ロリコン国王に外堀を埋められて、王妃にされてしまいます。神様、女神様、魔王様、誰でも良いので、助けて下さいと願ったら、叶いました。
連載小説『ロリコン国王に外堀を埋められて、王妃になりました』とは逆の結果になる話です。
「ロメラキア侯爵家令嬢クイーントナル嬢を王妃とする」
王妃を選別する夜会で、陛下が私を王妃に選ぶという冗談を宣言されました。
陛下は先代陛下が突然に病で崩御なされたので、二十一歳の若さで即位なされました。
夜会は王妃を選定する為に開かれたのに、何故に私が選ばれたのでしょう。
私は成人前の十二歳なのですから、絶対に冗談だとしか思えません。
ひょっとしたら質の悪いドッキリなのでしょうか。
それとも陛下はロリコンなのでしょうか。
「質の悪い冗談はおやめ下さい」
「冗談ではない。余は本気だ」
「いいえ、冗談に決まっています」
「本気だと言っているだろう」
陛下は本気だと主張しているが、私は冗談だと反論した。
「陛下、いい加減に諦めて下さい」
「そなたこそ、いい加減に受け入れろ」
「絶対に受け入れません」
「そんなに余の妃になるのが、嫌なのか」
「違います。私には荷が重いからです」
「そんな事は無い。頭脳明晰で、男勝りな性格のそなたなら、王妃の重責にも耐えられる」
「私は頭脳明晰でも、男勝りな性格ではありません」
何でバレているのよ。
「惚けるな。そなたのが頭脳明晰で、男勝りなのは、既にバレバレだ。王宮内で噂になっているからな」
「・・・・」
「無言という事は事実なんだな」
「その噂は捏造されています」
私達の押し問答は一時間以上に及んだ。
「「「「「・・・・」」」」」
周囲の人々から、いい加減にして欲しいという視線を浴びせられて、仕方なく押し問答を中断しました。
続きは後日に陛下の執務室で、再開する事になりました。
神様、女神様、魔王様、誰でも良いので、助けて下さい。
夜会でクイーントナル嬢に求婚したのに、質の悪い冗談だと拒否されてしまった。
しかし彼女は私の理想の令嬢だから、絶対に諦めてたまるか。
頭脳明晰で、男勝りで、容姿も可愛い。
特に未成熟な身体が良い。
必ずダイアル嬢を王妃にしてみせる。
その為には外堀を埋める必要がある。
先ずはロメラキア侯爵をターゲットにしよう。
「ロメラキア侯爵に命じる。会談の日までに娘のクイーントナル嬢に求婚を受け入れるように説得しろ」
「陛下はどうして娘に拘るのですか」
「頭脳明晰で、男勝りで、容姿も可愛いからだ」
「陛下は誤解なされています。娘は男勝りなんて、可愛いものではありません。とても乱暴なのです」
「嘘を付くな」
「本当なのです。男兄弟の中で育ちましたので、乱暴な性格になったのです。幼少の頃は喧嘩が大好きで、喧嘩令嬢という二つ名で呼ばれていました」
「・・・・本当なのか」
ロメラキア侯爵からクイーントナル嬢が男勝りではなく、乱暴だという衝撃の真実を告げられた。
「だが頭脳明晰は誤解ではなく、事実なのだろう」
「それはそうですが。ハッキリ言って、乱暴な娘には王妃の重責は務まりません」
「それはそなたの偏見であろう。余の見立てでは問題無しと判断した。兎に角これは王命だ。必ずクイーントナル嬢を説得しろ」
「・・・・畏まりました」
ロメラキア侯爵は渋々だが、余の命令に従った。
「宰相、相談があるのだが」
「クイーントナル嬢の件ですね」
陛下から相談を持ち掛けられたが、多分クイーントナル嬢を王妃に選んだ件だろう。
何故、クイーントナル嬢を選んだのか。
私には理解不能だ。
確かに彼女は男勝りで、頭脳明晰だが、成人前の十二歳の少女だ。
十二歳の王妃なんて、前代未聞だ。
もしかして陛下は若いのにボケてしまわれたのかか。
それとも本当にロリコンなのか。
どちらにしても、頭が痛い。
「おい、余はボケていないし、ロリコンでもない」
「何の話ですか」
「惚けるな。声に出ていたではないか」
「・・・・申し訳ございません」
どうやら声に出していたようなので、直ぐに謝罪した。
「まぁ、良い。それよりもクイーントナル嬢を王妃に選んだ件だ。反対してくる貴族達を黙らせて欲しい」
「無理です」
とんでもなく無理な相談なので、速攻で返答した。
「王家の威信に賭けても撤回は出来ない。無理なのは重々承知しているが、それでも頼む。結果は絶対に問わないと誓う」
「・・・・分かりました。こうなったら私も腹を括ります」
「陛下からの呼び出しなんて、兄上は何の用だと思う」
「そんな事は決まっているだろう。クイーントナルが王妃に選ばれた件以外何がある」
クイーントナルの兄のアニデアルと弟のオトデアルは陛下からの呼び出しを受けて、王宮内の陛下の執務室を訪れた。
「二人共、わざわざ出向いてもらい、悪かったな。話というのは、勿論クイーントナルを王妃に選んだ件だ。彼女に王妃になるように、二人から説得してもらいたいので、呼び出したのだ」
「陛下はクイーントナルが狂暴なのを父から聞いておられますよね。それなのにどうして妹に拘るのですか」
「・・・・乱暴とは聞いたが、狂暴とは聞いていない」
「妹は乱暴なんて、可愛いものではありません。とても狂暴なんです」
「兄上、違います、姉上は狂暴なんて、可愛いものではありません。例えるなら、姉上は可燃物ですよ」
「・・・・可燃物だと」
国王キズノモは聞く度に酷くなる例えに、クイーントナルを王妃に選んだのは、間違いだったのではと、不安になった。
「それでも構わないのであれば、説得します」
「どうなさいますか」
「撤回は出来ない。説得を頼む」
毒を食らわば皿までの心境で、説得を依頼した。
「クイーントナル嬢は可燃物なんて、可愛いものではありません。彼女は爆発物です」
「・・・・爆発物だと」
友人を呼び出して、説得させようとしたが、段々と例えが酷くなる状況に後悔し始めた。
後日私が王妃になるという話は撤回されました。
神様、女神様、魔王様、誰だか知りませんが、ありがとうございます。