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ゲームキャスターさくら  作者: てんつゆ
私に投票してください! 生徒会長選挙バトル
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私に投票してください! 生徒会長選挙バトル7




 ――――――放課後。

 

 急いで勉強道具をカバンに詰め込んだ私は、そのまま超特急で家へと帰る事にしました。

 

 そして、家に到着するとすぐに2階へと階段を駆け上がり、扉を開けて私の部屋に駆け込みました。


「おかえり~、桜。――――って、なんか今日は随分急いでるみたいだけど、どうしたの?」

「シャ、シャンティ。すぐにタグ検索をお願いします!」

「タグ検索? 別にいいけど何を探すの?」


 タグ検索とは荷物に取り付けたタグを探知して、部屋にある荷物の場所を即座に教えてくれる機能です。

 これのおかげで、あの本どこにしまったっけ? といった事が起こりにくいので私はほんどの物をタグ検索出来るようにしています。


 ただ、ほとんどと言ったのには理由があって、ごく稀に荷物からタグが外れてしまっている事があり、扉を開けたらタグが1個置いてあるだけといった事がありました。


 なので過信しすぎは問題ですが、適度に使う分には凄く便利です。


「この前プロレスの試合を観に行った時に貰ったマスクを探してください!」

「あ~あれか~。オッケ~、じゃあちょっと待ってて」


 実はこの前みんなでプロレスを観に行った事があって、その時に覆面レスラーの人が入場用のマスクを投げたのが私の方へ飛んできて、偶然手に入れた物があるのです。


「タンスの上から3段目にしまってあるみたいだよ」

「了解です!」


 私は言われた通りにタンスの引き出しを開けると、中から真っ赤なマスクが出てきました。


「――――ところで、なんで急にそんなのが必要になったわけ?」

「選挙に勝つのに必要だからです! そんな事より、シャンティ。すぐに出かけますよ!」

「えっ!? 出かけるって? それより選挙って―――――ええっ!?」


 私はシャンティをボーリング玉を掴むように、わしづかみにして部屋を出ていきました。



 ―――――そして、その日の夜。

 

 学校帰りの生徒が真っ暗な路地裏を歩いていると、突然マスクを付けた人物が目の前に現れました。


「だ、誰っ!?」

「そんなの今はどうでもいいです。それより私とゲームで勝負ですっ!!!!」

「ええっ!? なんでいきなりゲーム勝負なんて…………」

「問答無用です!!!!!」

「きゃああっ」






 ―――――数日後、朝の授業が終わった休憩時間。

 机にうつ伏せになって幸せそうにお昼寝をしてる望さんをボーッと眺めていると、前の方の座席から生徒達の話し声が聞こえてきました。


「ねえ聞いた? 例のブリザードサクラの事」

「…………ブリザードサクラ? なにそれ?」

「知らないの? 夜1人で歩いていると突然ゲーム勝負を挑まれて、負けたら次の生徒会選挙で投票する人を強要させられるって」

「え~っ。なにそれ~」

「あんたはゲーム下手なんだから。1人で出歩かないか、ゲームの練習をするかした方がいいわよ」

「え~。別に私は誰が会長になってもい~し」


 ふぅ。どうやら思ってたより噂が広まるのが早いみたいですね。

 これはまた何か―――――――。



「ねぇ、桜?」

「ひゃん!?!?」


 考え事をしていると、突然後ろから話しかけられて椅子から落ちてしまいそうになりました。


「し、忍さん。急に話しかけないでください」

「そんな事より、桜。また何か変なことやってないでしょうね?」

「変なこと? はて、何の事だかさっぱりです」

「…………まあ桜がいいならいいけど、あんまりやり過ぎないようにしなさいよ?」

「大丈夫です忍さん。ちゃんとバレないようにやってますから!」

「やっぱり何かやってるんかい。――――っと、それよりもう今週末が投票日だけど、大丈夫なの?」

「あれ? もうそんなすぐでしたっけ?」

「まったく。日にちくらい、ちゃんと覚えときなさいよね!」


 そう言って忍さんはカレンダーを表示したバーチャルモニターを、私の方に指で弾いて移動させました。


「本当です!? もう最後の追い込みの準備をしないと」

「そういや、学校掲示板で誰に入れるかのアンケやってたけど見てみる?」

「そういえば、そんなのやってましたね。では――――――」


 私がページを開こうとしたら、突然教室の上にあるスピーカーから声が聞こえてきました。




「おーっほっほっほ。皆様ごきげんよう」

「こ、これは麗華さんの声です!?」

 

 なんだか凄く嫌な予感が。


「ちょっと外を見ていただけるかしら?」

「――――外?」

「桜、あれっ!?」


 教室の窓から外を見ると、突然大型トラックが何台か学校のグラウンドに入って来ました。

 そして、綺麗に横一列に並ぶと一斉に荷台が開き、中には新型マテリアル・デバイスが入っていると思われる箱がずらりと並んでいたのでした。


「わたくしに投票してくれましたら、この新型デバイスをすべて学校に贈呈しますわ」


 ――――まさか最後にこんな隠し玉を出してくるなんて。




「さ、桜。大変!? 投票アンケートが!?」


 アンケートサイトを開いた瞬間、ダントツで麗華さんが1位になっていました。

 やっぱり授業で新型デバイスが使えるようになるのが、嬉しいと思っている人は多いみたいです。

 

「これは覚悟を決めた方がいいかもしれませんね」

「そうね。私に出来る事なら何でも手伝うから、遠慮なく頼っていいわよ」

「わかりました。では、麗華さんとは最終日に決着をつけましょう!」

「最終日でいいの?」

「もうこうなったら小細工は通用しないので、しっかり作戦を考えないと。それと、助っ人も必要なのでちょっと行ってきます!!!!」

「え、ちょっと桜。どこ行くの!?」

「助っ人の所ですっ!!!!!」


 私は急いで教室を出ると、廊下の一番端っこにある教室に走りました。



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