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人形列車3

「ふぅ。では荷物を置いて身軽になった所で」

「…………所で?」

「さっそく探検に行きましょう!」

「ええっ!? いきなり!?」

「中を一通り確認しておくのは重要ですから。それに何かあった時に役に立つかもしれませんし」

「それなら別にデータで確認するだけでもよくない?」

「もちろんデータでも確認しますが、やっぱり直接確認した方が面白いです!」

「……よくわからないけど、だったら今からデータ用意するね~」

「待ってください。その必要は無いです」


 私はカバンから1冊の本を取り出して。


「じゃじゃん。こんな事もあろうかと思って買っておいた、アルタイル・デネブ号の車両案内ガイドブックです!」


 私が自慢気に本を高々と掲げると、シャンティからまたかといった感じのオーラが伝わって来ましたが、もう慣れたので気にしません!!!!


「では早速行きましょう!」

「はいはい」


 私はガイドブックを手に列車の探索へと乗り出します。

 部屋から出ると自動で扉がしまり、すぐにオートロックがかかりました。

 

「ここはオートロックなんですね」


 まあカードキーがあればすぐに部屋に入れるようになるので、忘れ物をしてもすぐにカードをピッてやれば部屋に入れるので安心……………そういえば、カードキーってどこにありましたっけ?


 私はポケットに手を入れてみましたが右にも左にも何も入っておらず、手にはガイドブックを持ってるだけ。


「た、大変です!? カードキーを部屋に置いたまま出てきちゃいました!?」

「はぁ。どうせそんな事だろうと思って、ちゃんと持ってきてま~す」


 シャンティの上にはキラリと輝くカードが乗っていました。


「おおっ!? さすがですシャンティ!?」

「はしゃぐのもいいけど。これは忘れないようにしなよ」

「もう忘れないので大丈夫です。では、すぐに行きましょう」


 私はシャンティに乗っているカードキーを素早く手に入れ、すぐにポケットにしまいました。


「これでもう安心ですね」

「ポケットだと落とさない?」

「そんなベタベタな事するわけ無いので大丈夫です!」

 

 というわけで、私は早速隣の車両へと移動する事にしました。


「さて、客室車両の隣はっと――――」


 私は扉を開けて車両を移動するとそこには。


「シャンティこれはどういう事なんでしょう?」

「どうって?」

「えっと、つまり。客室車両から隣の車両に移動したらどうなるんです?」

「知らないの? 客室車両に到着するんだよ」

「ええっ!?」


 扉を開けたら新しい世界が広がっていると思ったのに、まるでコピー・アンド・ペーストしたかのように全く同じ世界が広がっていたのでした。


「……ちゃんとデータ用意してきたんじゃなかったの?」 

「ちょ、ちょっと待ってください」


 私はガイドブックをパラパラとめくり客室のページを開くと、確かに3車両が客室としてあてがわれていました。


「全部まとめて1ページで紹介されてるので気付きませんでした…………」

「まあ中身は全部同じだし、わざわざ何回も紹介する必要ないからね~」

「では。気を取り直して、今度こそ――――」

 

 私達は改めて更に隣の車両に移動するとそこには。


「ま、また!? 客室が!?」

「…………もうそれはいいって」


 ―――――そんなこんなで。

 今度こそ、本当に、間違いなく、絶対に、違う車両へと続く扉をくぐると。

 

「結構賑わってますね」

「ちょうどお昼だしね~」


 食堂車両へと到着したのでした。


 ここは1つの車両がまるごと食堂になっていて、真ん中にコックさんが2人いる調理場があり、その場所を囲むような感じでカウンター席が設置してありました。


 4すみには6人座れるテーブル席も用意されていて、家族や友人と来ている人も気軽に食事が出来るみたいです。


「なんか食べてく?」 

「――――えっと、そうですね」


 開いてる場所があるか確認すると、どうやらピーク時なのか全ての席が埋まっちゃってました。

 それに順番待ちの人も結構いるみたいで、結構な時間待たないと座れなそうです。


「もう少し後にしましょう。ちょっと前にパンも食べたので、まだ大丈夫ですし」

「ん。りょーかーい」

「ちなみに部屋にデリバリーもやってくれるみたいですね。今から注文したら探索が終わる頃に出来てると思うので、今回は部屋に届けてもらう事にしてもいいかもしれませんね」

「だったらそっちで良いんじゃない? ちょうどそこで注文出来るみたいだし」


 食堂の真ん中の方を見ると食券機みたいなのが置いてあり、どうやらここで注文したら部屋まで運んでくれるみたいです。

 部屋から直接頼んでもいいのですが、ここで注文出来るのにわざわざ部屋に戻るのも面倒だし、ぱぱっと頼んじゃいましょう!


 私は食券機へと向かい部屋のカードキーを認識させると食券機に情報が伝わり、後はボタンを押すだけでチッキンへオーダーが通知され、料理が出来たら乗務員さんが運んでくれる流れみたいです。


 ――――お届け予定は約20分後。

 列車内を見てまわってたら、ちょうどいい時間帯ですね。



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