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アルのお土産 1

一話目の「アルの悩み」の続きです。が、今回はライラ視点となります。

今日は、朝から心がはずむ。

気が付いたら、変な歌を歌っていたらしい。

あわてて、口を閉じても、気が付けば、また歌っている…。


まあ、でも、しょうがないよね? 

だって、今日はアルがくる日だから!


屋敷の皆には生暖かく見守られ、執事のジュードには、あきれられ、お母様はクスクス笑い、お父様はなんだか寂しそう。


が、どう見られようが、どうでもいい!

そんなことより、アルが来る前に、庭の様子を見ておかなきゃね。


私は、張り切って、庭仕事用のエプロンをつけると、庭に飛び出した。


フフ、フンフフフン…♪


わくわくしすぎて、思わすスキップしてしまう。


だって、アルがつけていた邪気から生まれた種が、ちょうど、昨日の夕方、咲いたばかり。

アルに見せられたらいいなあ!


まあ、でも、アルが見られるかどうかは、まだ、わからないけどね。

咲いて、すぐ散る花もあるし。


例えば、もうすぐ咲くなあと思っていても、翌朝、庭にでたら、もう何もなかったり。


邪気から生まれた種は、成長の度合いが、それぞれ違う。

もちろん、花が咲くタイミングもわからないし、散るタイミングもわからない。

でも、花が散った後は全て消えてしまうのはどれも同じなんだよね。


ということで、咲いていますように、と願いつつ、庭にでると、良かった! まだ咲いてる!


私は急いで花に近寄ると、そっと手でふれて、声をかけた。


「もうちょっとしたら、アルがくるから、それまでは頑張って咲いてね!」


すると、細長い花がいっせいに私の方を向いた。

どうやら、音に反応しているみたい。


この花は、細長い紐みたいな花びらが沢山あって、ふにょふにょと好きに動いている。

色は、グレーに真っ赤な色が流れて、マーブル模様のようで、なんだかおしゃれ!


「のどが渇いたんじゃない? お水をあげるからねー。フフフ、フフフン♪」


私はジョウロに水をくんできて、優しく、まきはじめる。

水をはじきとばして、嫌がる花もあるのだけれど、この花は大丈夫。


だって、ほら! 紐のような花びらが、いっせいに、お水のほうに伸びている。

一生懸命、お水を飲んでいるみたいよね。


「さすが、王都。珍しい花が咲くもんだねー! すごいねー! きれいだねー! おもしろいねー! フッフ、フッフラフーン♪」

鼻歌まじりに、花に語りかけながら、お水をあげていると、背後から笑い声がした。


「アルっ! 来てたの?!」


「驚かそうと思って、そーっと歩いてきたが、そんな必要なかったな? 楽しそうに鼻歌を歌いながら、夢中で花に話しかけてるし。こんなに近づいても、ちっとも気づかないもんな」

そう言って、楽しそうに笑うアルを見て、ふと出会った頃を思い出した。


きれいな紫色の瞳が、やたらと鋭かったアル。

王都へ戻るたび、ごっそりと邪気をつけてきたアル。


でも、今は、邪気もつけていないし、まるで別人のように、やわらかい顔で笑うようになった。

アルが元気だと私もすごーくうれしい!


読んでくださっている方、ブックマーク、評価、いいねをくださった方、励みになります。ありがとうございます!

しばらくライラ視点が続きますが、よろしくお願いします!

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