アルのお土産 5
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「ライラ。俺の土産なんだが、もう少し待ってくれ。後で友人のジュリアンが持ってくる」
「え? お友達に頼んだの? 悪いわ! それに、こんなに沢山、コリーヌ様からお土産をいただいているのに、アルからもお土産だなんて。気を遣わなくていいのに…」
私は申し訳なくなって、あわてて言った。
「大丈夫だ。ジュリアンはライラへの土産を持ってきていることに気づいてない」
「…え? どういうこと?」
アルがにやりと笑った。
「本当は、サプライズにしたいところだが、あいつが来る前に説明しとかないとな。肝心の土産をライラが受け取り損ねたら困るから。…で、俺の土産、なんだと思う?」
アルの紫色の瞳が楽しそうに私を見つめる。
意味がわからないわ…。
首をかしげる私を見て、アルがフッと笑った。
「わからないか? 答えを言おうか?」
と、得意そうな顔をするアル。
その顔を見たとたん、がぜん、闘志がわいた!
「ちょっと待って、アル! 絶対にあてるわ!」
ぴしっと言い放つと、アルの紫色の瞳が楽しそうにきらめいた。
私は、アルの言ったことを思い出しつつ、推理を始める。
「…まず、アルのお土産は、お友達が持ってくること。そして、お友達本人は、持ってきていることに気づいていないこと。前もって説明が必要。そうでないと、私が受け取れない可能性があるってこと…。ということは、アルがよく持ってきてくれるお菓子やお花のお土産ではないわね。だって、預かった本人が気づくもの」
「ああ、そうだな」
「お友達が気づかないってことは、もしかして、目に見えないもの…?」
「さすが、ライラ。そうだ。…というか、正確には、ライラ以外には見えないな」
「え?! 私にしか見えないって…。もしかして、それって邪気のこと?!」
「正解だ。きっと、ジュリアンには王都の珍しい邪気がついているはずだ。ということは、珍しい花の種がとれるってことだろう? それが、俺の土産だ。どうだ、いい土産だろ?」
そう言って、自慢げに私を見るアル。
私は、思わず笑いだしてしまった。
「アルって、おもしろいね! すごいよ、邪気がお土産だなんて、びっくりなんだけど?! お友達には悪いけど、すごーくわくわくするし、嬉しい! 張り切って、いただくね!」
笑いながら喜ぶ私に、アルが、涼しい目元をゆるめて微笑んだ。
甘さがどっとあふれだして、ドキッとする。
「ライラが喜んでくれて良かった。…あ、でも、万が一、あいつに珍しい邪気がついてなくて、たいした土産にならなかったら言ってくれ。あいつを、どろどろした陰謀うずまく場所にでも放り込んで、邪気まみれにしてから、再度連れてくる。王宮にいれば、そういう場所には困らないからな」
と、アルが真顔で言った。
え…? いやいや、ちょっと、アル?!
それ、おかしいでしょ?! お友達になんてことをさせようとしているの?!
邪気はないほうがいいに決まってるよ?
それに、邪気は、わざとつけるものじゃないから! 絶対、ダメだからね!
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