アルのお土産 7
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ジュリアンさんとお話をするため、応接室へとご案内する。
アルにとったら、勝手知ったるうちの屋敷。
そのため、アル自らが、ジュリアンさんを応接室へと案内しながら廊下を歩いていく。
「アルが馴染みすぎてて笑えるんだけど…。ここは、アルの実家か? どう見ても王宮より馴染んでるだろ…」
またもや笑いのつぼにはまったジュリアンさん。笑いながらアルの隣を歩いていく。
で、私は二人の後ろを歩いている。
そう、今のうちに、ジュリアンさんの邪気を少しでもとりたいから。
背後から観察してみる。
なんといっても、ジュリアンさんの邪気で、特に目立っているところは右手。
黒い煙が肩のあたりからツタのように絡まっている。しかも、手首から先は真っ黒なのよね…。
まさに、邪気のがんじがらめって感じ。
うーん、これは、簡単にはとれなさそう…。
アルの大事なお友達だし、完全に邪気をとりきって、すっきりとした状態で王都に戻ってもらいたい。
でも、ジュリアンさんに気づかれずに、この頑固な邪気を、どうやってとればいいのか悩むわ…。
あとは、比較的薄い感じの黒い煙が、背中にふわふわとまとわりついている。
このあたりは、簡単にすいとれそう。
とりあえず、ジュリアンさんの真後ろを歩きながら、両手の手のひらをかざして、円を描くように動かす。
そして、簡単にとれそうなものだけを、すいとっていく。
すると、ポコンと小さな花の種が、手のひらにうまれた。素早く、ドレスのポケットにいれる。
種の観察はあとの楽しみにとっておいて、今は、できるだけ、邪気をとらなきゃ。
私は歩きながら、ジュリアンさんの背中にむかって、両手をうごかし続ける。
ジュリアンさんの背中側の黒い煙がとれ、小さな花の種が三つとれたところで、応接室についた。
席についた私たちの前に、手際よく、メイドのラナがお茶を淹れてくれた。
対面に座ったジュリアンさんをふと見ると…。
あっ、そうだ!
私は、小声でラナに、ジュリアンさんのティーカップの位置とお菓子を左手でとりやすい場所にまで動かすよう頼んだ。
すぐに、ラナが、私の指示通り動かしてくれた。
そう、ジュリアンさんの右手は、邪気にまみれ、真っ黒。おそらく、痛みがあったり、動かしにくかったりするんじゃないかなって思ったから。
すると、ジュリアンさんが、驚いたように目を見開いて私を見た。
「もしかして…、ライラちゃん。俺の右手が痛いのがわかったの?! 誰にもばれてなかったのに、なんで?!」
そりゃあ、すごい邪気で真っ黒だから…なんて正直には言えないし…。
うーん、どうしよう…。
「…ええと、なんとなく、そんな気がしたとういうか…。勘、かな…?」
苦し紛れにごまかす私。
ちょっと、アル、なんとかうまいこと言ってー!
そう思って、隣に座っているアルを見た。
すると、アルは、私の顔をのぞきこんできて、クチパクで、
「邪気、か?」
と、問う。
まあ、そのとおりなんだけどね…。
でも、アル…。
目をきらきらさせて、期待に満ち溢れた顔をしたらダメよ?
お友達が痛いと言っているのに、その顔はおかしいからね?
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