アルのお土産 21
不定期な更新ですみません!
アルが、ジュリアンさんの頭にふらせた種をひろいながら、ずっと考えていた私。
浮かび上がってきた疑問を、アルに聞いてみた。
「つまり、コリーヌ様についていた邪気も、グリシア侯爵家の人が関わってたってことよね。ジュリアンさんのように、イザベル様なのかな…? イザベル様はコリーヌ様と接点があるの?」
アルは首を横にふった。
「いや、全くないな。母上が、あの女と2人で会うことは絶対にない。グリシア公爵家の人間を警戒してるからな」
「そう…。うーん…」
「ライラ、何が気になっている?」
「ジュリアンさん同様、コリーヌ様の邪気もすごく強かったんだよね」
「ああ。ライラは、母上の邪気をすいとってくれた後、意識を失ったからな」
「私が、今まで、すいとった邪気で、特別強いと思ったのは、コリーヌ様とジュリアンさん、それとパトリックなの」
「つまり、その3人に通じる点があるということか…?」
感のいいアルが、すぐに聞いてきた。
私はうなずく。
「パトリックは、口から、体の中に邪気をいれられていた。ジュリアンさんは手にすりこまれた。つまり、2人とも、直接、邪気をつけようとする人間に触れられて、邪気をつけられているってことなんだよね…。そう考えると、コリーヌ様もそうなのかなって思ったの」
「え? ちょっと待って、ライラちゃん! パトリックは口から邪気を入れられてたって何? それ、どうやって?」
ジュリアンさんが驚いたように聞いてきた。
ダンッ!
すごい音がした。見ると、アルが、テーブルに手を叩きおとしている。
その横には、ジュリアンさんの手が…。どうやら、すれすれのところを叩いたみたい。
「こわっ…! おい、アル。俺の手にあたるだろ?!」
「次はあてる」
「いやいや、なんで? ちょっと、なに、怒ってんの?!」
「ライラに変な質問をするからだ」
「は…? どこが変なんだよ?!」
「そんなこと、ライラに言わすな!」
アルが、ジュリアンさんにすごむ。
パトリックのこと、アルは気をつかってくれてるんだね…。
「アル。別にいいよ。パトリックはね、アンナさんから口移しで邪気をいれられてたの」
「…はあ?! …口移しって、キス?!」
ジュリアンさんが叫んだとたん、アルに、今度はガッと椅子をけられている。
ジュリアンさんが、そこで、はっとしたように、申し訳なさそうに私を見た。
「あ、ごめんね…、ライラちゃん。パトリックって、ライラちゃんの元婚約者だったよね。ライラちゃん、その様子を見たの…?」
「ええ、あのパーティーの時、しっかり見たわ」
私が、はっきり言いきると、ジュリアンさんが、やけに気づかうような視線をなげてくる。
「大変だったね、ライラちゃん…」
「うん。次から次へと邪気があふれでてたからね。すいとるのは大変だった。まあ、でも、その時は、驚きのほうが大きかったかも。だって、アンナさんからでる黒い煙が、パトリックの体内に注入されてたんだもの! 邪気をつけられているところを見るのは、初めてだったから」
「あ…いや、そういうんじゃなくて…。ええと、…傷ついたんじゃない? 婚約者のそんな姿を見せられて」
「ん? …あ、そっち? いえ、それは全く。パトリックのことは苦手だったし」
「なるほど…。ライラちゃんの口調から、本当に、パトリックのことが好きではなかったのが伝わってくるよ…。ごめんね、ライラちゃん。話の邪魔をして」
と、ジュリアンさん。
私は首を横にふった。
「じゃあ、話しをもとに戻すね…。つまり、私は、コリーヌ様の邪気も、だれかに触れられてつけられたと思うのよね。でも、邪気がついていた場所は頭。コリーヌ様の頭を触れられる人なんて、相当限られてるでしょ…。どうなの、アル?」
「ああ、そうだな。母上の頭に触るとなると、…髪の手入れをする侍女か、あるいは、髪結師ぐらいか…」
アルの目が、一気に鋭さを増した。
ちなみに「パトリック事件」の詳細は、本編にあります。
間があきすぎてしまっているので、読みづらかったらすみません!
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