があらわれた。鉄扉には、いくつもの錠がかかっており、何本もの鎖で遮られていた。みるからに不穏な空気を漂わせている。

『ここは……』グリムも緊張しているようだ。

「ここは冥府の地下牢じゃ。悪夢の国でも最悪の罪人どもが投獄されとる」

「罪人! こ、ここを通るんですか」ボクは心配になった。

「近道じゃからな」

 ダインスレイフはそういうと、腰の剣を抜いた。剣を大上段に構えると真っ向斬りに振り下ろして、錠やら鎖やらすべてを一刀両断にした。

「さあ、ゆくぞ。一応ワシが全部斬るつもりだが、もし斬り漏らしたら、自分の身は自分で守れ。そこまで面倒みんぞ」とダインスレイフは言い捨てた。

 地下牢は迷路のように複雑な構造だったが、ダインスレイフは迷うことなくスタスタと進んでいった。彼の足は速く、ボクはついていくのに精一杯だった。

 地下牢の壁には等間隔に松明がささっていたから真っ暗闇ではなかったが、それでも薄暗く視界がわるかった。気をぬくと、ダインスレイフの背中を見失って、はぐれてしまいそうだった。

 それに、ひどい悪臭がする。汗、体臭、口臭、腐敗臭、糞尿、血などの臭いが混ざりあったような、とにかくひどい臭いだった。

 突然、前方から獣のような咆哮がした。が、すぐに咆哮は途切れ、「ドサッ」となにかが落ちるような音がした。ダインスレイフのあとについて進んでみると、おぞましい肉片があたりを汚していた。おそらくダインスレイフがなにかを斬ったのだろう。

 その後もおなじようなことが繰り返し起きた。ダインスレイフのあとには、あちこちに飛び散った肉片と体液が残された。原形をとどめていたとしても、たぶんこれはボクがみたこともない未知の生き物だろう。

 地下牢は七階層まであった。ダインスレイフは各階をすみずみまで探索し、地下牢に潜むモノたちを斬ってまわった。その階層で斬るモノがなくなると、下の階層に降りて、またおなじことを繰り返した。

 ダインスレイフが罪人を斬り漏らすことはなかった。ただボクは、地下牢を出るころにはダインスレイフの恐ろしさを身に染みて理解していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ