人形列車 人形使い7
―――――数分後。
リニスが待ちくたびれていると思ったのでちょっぴり早足で向かうと、そこにはドレスを着た金髪の少女と談笑しているリニスの姿がありました。
「おや? マリアさんも来てたんですか?」
少女は私達に気が付くと、軽く微笑みながら話しかけてきました。
「ごきげんよう、桜。もぅ、こんな小さな子を1人にしたら駄目じゃない」
「すみません。ちょっとレアゲーが気になってつい。けど、マリアさんが見ててくれて良かったです」
「私は子供じゃないんですけどー」
「あれ? もしかしてその子も桜の知り合い?」
そういえば忍さんとは知り合いじゃないんでしたっけ。
そんな訳で。
2人にはぱぱっと挨拶を済ませてもらい、友達になってもらいました。
「ふ~ん。てか旅行中に2人も知り合いが出来たんだ」
「1回ゲームで遊んだら、みんな友達です!」
「ねえねえ。そんな事より早くどこかに行きましょうよ」
まあずっと立ち話してるのもなんですし、話すにしてもアトラクションに並びながらにした方がいいかもしれないです。
「何か乗りたいアトラクションとかありますか? 私はさっきゲームやったのでみんなで決めていいですよ」
「あたしは派手目なのがいいかな~。巨大なモンスターとかがいっぱい出てくるようなの」
「私は皆で盛り上がれるのがいいかも」
「あら? だったら丁度いいのがあるけど、マリアに任せてもらえるかしら?」
「そうなんですか? じゃあ最初はマリアさんのおすすめの場所にしましょうか?」
「うん。あたしは別にいいよ」
「おなじく~」
―――――というわけで。
私達は案内されたアトラクションの前に到着しました。
「ここよ」
「あっ。これなら得意分野かも」
「忍さんがいれば何とかなるかもしれませんね」
「う~ん。あんまり可愛くはないけど、皆で盛り上がれるならいっか」
今並んでいるアトラクションの名前はシューティング・コースター。
VRゴーグルを付けたまま4人乗りのジェットコースターに乗って、光線銃の様なデバイスを使って出てくるモンスターをやっつけながら進むアトラクションです。
光線銃でモンスターをやっつけると点数がもらえて、一定以上のポイントを手に入れた状態で最後まで行くと記念品が貰えるみたいです。
つまり派手なモンスターがいっぱい出てきて皆で盛り上がる事も出来る、両方の意見を取り入れたアトラクション。
――――それから待つこと30分くらい。
私達の順番になったので、そのままキャストの人に案内されジェットコースターへと乗り込みました。
座り方は私とリニスが前でマリアさんと忍さんが後ろの配置にしました。
これはシューティングの得意な忍さんを後ろに配置する事で、前列の私達が撃ち逃したモンスターを撃破してもらう為です。
「それではお手元にあるモニターでコースを選択ください。コース決定後すぐに乗り物が発進しますので衝撃にお気を付けください」
運営キャストさんの案内に従い乗り物の真ん中を見ると、コースを決定する電子モニターが付いていました。
どうやらこれで難易度を決めるみたいです。
「えっと。難易度はどうしますか?」
「最初だし簡単なのでいんじゃない?」
「マリアは一番難しいのでも良いわよ?」
まあ初プレイなので、忍さんの言う通り簡単なのから始めるのがセオリーですね。
コースは全部で3種類用意されていて、左から「らくらくコース」「ふつうコース」「げろげろコース」とありました。
「そうですね。では――――」
私はらくらくコースを選ぼうとしたら横からリニスが。
「あっ!? なにこれカエルみたい」
と、げろげろコースを選択しちゃいました。
「えっ!? それは多分意味がちが――――――」
私の言葉が終わる前に、ジェットコースターは最初からトップスピードで発進しました。
「ちょ、ちょっと。あんた達、なに選んだの!?」
げろげろコース。
多分カエルのげろげろでは無く、吐いてしまうって意味の使い方な気がします。
「ふふっ。もう来るみたいだけど、よそ見してていいの?」
「ええっ!?」
マリアさんが銃を構えた瞬間。
目の前を覆い尽くすくらいの、空を飛ぶ骸骨の群れがいきなり現れました。
「み、みんな構えてください!?」
私達も急いで銃を構え、すぐに骸骨に向かって光線を発射して撃破していきます。
けど、流石に数が多くて、全部倒すのはきついかも…………。
「ふっふ~。ここはこの忍さんに、まっかせなさ~い!」
忍さんは狙いを付けてトリガーを引くと、光線は骸骨のど真ん中を撃ち抜きました。
「いえ~い!」
その後も一発必中で敵をどんどん撃破していってくれたおかげで、何とか最初のモンスターは全部やっつける事が出来ました。
「ふ~ん。あなた結構やるのね」
「ふふん。まっ、こんなもんかな~」
後ろでマリアさんが忍さんに称賛を送りました。
私も気合を入れないと!
「リニス。私達も頑張りますよ!」
「う、うん。まかせて」
最初はビックリして照準がブレちゃったけど、もう結構慣れたから次は大丈夫なはず。
一呼吸すると、ジェットコースターは体育館くらいの大きさの広間へと到着しました。
広間には崩れかけの大きな柱が何本か立っていて、ちょっぴり怖い空気が空間を包んでいます。
――――そして。
すぐに第2波がやってきました。
次の敵は布を被って空を飛んでいるオバケです。
こっちに一方的に向かってきた骸骨とは違い、左右に不規則に揺れているので少し狙いをつけづらいかも。
けど、さっきよりマトが大きいので何とかっ!!
私はオバケに狙いをつけて引き金を引くと、光線がオバケに向かって飛んできオバケに命中。
「ええっ!?」
…………すると思ったら。
オバケは柱の後ろに透けるように避けて、私の攻撃は大きな柱に阻まれてオバケには当たりませんでした。
「そ、そんなはずわ!?」
まさか柱がただのオブジェクトじゃなくて障害物だったなんて。
けど、もう理解った!
オバケが隠れるタイミングを把握して――――。
それから。
「ここっ!?」
出るタイミングも把握っ!!!!
私の光線は柱の影から出てきた瞬間のオバケをとらえ、貫きました。
「よしっ!」
「やーるぅ!」
隣にいるリニスとハイタッチを交わして、残っているオバケもタイミングを合わせて撃ち抜く!
「――――ふぅ」
2個めのステージではかなり得点を稼ぐ事が出来ました。