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ゲームキャスターさくら  作者: てんつゆ
私に投票してください! 生徒会長選挙バトル
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私に投票してください! 生徒会長選挙バトル6



 ――――忍さん達がテーブルに行った後も私はラーメン作りを続けました。

 予想通りというかなんというか、生徒会選挙に興味はなくてもラーメンに興味を持ってる人はいっぱいいたので、無料ラーメンで知名度アップ作戦は成功したみたいです。


 けど、私の作戦はまだ終わってません。

 なぜなら私の作ったラーメンの丼には、まだ秘密が隠されてるのですから!


 凄く美味しいスープを飲み終わってからが、隠し玉の登場ですっ!!!!


「ごちそうさま、さくら~。結構美味しかったじゃない」

「お粗末さまでした。…………って、スープが残ってる!?」

「ふぇ? 普通残すでしょ?」

「飲んでください!」 

「なんでよ!」

 

 まさか忍さんがスープ飲まない派だったとは想定外です。


「ふう。ごちそうさまぁ。すっごく美味しくてスープも全部飲んじゃったよ」


 どうやら望さんは全部飲んでくれたみたいです。


「スープもっと飲みたいんだけど、替えスープもらえる?」

「…………それは止めときなさいって」

「ところで忍さん。望さんの丼を見てくれませんか?」

「どんぶり? …………なにこれ?」


 なんと。丼の下には腕を組んで「このラーメンを作ったのは私です」と書かれた私のイラストを隠しておいたのでした。 

 

「これで、さり気ないアピールも完璧です!」

「おお~。こんな所に隠れ桜ちゃんはっけ~ん」

「てか、これって大半の生徒が気付かないんじゃ…………」

「そんな事ないです! きっと皆さん飲んで――――――」

「ごちそうさま~」


 そうこうしている内にどうやら他の生徒も食べ終わったようで、丼を返しにやって来ました。


「見てください、忍さん。普通はこのようにスープも全部――――――残ってる!?」

「ほら。やっぱり皆、飲まないじゃない」

「うぐっ。そんなはずは…………」


 もしかしてスープを飲むのが少数派だった可能性が?

 いやまさかそんな……………。


「ま、まあいいです。スープ以外はみんな完食してくれているみたいなので、美味しさを伝える事には成功しました!」


 私は屋台から出てマイクを持ち、スピーカーのボリュームをMAXにして学食中に伝わる声でアピールする事にします。


「どうですか皆さん。私が会長になったら、毎日このラーメンが食べれますよ!」

「いや、流石に毎日は飽きるから」

「望は毎日ポテチ食べてるけど飽きないよ?」

「あんたは飽きなさいよ!」


 ――――大成功に終わったと思われた無料ラーメン大作戦ですが、私に気付かれないように学食の壁に隠れてこっちを探っていた人物の姿があったのでした。


「ぐぬぬ。まさか桜さんがこんな手を使って来るとは―――――。鈴木、こっちも手を打ちますわよ!」

「はい。麗華様!」


 


 ―――――次の日。

 私はルンルン気分で学食に行くと、なにやら人だかりが出来ているようでした。


「おや? 今日はラーメンの無料フェアはやってないはずなのに――――」

「さ、桜。大変よ!!!!」


 学食の奥の方から忍さんが慌ててやってきました。


「忍さん。学食で走ったら駄目ですよ」

「今はそんな事どうでもいいでしょ! 麗華達が最高級フランス料理を配ってるの!」

「ええっ!? フランス料理を!?」


 人混みをかき分けながら奥へと進んでいくと、麗華さんが勝ち誇ったような顔で佐藤さんや鈴木さんにキッチンから料理を運ぶよう支持を出していました。


「おーっほっほっほ。皆さん。わたくしが会長になったら、本場のシェフが作った世界3大料理を毎日食べ放題ですわよ~」


 キッチンでは麗華さんお抱えシェフが凄い勢いで料理を作っているようです。


 これは大変な事になってしまいました。

 売店に並んでいる生徒の数が昨日私がやっていた屋台の時より多くて、今回の事でかなりの人が麗華さんに投票してしまいそうな気がします。

 

「まさか料理で生徒を釣るなんて、卑劣な手を使って来るとは」

「…………先にやったのは桜の方でしょーが」


 改めて行列を見たら前の方に見知った姿がありました。


「って、よく見たら望さんも並んじゃってます!?」

「まあ、ただで高級料理が食べれたらねぇ」


 普段めったに食べれない高級料理が目の前にあったら、私も飛びついてしまうかもしれませんが、今は心を無にして雑念を抑えないと。


「そ、そう言えば忍さんは食べたんですか?」

「あたし? ううん。あたしも食べたかったけど、今日はお弁当だったか―――――きゃっ!? ちょっと桜、急に抱きつかないでよ!?」

「さすが忍さんです! フランス料理の誘惑に負けないって信じてました!」


 忍さんは抱きつく私を必死に剥がそうとしましたが、感謝の気持を表す為にしばらくしがみついていました。


 けど、このままだとこっちの状況がかなり悪いので、何か新しい対策を考えなくてはいけないですね。



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