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人形列車 月の色3

 対戦を終わらせた和希さんがゲーム終了を選択して現実世界に戻ると、耳元からサポートAIハヤテの声が聞こえてきます。


「和希。予告より4秒もズレているぞ?」

「こいつが早すぎるのが悪い」

「なんだ、言い訳か? 予告したのなら時間通りに終わらせるのが強者というもの。どうやら、まだまだ精進が足りないみたいだな」

「――――ふぅ。わかった、次はもう少しゆっくりやる事にする」

「うむ。対戦前に相手の力量を完全に把握できるようになれば、お前より早い奴と対戦する事になっても大丈夫だろう」

「そんな奴がいれば良いんだけどな」


 ドサリ。

 と突然、何かが崩れ落ちるような音が聞こえ、和希さんは音のした方を向くと。


「気絶したか」


 敗北した菜々子さんがその場に倒れ込み、これで仲間に連絡される事も無くなり一安心。

 ――――――と、思ったのですが。

 

「…………あ」


 どうやら倒れた時に通信ボタンに覆いかぶさる形になってしまっていたみたいで、通信機越しに声が聞こえてきました。


「菜々子、なにかあったの? ちょっと、菜々子!?」

「…………和希よ。やっぱり、詰めが甘かったみたいだな」

「そうか? この場所に集まってくれるなら逆に好都合だろ?」

「ふむ。そういう考えもあるか」


 そういう訳で。

 和希さんは装着したデバイスを解除しないで、この場所にやってくるであろう菜々子さんの仲間の足止めをするみたいです。


「ハヤテ。連戦行けるか?」

「そんな事、聞くまでもないだろう?」

「じょうとう!」


 しばらくして音速の菜々子さんの仲間だと思われる人達が数名やってきて、倒れている菜々子さんを確認すると、さっそく和希さんにバトルを挑みかかってきました。


 複数 VS 和希さん1人の超絶ハンデバトルの形になっちゃってますが、和希さんなら絶対に耐えきってくれるはず。

 頑張ってください!



 ――――――――と、いう訳で。

 音速の菜々子さんの相手を和希さんに任せて、駅へと向かっている私達はどうしているかというと。


「あっ!? 桜ちゃん達はっけ~ん。こっちこっち~」

 

 ちょうど望さんと合流した所だったりします。

 

「ちょっと、望! そんなに大きな声出したら気づかれちゃうでしょ!」


 忍さんの声の方が大きい気がします。


「それと、口の周りに食べ残しがついてるから、これで拭きなさいよ」


 ポケットティッシュを取り出して、望さんの口についているケチャップをぐしぐし取ってあげるフォローも完璧です。


「ありがとー。忍ちゃん」 

「べ、別に望がだらしないからやってあげただけなんだらから!」


 とりあえず忍さんがティッシュをゴミ箱に捨てに行ってる間に、少しでも呼吸を整えないと。


「それにしても、リニスちゃんも大変な事になってるねぇ~」

「大丈夫よ。なんたって私には頼もしい従者がいっぱいいるんだもの」

「お~。それは心強いね~」

「…………たぶん、望さんも人数に入ってます」

「そなの? …………って、あれ? そう言えば和希ちゃんは?」

「和希さんなら足止め役を引き受けてもらってます」

「なるほどぉ~。和希ちゃんは強いから安心だね」

 

 そうこうしてる間に忍さんが戻ってきました。


「ほら、行くわよ!」

「も、もう少しだけ休憩しませんか?」

「そんな事してたら時間に間に合わないでしょ! ほら、さっさとしなさい!」

「それじゃあ元気になるために、望のモンエナあげるよ」


 望さんから貰ったエナジードリンクを飲んで、ちょっぴりだけエナジーを回復。

 これでまた少しは走れるはず。


「ふぅ。では行きましょうか」


 それから私達は必死で走ると、駅が見えてきました。

 ―――――列車までもうちょっと。


「いたわ!?」


 私達に向かってくる人物が1人。

 …………と、いう事はつまり。

 

「見つかった!?」


 そして更に私達を見つけた子の後ろから別の人物が現れました。


「2人もいる!?」

「望。行くわよ!」 

「わかったよ!」


 忍さんが前に出て、呼ばれた望さんもそれに続きます。


「桜達は先に行きなさい!」

「うん。わかった」

「2人共、頑張ってください!」

「ここは望が通さないっ!」


 私とリニスは忍さんと望さんの2人にその場を任せて駅に向かって走り出しました。

 そして私達が行くのを確認した忍さんは、自分のゲーミングサポートAIアルティに音声入力。


「アルティ、コンバージョン!」

「了解」


 すぐにマテリアルデバイスが変形して体に装着。

 そして忍さんに続いて望さんも、頭に乗っかっている猫ちゃん型デバイスに向かって音声入力をしました。


「行くよっ、ごんすけ! コンバァ~ジョン!」

「にゃわ~ん!」


 ごんすけがひと鳴きしてから、茶トラ猫カラーのデバイスがパーツに変形して、望さんの体に装着されました。

 

「最強、無敵、勝利! ここから先は望の時間!」


 そのまま手を広げながらくるりと横に回って。


「六道 望、大登場!!!!」


 みたいな感じでポーズとセリフもバッチリ決めちゃってます。

 けどなんか不満があるみたいで、望さんは微妙な表情で忍さんを見つめました。



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