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人形列車 月の色1

「はあっ、はあっ…………い、急いでください!」


 私達は全力で走ってVRエリアの出入り口に辿り着くと、ゲート前で音声案内が流れ出しました。


「VRエリアから退出なされる際は、ゴーグルの返却をお願いいたします」


 音声案内後に返却口が開くのを確認してから、私達はVRゴーグル返却口に投げ入れるように返してエリアを後にする事にします。


「ふぅ。なんとか逃げ切れました」


 マリアさんは私達を追いかける素振りすら見せなかった気がするので、逃げ切れたと言うより逃されたと言った方が正しいかもしれませんが。


 とりあえず今は安全みたいだから、現在の状況を整理しないと。

 

「ねえ、桜。マリアは私の事知ってたみたいだけど…………」


 リニスはちょっぴり不安げな表情を浮かべたので。

 

「大丈夫です。またマリアさんがゲーミングを仕掛けて来ても、私が守りますから」


 と、私は腕まくりをしながらウインクをして、私に任せなさいポーズをリニスに見せました。


「ふふっ。なにそれ~」

「決意の現れです!」


 まあ決意表明だけしても現状は良くならないので、まずは行動しないと。

 

「やっぱりマリアに私の事聞いてみる?」

「けど本当に答えてくれるでしょうか? 一応バトルで勝ったら答えてくれるとは言ってましたが、勝てるかどうかは本当に際どいです。それにもしマリアさんが悪い人だったら、負けたら大変な事になっちゃいます」

「う~ん。だったらどうすれば…………」

 

 今後の事を考えていると、突然通信を伝えるアラームが鳴り響きました。


「さくら~。忍から通信きてるよ」

「わかりました。とりあえず繋いでください」


 通信を繋げると、ドアップの忍さんがまくしたてるように話しかけてきました。


「くぉるぁあああああ。何で降りたら誰もいないのよ!」

「すみません。忍さんの事、忘れてました」


 けど、こうなったら忍さんに本当の事を言ったほうが良いかもしれません。

 それに和希さん達にも。


「シャンティ。グループトークをお願いします」

「和希と望でいいの?」

「はい」


 私は和希さんと望さんのデバイスとも通信を繋げ、これまでの事を説明しました。


「…………はぁ。また面倒な事になってんのね」


 画面の無効の忍さんは、ため息を吐きながら面倒くさそうな表情を浮かべています。


「のぞみ的には面白そうだからあり!」

「あり! じゃないでしょ! てか、なんで望がここにいるのよ!」

「ふっふっふ~。それはねぇ~」

「…………あの。それは後でお願いします」


 無理やり止めないと、このままずっと話しちゃいそうです。


「あれ? そういえば、そっちの子もどっかで見たような――――――」


 忍さんは少しだけ記憶を辿り。


「あっ!? もしかして格ゲーの大会にいた?」

「――――そういえば、あそこで1回会ったな」

「桜と関わると、ろくな事にならないから気を付けた方がいいわよ」

「もう慣れた」

「2人共、私をなんだと思ってるんですか」


 時計を確認すると、16時を少し過ぎた所でした。


「で、これからどうするわけ?」

「一応考えはあります。――――シャンティ、次の駅に向かう列車の時間を教えて下さい」

「ちょっと待ってて。……………えっと、一番早いのだと17時のがあるみたい」

「私とリニスはもう旅客列車には戻らずに、違う列車で最初の目的にの教会に向かう事にします」

「本当にそこに行ったら何とかなるのか?」

「わかりません。けど今は手がかりを当たって、少しでも前に進まないと」

「まあ何ともならなかったら、その時考えたらんじゃない?」

「適当すぎてしょ!」

「だけど今はその考えで行動するのが1番いいかもな」


 私はリニスの手を握るとちょっと戸惑いを見せつつも、すぐに力強く握り返してくれました。


「私達はこのまま駅まで向かう事にします」

「だったら私達もすぐにそっちに向かう事にする。足止めくらいなら出来るだろ」

「あたしもすぐに追いつくから、待たずに行っていいわよ」

「わかりました。では行きましょう、リニス!」

「うん。みんな、駅までお願い」


 全員で頷いて、決意を表します。


「あーーーっ。ちょっと待って、望まだ食べ終わってないんだけど」


 駆け出そうとした瞬間。

 望さんの声にガクッと転びそうになりましたが、何とか踏みとどまります。


「望。あんた何か食べてんの?」

「じゃーーん。これだよ!」


 望さんのモニターに山盛りのフライドポテトが映りました。

 流石にこれを全部食べるのには、かなり時間がかかる気が。


「なら先に行くから、お前は食べ終わってから来い!」


 言い終わると和希さんの顔が表示されていたモニターが消え、すぐにグループトークから退出しましたとのメッセージが表示されました。


「望さん。和希さんの言う通り急いで食べて喉に詰まったら大変なので、ゆっくりでいいですよ?」

「わかったよ!」


 望さんは親指を立てるポーズをしてから、大量のポテトを手づかみで食べ始めました。


「それじゃあ、解散します」


 流石にこのまま望さんを眺めているのもどうかと思ったので、部屋の解散を選択するとバーチャルモニターが消え、グループトークが終了。



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