なんで?
本日、2回目の投稿になります。よろしくお願いします。
そして、自分の部屋に戻ると、透明の瓶の中に、さっきの種を入れた。
瓶の中は、種が半分くらい入っている。
しかも、どの種も、ひとつとして同じものはない。
黒い煙をとると、なぜか、手のひらで、花の種に生まれ変わる。
理由は全くわからない。
ぶよぶよしてたり、ピンク色に黒い線が入っていたり、文字が浮き上がってたり。
どれも、ちょっとだけ、不気味な種が多い。
でも、私には、全部、かわいいんだよねー!
だって、自分の手のひらで、生まれ変わったんだよ?
もとが黒い煙だろうが、どれだけ不気味だろうが関係ない!
「随分、たまったなー。今度はどれを植えようかな?」
私が瓶をかかえて、一人で、にまにましていると、ドアをノックする音がした。
「はーい、どうぞー!」
と、声をかけると、入ってきたのは執事のジュードだ。
代々うちの執事の家系で、ジュードも、何十年も務めている。
お父様と幼馴染で同い年。
私のもう一人の父親、…というよりは、世話好きなので、乳母みたいなもんかな。
「ライラ様、辺境伯様がお呼びでございます。…って、なんで、また、そんな草だらけなんですか?!」
あ、さっき、草の中を走ったからねー。
ジュードが、あわてて、メイドに指示をだし、素早く着替えさせられ、応接室へと連行された。
ジュードがノックして、
「ライラ様をお連れしました」
と、声をかけると、
「入れ」
と、お父様の声。
あれ、お母さままでいるね。どうしたのかな?
と、思ったら、テーブルをはさんで、両親の前に座っている、一人の少年の背中が見えた。
「お客様だ。ライラ、こっちへ来て、ご挨拶なさい」
と、お父様が言った。
とりあえず、テーブルの近くにいき、カーテシーをすると、
「はじめまして。シャンドリア辺境伯の娘、ライラと申します」
と、簡単に挨拶をした。
すると、その少年がこっちを向いた。
ええっ! なんで?! さっきの少年?!
「さきほどは、どうもありがとう。おかげで助かりました」
と言って、きれいな笑みを見せた。
ええと、誰…?
さっきの怖い感じと、まるで違うんだけど?!
「おや、もう、うちの娘と会っておられたのですか?」
と、お父様。
少年は、爽やかに微笑んで言った。
「ええ、さきほど、この近くで道に迷っていたら、案内してくれたんです」
いや、迷っていないよね?
当然、案内もしていないよね?
つまり、あの具合の悪かったことは、言うなってことかな?
だって、目が笑ってないもんね…。
「そうでしたか? うちの娘は、本当にお転婆で、このあたりを走りまわってるんです」
あきれたように話すお父様。
というか、この少年は一体だれなんだろう?
両親そろって迎えるぐらいだから、身分が高いんだろうけど…?
すると、少年は、私の方をむいて、
「自己紹介が遅くなりました。ぼくは、第三王子でアルフォンスです。よろしくね、ライラ嬢」
と、微笑んだ。
えー、王子様なの?!
「アルフォンス王子殿下は、お母上のコリーヌ様のご療養のため、隣のお屋敷に滞在されるそうだよ」
お父様が補足してくれた。
隣のあの豪邸か…!
よし、近寄らないでおこう!
読んでくださった方、ありがとうございます!
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