表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/75

少年

いつもながら、ゆるっとした設定ですので、お気軽に楽しんでいただければ、ありがたいです。

よろしくお願いいたします。

道に座り込んでいる少年がいた。


「どうしたの? 大丈夫?」

声をかけると、顔をあげた。


でも、真っ黒い煙がかかって、顔がわからない。

少年は、だるそうに首を横にふった。


「…つらそうだね。でも、大丈夫。お掃除してあげるから」


「掃除?」


「うん、きれいにしたら、元気になるよ」


私は黒い煙をつかむように、座っている少年の顔の前で、両手をひろげて動かす。

黒い煙は、どんどん、私の手のひらにすいこまれていく。


うん、もうちょっと! 


だけど、最後のほうは、ねばっこくて、なかなかとれない。


私は、自分の両手が消しゴムになったイメージで、今度は、上下に動かしはじめた。

そして、やっと、最後の一筋もとれて、すっきり、きれいになった!


「これで、大丈夫だよ」


ふと気がついたら、少年が目を大きく見開いて、固まっている。


「あ、びっくりしたよね? でも、へんなものが取れたから大丈夫。もう動けるんじゃない?」

私が、あわてて言う。


すると、少年は、はっとしたように、立ちあがった。

手足をぐるぐるとまわして見せる。


「…動く。毒の後遺症がなおってる…」

茫然としたまま、つぶやいた。


「うん、よかった! じゃあ、帰り道はわかる?」

と、私が言うと、


「…帰るわけないだろ。なんだ、これ? 説明しろ!」

と、さっきまでの弱ってる感じとは違って、すごいえらそう…。


しかも、少年といっても、背が高く、上から私を見下ろすように立っている。

黒い煙で、顔がよくわからなかったので、自分より大分年下かと思ったけど、年上みたいだ。


漆黒の髪に、紫色の瞳。

とてもきれいな顔だけれど、鋭い目で私をにらんでくる。 


怖いな…。逃げよう!


ということで、私は、勢いよく走り出した。


「あ、待て!」


ふーんだ。待てと言われて待つわけないよね?!


植物の間をぬったり、くぐったりして、すばしっこく走る。絶対に、大きな人には走れないルートだ。

そして、やっと、一息ついて、ふりかえったら、いなかった。


よし、まいたわ! あー、怖かった。


にぎりしめた手をひろげると、丸い花の種があった。

赤黒く、ちょっとぎらぎらしていて、不気味な感じ。

しかも、大きいね。


「どんな、花が咲くかなあ? 楽しみ! フフフン、フフ…」

と、鼻歌を歌いながら、裏口から屋敷の中に入っていった。

読んでくださった方、ありがとうございます! 短めで完結いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ