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ある日の手紙

ライラとアルが婚約した後のお話です。

コリーヌ様


お言葉に甘えて、ご挨拶ぬきのお手紙を送らせていただきます。

コリーヌ様にこのようなお手紙を書いたと家庭教師の先生が知ったら、卒倒してしまうかもしれません!


私の庭ですが、先日、変わったことがおこりました。


なんと、違う種類の種から育った花が同時に咲き、同時に消えていったのです。

種をとった相手もまちまち、植えた時期も、まちまちの花が、一緒に咲いて、一緒に消えるというのは初めてです。

とても、驚いてしまいました。


私の想像では、一つの強い種の影響で、他の花がつられて咲いて、つられて消えていったのではと考えています。


その種は、父が仕事で隣国に行っていた時、つけて帰ってきた邪気から生まれた種です。

その種は、手に持つと、びりびりと痛くて、種に生まれ変わったことに、抗っているような印象を受けました。

こんな種は初めてでした。


私が手に持つたびに、「痛い!」と声を上げる様子を見て、過保護のアルは、心配のあまり「すぐに、捨てろ!」と叫んでいましたが、こんな珍しい種を捨てられるはずがありません!

(まあ、どんな種も捨てずに植えるのですが…)


私は、すぐに植えずに、いろいろな布や革の手袋をして、さわってみました。

不思議なことに、手袋の素材の厚さや固さに関係なく、手に伝わってくる、びりびりする感覚は同じ強さなんです。


私は思いました。布や革で遮れない、邪気のようなものを発しているのかもと。通常、種に生まれ変わってまで、邪気を発する種は見たことがなかったのですが。

よほど強い思いが、その邪気にこめられていたのかもしれません。


そこで、以前、コリーヌ様からいただいた手袋も試してみました。


そう、隣国にしかいない珍しい動物マーラの毛の手袋です。あたたかくなる時期に、ごそっと落とした貴重な冬毛を収穫し手袋にしたものなので、とてもあたたかく、真冬に愛用させていただいています。


私は、ふと、同じ隣国なら、何かつながりがあるかもと思ったのです。


すると、さわった瞬間、種がびりびりするのをやめて、光りはじめました。

意味はさっぱりわかりません。

でも、おもしろいなあ、と改めて思った次第です。


そして、その種を植えた時、庭の地面がピカッと光りました。そして、その種は、どんどん成長し、何故か、他の植物が、その種の成長速度にあわせるようになっていったのです。


早く育っていた花は、育つスピードが遅くなり、まるで、その種の成長を待っているかのように。

そして、その種より後で植えた花は、猛スピードで育ち、その種の成長に追いつくように。

その時点では、偶然かなと思っていましたが、今になると、わかります。

あの花の影響力は大きく、他の花も連動していたのだ、と。


このように、未だに摩訶不思議な出来事が起きるのですが、そこが、邪気から生まれ変わった花の種のおもしろいところです。

ということで、花がいっせいに消えてしまったため、今は、新しい種を植えるため、庭の土を耕したりと、力仕事に大忙しです。


先日の花は珍しかったので、スケッチしました。アルにスケッチブックを託しておきます。

上手ではありませんが、どんな花がどんなふうに咲いたのか、少しでもお伝えできれば嬉しいです。


では、またお会いできる日を楽しみにしております。


                            

                          ライラ・シャンドリア


読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!

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