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ゲームキャスターさくら  作者: てんつゆ
カードマスターさくら編
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カードマスターさくら編5

「し、忍さん落ち着いてください」

「ふんだ。もう良いわよ、こんな対戦すぐに終わらせちゃうんだから! ドロー!」


 忍さんは勢いに任せて思い切りデッキからカードを引き抜くようにドローしました。


 …………傷の全く無いスリーブですね。と言う事は最近デッキに入れたカードの確率が高いです。おそらく忍さんの事なので多分しょうもないカードだとは思いますが、知らないカードなので一応警戒はしておいた方が良さそうですね。


 くふふ。まあ、私の前回大会優勝者のデッキを研究して全く同じカードで組んだデッキがそう簡単に負けるとは思いませんが。


「私はソウルドローを発動! ライフを好きなだけ支払って、その分だけデッキからカードをドロー出来る! 私はライフを15払って15枚ドローするわ!」

「…………忍さん。そんなにカードをドローしてどうするんですか」

「カードが必要だからドローしたのよ!」


 一応、キャッスルゴーレムと言うカードを召喚する条件に手札を20枚捨てると言うのがあるのですが、このカードは世界に2枚しか存在していなくて、その2枚とも私が持っていたので心配は無いですね。


 まあ、このゲームはデッキに同じカードは1枚しか入れる事が出来ないので少し前にネットオークションで1枚は手放したのですが、どっちみち今は関係のない事です。


「私は手札のカード20枚を捨て札にして――――」


 あれ? なんだかちょっと雲行きが悪くなってきたような…………。


「手札からキャッスルゴーレムを特殊召喚っ!」

「――――なっ!!!?」


 忍さんのフィールドに突如巨大なお城が出現して、土煙を立ち上げながら手足を出現させ巨大なゴーレムへと変形していきました。


「ど、どうして忍さんがそのカードを?」

「これ? オークションで見かけたらから買ったのよ」


 買ったのは忍さんだったのですか!?


 ………むぅ。匿名配送で発送したのですが、まさか転売相手が忍さんだったとは予想外です。


「ふっふ~。キャッスルゴーレムの効果発動。相手の手札とフィールド上にあるカード全てを捨て札にする! キャッスルコンフィスケイション!」


 キャッスルゴーレムのお城の石垣の部分がパカッと開いて、そこから全てを吸い込むような凄い勢いの風が私のデッキ以外の全てのカードを吸い込んでしまいました。


「こ、これはかなりピンチです!!」

「キャッスルゴーレムの更なる効果発動! キャッスルゴーレムはすぐに行動出来て他のカードの効果を受け付けない。そして攻撃力は100だからこの攻撃が通ったら私の勝ちぃ!」


 勝利を確信した忍さんは勝ち誇った笑みを浮かべながら私に指を指しながら宣伝してきました。


「な~っはっはっは。これで終わりよ桜、キャッスルゴーレムのキャッスルパンチをくらいなさい!」


 キャッスルゴーレムはンゴォと雄叫びを上げながら、巨大な腕で力任せにパンチを繰り出してきました。 


「…………フゴッ」


 巨大な腕が私のお腹にクリーンヒットして私は吹き飛ばされ、そのままライフが0に…………なんて、なりません!


 攻撃を受けた衝撃でフィールドには砂煙で覆われてしまいましたが、数秒後に煙が晴れたときには私はまだ立っていました。


「え!? 桜に直接攻撃が入ったからもうライフは残ってないはずじゃ…………」

「し、忍さん。わ、私は罠カードを発動していたのです」

「罠カード? キャッスルゴーレムに罠は通用しないわよ!」

「はい。なので罠を発動したのはモンスターカードにでは無く、私自信にです! 罠カード、オール・ワン。このカードはターン終了まで指定した物の数値を1に固定します。私は自分のライフを1に固定したので、このターンはライフが0になりません」

「そ、そんなカード持ってたなんて――――。けど別にいいわ、次のターンになったらもっかい攻撃して私の勝ちよ! ――――私は罠カードを設置してターンエンド」 


 忍さんはカードを一枚伏せてターンを終わらせました。

 けど、その前に……………。 


「てるてる仮面がフィールドを離れた事により、さっきまで雨雲だった空が晴天になってフィールド魔法カード太陽の訪れがセットされます。このカードはお互いの攻撃力が1プラスされるカードです」


 何とかピンチは凌ぎましたが、忍さんのフィールドには強力なモンスターが1枚。私の場にはモンスターカードは1枚も無く、手札も0枚です。更にライフも1なのでモンスターカードの直接攻撃どころか、ダメージを与える魔法カードを使われるだけで私の敗北が決定してしまう事になります…………。


「…………こうなったら、次のドローに全てを賭けるしか無いみたいんですね」

「ふふん。どんなカードを引いたって私のお城は崩れさ無いわ!」

「私のターン―――――」


 一回軽く深呼吸をしてから精神を集中させて…………。


「ドローです!!」



 私はカードをめくると、カードからは今までにない熱量の様なものを感じます。

 カードを見なくても分かります。どうやら私の魂を込めたドローは逆転の一枚を引き当てたのでした。


 



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