リベンジマッチ4
「…………え?」
瞬間移動した!?
まだゲームは始まったばかりで、私は何もしてないのに何で違う場所に!?
――――――まず状況を整理しないと。
私は瞬間移動とかワープ系のスキルは持って無いので、間違えてスキルを選んでしまった可能性は無い。
フィールド効果も無いのでそれも違う。
そうなったら和希さんのスキルの可能性が高いですが、相手の場所をランダムに変えるとか?
チーム戦なら撹乱する事が出来ますが、シングルバトルでそんな事をする必要があるのでしょうか?
「桜、ライフ見てっ!?」
「…………ライフ?」
私は自分のライフを確認すると、ツーライフのはずなのになぜかライフが1になっていました。
…………設定ミス?
いえ、確かに最初は2つあったはずです。
つまり、降りた瞬間にやられた!?
改めてステータスを見てみると左上に「リスポーンまで後3秒」と表示されていました。
……やっぱり1回やられちゃったみたいです。
つまり、今は1回やられて別の場所から再度フィールドに出るまでの無敵時間という事。
一瞬でライフを1つ失った事はショックですが、この少しの時間で対策を考えないと。
おそらく和希さんは、またさっきと同じ攻撃で一瞬で勝負を決めに来るはず。
――――――だったらまずは、さっきの事を思い出す!!
私は倒された時の事を頑張って思い出そうとしたけど、あんな一瞬の事なんて覚えてるわけありませんでした。
けど、ちょっとだけ違和感があります。
そう、一瞬だけ不自然に前に倒れたような…………。
つまり後ろから攻撃された?
だったら!!!!
「ここっ!!」
私は後ろを振り向いて何もない場所に手に持った杖を打ち込むと、金属同士がこすり合う音と同時に和希さんの姿が現れました。
「ふぅん?」
すかさず私は和希さんの足元に火柱を立てたのですが、後ろにバックステップをして難なく避けられてしまいます。
「やるじゃないか。花丸をやってもいいぞ?」
「…………あ、ありがとうございます」
和希さんは薄っすらと全身が緑色に光っていて、距離を取ってしばらくしてからその光は消えてしまいました。
…………スキルの効果が切れたのでしょうか?
ちなみに和希さんの服装は、太ももが丸見えのかなり短めのショートパンツにおヘソ丸出しの半袖トップス。
光のような真っ白な服が和希さんの長い黒髪とマッチして、凄く美人さんに見えます。
鎧や肩当てなど重いものは一切身につけて無く、両手には少し派手な短剣を2つ持ってるだけで他の武器は見当たりませんでした。
「桜、相手の情報が解析出来たけどいる?」
「お願いします」
和希さんの姿を見て使ってるクラスが判明したので、少しでも情報を得る為にステータスを確認する事にしました。
スピード・オブ・ライト
攻撃力 AA+
防御力 D-
速さ SSS
適正距離 近距離
特性
壁走り
10段ジャンプ
相手に後ろから攻撃する場合、全て防御無視のクリティカルダメージになる
スキル
自分だけの刻
一定時間、超スピードで移動する事が出来る
再び使用するには、かなりのクールタイムが必要
「――――えっと、つまり始まった瞬間に超スピードで移動するスキルを使われて一瞬で倒された!?」
「スキルが切れる前に2回倒す予定だったんだけどな」
和希さんの取った行動は、まず対戦が始まって2秒で私の場所まで移動して瞬殺。
そして3秒のリスポーンタイムが終わった瞬間にもう1度攻撃してゲーム終了……。
「あ、危うく5秒で終わる所でした」
スピードキャラで来るとは思ってましたが、試合まで超スピード展開に持って行こうとするとは予想外です。
けど、距離が近距離から中距離になった事で、ここからは私のターン!
「反撃いきますっ! マーズ・メテオ!」
私は火属性最強クラスの魔法をくりだしました。
うねる爆炎の炎がフィールド全体を包み込み、灼熱の…………………。
「…………おや?」
凄い魔法が発動すると思ったのに、なぜか魔法は発動しませんでした。
私が不思議に思ってるとシャンティからの通信が入りました。
「桜、魔法の効果わかってる?」
「実際使った事は無いですが、攻略ガイドで効果は把握してますよ?」
「じゃあ、ちょっと言ってみ?」
「炎を纏った隕石によるフィールド全体攻撃です!」
「上から降ってくるアレがそうじゃない?」
「…………あれ?」
上を見上げると、大量の隕石がフィールドに降ってくるのが見えました。
……………そう、遥か彼方にっ!!!!
「発動してから効果が発生するまで、少し時間がかかるみたいだねー」
「…………少しというか、あれが来るの待ってたら試合が終わっちゃいます!?」
それにしても爆炎系の魔法は発動してから時間がかかりすぎたり、魔力を全て使い果たして動けなくなったりとピーキーな性能の魔法が多すぎる気がします…………。




