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人形列車 人形使い4

「仕方ないですね。食いしんぼさんの為に、まずは売店から行きましょうか」

「あれ? 桜はお菓子いらないの?」

「もちろんいります!!!!」


 そんなわけで私達は売店に向かい、チュロスを3個買ってかじりながらテーマパークを周る事になりました。


 こういう場所は食べ歩きも楽しみ方の1つですからね。


「じゃあVRエリアに行きましょうか」

「いいの? 別に後からでもいいけど」

「私もVRエリアは気になってましたし、リニスもいいですか?」


 リニスに確認すると。


「美味しいお菓子があるなら、はたしはどこでもひぃ~」

 

 と、チュロスをもぐもぐしながら了承してくれました。

 VRエリアは名前の通りVR空間がメインなので、お菓子はあんまり無いと思いますが、多分なにか適当なのはあると思うのでまあ大丈夫でしょう。


「ではシャンティ。VRエリアまでナビをお願いします」

「ルートは最短でいい?」

「えっと…………なるべく売店が見えないルートで」

「りょーかい」


 最後にリニスに聞こえないくらいの小声でルート設定の追加情報をシャンティに伝えてから、私達は目的地へと歩き始めました。


 道中。売店に吸い寄せられそうなリニスをなんとか嗜めながら進むのにちょっぴり骨が折れましたが、これも無駄遣いを最小限にする為なので頑張らないと!




「ふぁああ。なんか眠くなってきちゃったかも」


 歩いている途中。

 リニスが目をこすりながら小さいあくびをあげました。


「ん? もしかして体調が悪くなった?」

「…………たぶん、ぽかぽか陽気に当てられて眠くなっちゃっただけかと」

「仕方ない。じゃあ私が付くまでおんぶしてあげるから、ちょっと寝たら?」

「シャンティ。目的地までの予想到達時間は?」

「えっと…………。後10分くらいだね」

「では10分仮眠を取って、それでも眠かったら休憩所に行く感じでいいですか?」

「うん。そうすりゅ~」


 リニスは忍さんの背中に倒れ込むようにもたれ掛かり。


「おっとと」


 忍さんがなんとか落っこちないように体を受け止めた瞬間、眠り始めました。


「あれ? この子、結構軽いわね」

「…………忍さん。あんまり体重の事を言うのは失礼かと」

「し、仕方ないじゃない。本当に凄く軽いんだし」

「そう思っても口に出さないのがデリカシーという物です!」

「う、うるさいわね! ほら、さっさと行くわよ!」

「あっ!? 待ってください」

 

 リニスをおんぶしているとは思えないスピードで、忍さんは歩き出しました。


 ふぅ。

 ともかくこれで、VRエリアにつくまでお菓子の心配をしないで済みそうです。



 ―――――そして。

 ついにやってきたVRエリア。


 この場所はエリアすべてが壁で覆われたドーム状の建物になっていて、中の様子どころか音さえも外に聞こえてきませんでした。


 入り口は何箇所かあるみたいで、私達が今いるのはユニゾンランドの入り口から直行で辿り着く事が出来る第1ゲート。


 新設されたばかりのエリアだからか、入り口はかなりの数のお客さんが長蛇の列を作っています。


「わ~。やっぱ新しく出来ただけあって凄い人ね~」

「ちょっと多すぎです」

「ふぁああああ。……………あれ、ここは?」


 忍さんの背中でぐっすり寝ていたリニスが目を覚ましました。


「あっ!? 起きたんだ。もう大丈夫なの?」

「…………えっと。うん、もう眠気は無くなったかも」

「けど、もうちょっと寝てたほうが良かったかもしれないですね。エリアに入るだけでもかなり待たないと駄目そうです」

「たぶんこの人数だと一時間待ちくらいかな~」

「他の入り口に行ってみますか?」

「う~ん。他も同じくらい並んでたら移動する時間が勿体ないし、ここでいんじゃない?」

「シャンティ。入り口の混み具合を調べる事は出来ませんか?」

「流石にそれはちょっと無理。飛行機くらいの高さまで飛べたら確認出来ると思うけど」


 シャンティは浮遊型デバイスなのですが、基本的には地面から2メートルくらいまでしか浮遊出来ないようになっています。


 和希さんが持っているような飛行型デバイスならある程度の高さまで飛ぶ事が出来ますが、テーマパーク内では安全の為に高度制限が設定されてるので、どっちにしろここでは高くは飛べないんですけどね。




 そんな訳で。

 身長の高い人がギリギリ頭をぶつけない位の高さがシャンティの飛行限界なので、今の私達に他の入り口の様子を確認する手段はありません。


「ねえ桜。3番ゲートが空いてたからそっちに行かない?」


 突然のリニスの言葉に、忍さんはハテナマークを浮かべました。


「あれ? なんでそんな事わかるの?」

「空いてるのが見えたからだけど?」

「いや。どうやって見るのよ」

「えっと。なんでか解らないけど見えた…………気がする」

「…………もしかして、まだ寝ぼけてる?」

「まあまあ、忍さん。リニスはなんか不思議パワーがあって、離れた場所の事が解ったりするんです」


 と言ったら。

 忍さんが白い目で見つめてきました。


「…………って、なんですか。その「ゲームのやりすぎておかしくなった?」みたいな顔は!」

「じゃあ、どういう事なのか説明しなさいよ!」

「うぐっ。確かに説明しろって言われたら、なんか前に似たような事があったとしか言えませんが、ともかく大丈夫なので行きましょう!」


 忍さんに熱意を伝えると、なんとか伝わったようで。


「――――ふぅ。仕方ないわね。まあここより少ない場所があればいいし、何個か周ってみるか」

「たぶん2個先の3番ゲートまででいいですよ」

「ねえ桜。歩くなら、またさっきのお菓子を買ってよ」

「………………」

 

 まあ何も持たずに歩くのもなんですし、仕方なくチュロスを皆でもう1度購入する事にしました。

 ただし今回はスモールサイズです!



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