表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/77

アルのお土産 8

もうしばらく、「アルのお土産」編が続きます。よろしくお願いします。

アルの「邪気、か?」という質問に、ジュリアンさんに不審に思われないよう、私は、小さくうなずいた。


そのとたん、アルが破顔した。

喜んでいることがすごく伝わってくる無邪気な笑顔。


私の胸が一気に、ドキドキしはじめた。


ちょっと、その顔はずるい! 

至近距離で、そんな笑顔を見せられたら、どうしていいか、わからないんだけど?!


とりあえず、破壊力のある笑顔から目をそらす私。


すると、コホンと咳ばらいが聞こえた。ジュリアンさんだ。


「ちょっと、おふたりさん。俺を忘れてない?! 俺の右手が痛いって話から、なんで、そこだけ、そんな甘い空気が流れはじめるの?! ライラちゃんなんて、顔が真っ赤だし。痛みが増すから、ひとりにしないで?」

と、拗ねたように言うジュリアンさん。


…って、今、私、顔が真っ赤なの?! ダメだわ! 

恥ずかしくなって、更に顔が熱くなってきた。あわてて、手で顔をあおぐ私。


「あー、悪いな、ジュリアン。ライラしか目に入らなくて」

そう言いながら、ジュリアンさんのほうを振り返ったアル。


ぎょっとしたように、目を見開くジュリアンさん。


「え…、アル、どうした?! なんだ、その無邪気な笑顔は?」


「無邪気な笑顔?」

アルが、笑顔のまま聞く。


「ああ…。すごい、いい笑顔だ。王都にいる時に見せる、取り繕った笑顔じゃなくて、心底嬉しそうだ。…アル、そんな顔ができたのか? 俺は、アルとは子どもの頃からの付き合いだけど、こんなに嬉しそうに笑うアルを一度も見たことはない。これも、ライラちゃんのおかげか…。こんな無邪気に笑うアルをひきだすなんて、恐るべし、ライラちゃん…」

そう言いながら、私を感心したように見つめるジュリアンさん。


とたんに、アルの笑顔がひっこみ、鋭い視線でジュリアンさんをにらんだ。


「おい、そんなに見るな。ライラが減るだろ?」


ジュリアンさんが、ぷはっとふきだした。

「減るって、なに? 笑えるんだけど…! ほんと、アルの独占欲がすごくて笑える…! 笑ったら手に響いて痛いのに笑える…!」


またもや、笑えるを連呼しながら、笑い転げるジュリアンさん。


そして、ジュリアンさんの笑いの波がおさまった時、アルが、ジュリアンさんの右手を見ながら聞いた。


「で、その右手、一体いつから、痛いんだ?」


「10日くらい前かな。突然、右手が痛くなりはじめて、動かしにくくなった。肩も重いし、特に手首から先が痛い。何人かの医者にも診てもらったが、理由はわからないって」

そう答えると、ジュリアンさんは、右手のジャケットの袖口を少しまくった。


「ほら、見た目は腫れてもないし、なんの異常もないだろ?」

と、ジュリアンさん。


いえ、異常はありまくりで、手首から先は真っ黒ですよ!

思わず、心の中で叫ぶ私。


だって、手首から先は、もう邪気の塊にしか見えない。


ふと、パトリックのことが頭にうかんだ。

こんな強い邪気、そのままにはできない。きれいに、とりきりたい…。


そう、私の気持ちは決まった。


ジュリアンさんに私の能力を話し、真っ向から取る!

そうしないと、この邪気はとれないと思うから。


不定期な更新のなか、読んでくださった方、ありがとうございます!

ブックマーク、評価、いいね、もありがとうございます! 大変、励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ