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話します

今日、一回目の投稿になります。

「母上、大事な話があるから、人払いをしてくれ」

アルが、コリーヌ様に頼んだ。


コリーヌ様は驚いたように目を見開いてから、

「ライラちゃんと結婚したいなんて言うのは、まだ早いわよ」

と微笑む。


「違うっ!」

むきになって言うアル。


私たちを見るメイドさんたちの生暖かい視線が痛い…。


「ほんとに全然違います! そういうのは、これっぽっちもないですから!」

たまらず私も否定する。


コリーヌ様がクスッと笑うと、

「それは残念だわ」

そう言って、すぐに人払いをしてくれた。


私たち三人だけになると、アルが真剣な顔でコリーヌ様に言った。

「今から、ライラの特別な能力のことについて話す。俺と母上を信用してくれて話してくれるんだ」


コリーヌ様は少し驚いた表情をしたが、すぐに、うなずいた。


私は、大きく深呼吸をしてから話し出した。


「私は人に黒い煙みたいなものが見える時があるんです。それは、他の人から受けた邪気なんだと思います。

何故だかわかりませんが、それを私は手ですいとることができるんです。しかも、すいとると私の手の中で、その邪気は花の種に生まれ変わるんです。なんか手品みたいなんですけどね」


コリーヌ様は、興味深げに聞いてくれている。


「実は、コリーヌ様には、頭のところに黒い煙が見えて、勝手にすみませんが、玄関からこの部屋に来るまでの間に、後ろを歩きながら、少しだけ取りました。これが、その時の花の種です」

そう言って、ドレスのポケットから小さな花の種をとりだした。そして、手のひらにのせて見せる。


身をのりだして見る、コリーヌ様。

「こんな種、見たことないわ。変わった感じの種ね…」


と、言葉を選んで話されてるけど、要は、不気味だもんね…。

それもそのはず。この種は小さくてよく見えないけれど、赤に黒で何か模様みたいなものが浮きだしている。


「人の邪気からできるせいか、変わった色や形が多いんです。文字や図形が浮きだしてくるものもあります」


「ライラはそれを庭に植えてるけど、どれも不気味な花が咲くんだ」

と、アルが口をはさむ。


「植えてるの? ライラちゃんは大丈夫なの?」

と、心配な様子で聞いてくるコリーヌ様。


私は、大きくうなずいた。

「はい! もとが邪気でも、自分の手の中で生まれ変わってるんで、不気味でも、なんだかかわいくて…。

それに、かぶれたりもしないんですよ。アルもすごく心配してくれるんだけど、大丈夫です!」


「その花たちは、また次の年も咲くの?」


「それが、一度きりなんです。どの花も咲き終わると、跡形もなく、茎もすべてが消えるんです。

なんか、その様子が、邪気が浄化されていくような気がして、嬉しいんです。

だから、どの種もすべて植えます。ひとつも同じ花はないんですよ!」

と、私が興奮気味に説明する。


すると、コリーヌ様は、

「花として生まれ変わって、全うできて、ライラちゃんに感謝してるんでしょうね。

そういえば、ライラちゃんの瞳って、きれいなグリーンよね。やっぱり、植物に縁があるんでしょうね。まぶしいほどの金色の髪の毛は太陽の光みたいだし、妖精みたいだわ」

と、優しく微笑んだ。


「妖精だなんて! とんでもない!」

ぶるぶると頭を横にふる私を、おもしろそうにコリーヌ様が見つめる。


そんな風に言ってくれるなんて、やっぱり、女神様は優しいね。しっかり、黒い煙をすいとってしまわないと!

やる気で、力がみなぎってきた!


「信じがたいことかと思いますが、コリーヌ様の黒い煙を取らせてもらってもいいですか? さっき、少ししか取れてないけど、ましになったのなら、病気じゃなくて、邪気がついてるだけかもしれないですから。頭痛が治るかもしれませんし」

私が力をこめて言うと、


「ありがとう、ライラちゃん。あなたのことは信用してるわ。なんといっても、この用心深いアルが信用してるんだもの。それに、私の頭痛、いろんなお医者さんに見てもらったけど、原因がわからないの。どこも異常はないそうよ。それでも、治らないから療養に来たのだけれどね。ライラちゃんには負担がないのだったら、お願いできるかしら?」


「私は全然大丈夫です! 取りすぎて疲れることもあるけど、花に癒されたら、何故かすぐに治るんです! 是非、取らせてください!」

張り切る私に、


「母上のことを頼む、ライラ」

と、アルが言った。

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