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ゲームキャスターさくら  作者: てんつゆ
カードマスターさくら編
65/128

カードマスターさくら編 完

「このカードは相手にそのカードに関する問題を出し、外れたらそのカードを破壊する事が出来ます!」

「ふんだ。ここまで来たら、どんな問題だって答えちゃうんだから!」

「私は当然パンダマスターを選択します。さあ、忍さん答えてください!」


 私はカードの効果対象をパンダマスターに選ぶと、私の立っている場所の後ろにある巨大モニターに問題が表示されました。


「問題です。パンダの尻尾の色を答えてください!」


 私はビシッと忍さんに指さしで出題すると、忍さんは少し勝ち誇った様な顔をしました。


「ふっふ~。桜、もしかして私を舐めてるわけ?」

「ま、まさか知ってるんですか!?」

「知らないわ。けど、すぐそこに答えがあるじゃない!」

「…………すぐそこ? あっ!?」


 忍さんが見ている場所を見ると、そこにはパンダマスターがこちらを向いて立っていました。――――つまり、こちらを見ているという事は忍さんの方からはパンダマスターのお尻が見えていると言うわけで…………。


「じゃあ答えるわ!」


 忍さんは手元にあるボタンを壊れるくらい強くグーで叩くと、ピロンと音がした後に忍さんの座っている場所がライトでキラキラと光って回答する権利がある事を主張しはじめました。


「答えは――――――黒よ!」

「………………え?」


 自信満々に指を差し替えしながら答えた忍さんでしたが、言い終わると同時に小馬鹿にするようなブッブーと言う電子音と共にパンダマスターは破壊されてしまいました。


「え、ちょ、ちょっと何でよ!?」

「…………忍さん。パンダの尻尾は白ですよ?」

「えっ!? だってパンダマスターの尻尾は黒かったわ! オカシイじゃない!」

「実はそのカード。初期の方に出たカードはイラストレーターさんが間違えて色を黒くしてしまったのです。今は修正されて白くなっているのですが、どうやら忍さんは修正前のカードを使ってたみたいですね」


 私は偶然持ってた修正後のカードをカバンから取り出して忍さんに見せると。


「そんなの聞いてないわよ!」


 と、駄々をこねはじめましたが、こればかりは私に言われても修正魔のカードを使ってた忍さんの問題なのでどうしようも無いと思うのですが。


 ―――――まあ、ともかく。


「パンダマスターが破壊されたのでシロクマナイトで攻撃します。…………というか、パンダは白いですが寒さに強いわけではありません」

「なんですって~~~~!?」


 驚く忍さんにシロクマナイトの攻撃が直撃して忍さんのライフが0になり、今回の勝負は私の勝利で幕を下ろすのでした。


 ――――数分後。 


「というわけで~~。桜ちゃんには年間パスポートを購入する権利が与えられちゃいま~~~~す。ぱちぱちぱち~~~~」

「やりました! ついに、あの!! 年間パスポートを手に入れる事が出来ました! 鳴海さん、ありがとうございます」


 鳴海さんと常連さんの拍手が鳴り止まぬ中、私は年間パスポートを手にしていました。


「お支払い方法はどうする?」

「――――そうですね。では、今回はトイトイでお願いします」

「はいっ。お願いされちゃいました~」


 今日はAI搭載デバイス「シャンティ」はメンテナンス中なので、予備のサブ端末を持ってきています。

 私はカバンから小型デバイスを取り出してアプリを起動すると、麻雀牌の上にQRコードが表示されている画面が表示されました。

 鳴海さんはレジに付いているスキャナーでデバイスの画面をピッとスキャンすると、トイト~イと怪しい中国人ぽい音声が流れてすぐに精算が終了しました。


 すごく便利です。


「…………さて、ここからです!」


 ――――実はこのアプリは電子マネーでスムーズな支払いが出来るだけでなく、現在キャッシュバックキャンペーンをしていて、なんとっ! 当たりクジが出たらたった今支払った金額がすぐに帰ってくる可能性があるのです!


 トイトイのクジは支払いが終わってから画面のボタンを押す毎に麻雀牌を引いていき、そろった絵柄でキャシュバックの金額が決まるのですが、今回は高めの買い物をしたのでなんとしても大当たりを当てないといけません。


 私は1回ずつ慎重に画面に表示されているボタンを押して麻雀牌を引いて行くと、幸運にも同じ数字が連続で引かれていき、このアプリの名前にもなっている同じ数字を沢山集める組み合わせのトイトイが完成しそうです。


 …………あともう少し。…………頑張ってください。……よしっ………最後のいっこは?…………!?


「おおっ!? これはっ!?」


 アプリから怪しい中国人の声で役満と言うねっとしとした音声が聞こえてくると同時に、画面には500と書かれた数字が表示され、長い黒ひげにチャイナ系の服を着たおじさんが大喜びで画面を走り回っています。

 トイトイを狙っていたはずが、一番上の役満が当たってしまいました。


「あら? 何か当たったの?」 


 私は喜びのあまり画面を見ながらニヤケ顔をして固まってしまっていると、不思議そうに思った鳴海さんが話しかけてきたので、喜びを少し押さえつけながら説明する事にしました。


「実は今このアプリでお支払いをするとクジが引けるキャンペーンをしていて、今回500%キャッシュバックに当たってしまいました」


「――――500%って?」

「普段は支払ったのと同額の100%しか帰って来ないのですが、なんと! 当たりが出ると限界を突破して支払った以上の金額が帰ってくるんです!」

「ええっ!? それは凄いじゃない」

「そうです、凄いんです! なので、今日はさっき当たった分のポイントで帰りに新しいゲームを買って帰れます」


 これだけあれば好きな新作を何本か買うことが出来ますね。…………ここは世紀末バスケか戦国陸上か…………タケノコバーサスも悪くないです。

 くふふ。考えただけでニヤケが止まりません。


 ――――私が何を買おうか思いを馳せていると、いつの間にやら横にはちょっぴり不機嫌な忍さんがいて。


「今後は絶対に負けないんだから!」 


 と、何故か再戦の約束を半強制的に取り付けられたのですが、果たして再戦はいつの事になるのやら。

 まあ、年間パスポートを手に入れて好きなだけこのお店に来れることになったので、そう遠くない未来だとは思いますが。


「それじゃあ桜、次は違うゲームで遊ぼっか?」

「そうですね、どんなゲームでもいいですよ。勝者の余裕で忍さんに選ぶ権利をあげます」

「ふ〜ん、言ったわね? ちょっと待ってなさい」


 忍さんはゲームを取りに奥の方へと走っていきました。

 私の楽しいゲームライフはまだまだ続いて行きそうです。




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