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ゲームキャスターさくら  作者: てんつゆ
バトロワ編
10/128

バトロワ編10



「ん~どれどれ~。あ、2人いるわね」

「デュオなので2人1組で行動するのが基本ですからね。幸い近くに他のチームはいないようなので、ひとまずあの人達との対戦を優先しましょう」


 忍さんは少し不思議そうな顔をしました。


「そういや桜。どうして私が狙われてるって分かったの?」

「――――それは足音です」

「…………ほえ? 足音?」


 私は足で床を叩くとコツコツと言う音がしました。


「ほら。神殿の床は石で出来ているので地面と比べてコツコツと足音が響くので解り易いんです」

「ふ~ん、そうだったんだ~」

「ですので――――――っと、またっ!?」 


 相手のもう1人が今度は私に向かって矢を放ってきました。

 けれど瓦礫がバリケードになってくれているので私には当たりません。

 恐らく隠れて中々出て来ない私達にしびれを切らして牽制の為に撃ってきたんだと思います。 


「――どうやら相手は2人とも弓を使っているようですね」

「えっと、両方弓って強さ的にはどうなの?」

「おそらく初期の中距離で最強。――――とガイドブックに書いてありました」

「ええっ!? なにそれ、絶対勝てないじゃん」

「忍さん。あくまで「中距離では」です」

「…………ん? つまりどういう事?」


「近距離まで距離を詰めてしまえば何とかなる…………かもしれません」

「かもしれないって? ――――つまりどういう事?」

「すみません。ガイドブックで対策は調べてあるのですが、あの組み合わせのチームと実際に対戦するのは始めてなので……」

「なるほど、そういう事。それで桜、対策は?」

「頑張って相手に近づく事が出来たら近距離は苦手なので近距離武器で簡単にやっつけられる…………と書いてありました」


「解った。……それで? どうやって相手に近づくの?」

「えっと…………「頑張って近づく」です」

「ふぇ? だからどうやって相手に近づくの?」

「その…………「頑張って」…………でしょうか?」

「……頑張ってでしょうか? じゃ無ーーーーい! 大体なんなのその対策。桜のガイドブックって本当に役に立つ訳?」


 忍さんがブチギレてしまいました。


「忍さん。私の魂の書物ソウルブックをあまり悪く言わないで欲しいのですが――――」

「じゃあその本に書いてある知識でなんとかやっつける方法を考えてよね!」

「…………そうですね」 



 おそらく無策で近づいて行ったら弓で狙い撃ちされてゲーム終了です。

 装備が揃っている後半ならともかくとして、まともな防具の無い前半だと一瞬でやられてしまうと思います。


 こうなったら、取れる方法はアレしか無いようですね。  


「――――忍さん。あの人達に近づく方法が浮かびました」

「ホント? それでそれで? どうするの?」

「まず忍さんが相手に向かって突撃します」

「解った。――――それから?」

「弓は一撃の攻撃力は高いのですが一部の例外を覗いて連射は出来ません。なので忍さんが相手の攻撃を受け止めている間に私が一気に近付いてやっつけます」

「…………」


「なにか作戦に理解らない所はありますか?」

「…………その。…………ねえ桜? もしかしてその作戦って私に囮になれって言ってるの?」

「…………え? もしかしなくてもそうなのですか、何か作戦に不備でも――」

「があああああああああっ。却下よ、却下。そんな作戦不備だらけじゃない。大体なんでゲームが始まったばかりなのに私だけ速攻ゲームオーバーにならなくちゃいけないわけ!?」 


 忍さんは立ち上がって私の立案した作戦に不満を打ち明けると、瓦礫から頭がはみ出してしまいました。

 このままだと相手から丸見えになってしまいます。

 

「忍さん。あぶないっ!?」 


 ――――ストン。


 私は無理やり忍さんを座らせると、即座に相手の弓が忍さんの立っていた場所を通過して後ろの壁に突き刺さりました。 


「ふぅ。間一髪です。全く、突然立ち上がらないで下さい」

「全部桜が変な作戦を考えたからじゃないの!」 

「むぅ。いい作戦だと思ったのに残念です」

「全然いい作戦じゃなぁーーーーい!」 


 はてさて、さてさて、この作戦が却下になるとこれからどうすればいいのでしょうか。

 相手も他のプレイヤーが来る前に場所を移動したいでしょうし、私達もできれば他の場所で装備を整えたいのですが――――。

 そうこうしている内に相手プレイヤーは少しづつ距離を詰めてきていて、このままだと瓦礫のバリケードで防げない場所まで移動されて狙い撃ちされてしまいそうです。


 忍さんの魔法で応戦しようにも相手より射程距離が少しだけ。そう、本当に微妙にほんのちょっとだけ弓の方が長いので遠距離戦をしようにもこちらがかなり厳しい状況になっているのです。 


「……仕方ありません。ここは最後の手段です」

「その。一応聞くけど、この状況でどうするわけ?」

「私の盾なら何発か弓を受け止める事が出来るので、私が突撃している間は忍さんはサポートをお願いします」

「…………えっと。ねえ桜? それって最初の作戦とあまり変わらない気がするんだけど?」


「そんな事は無いです。魔法使いの忍さんは3発くらい当たるだけでゲームオーバーになってしまいますが、戦士の私なら6発くらいなら耐えられると思います」

「……は?」

「盾の耐久値はウッドシールドなので3、4発といった所でしょうか? ですので相手までたどりつけるかは五分五分の勝負かと――――って、おや? 忍さんどうかしましたか?」

「どうしたもこうしたもな~~い!」 



 またもや突然立ち上がった忍さんをめがけて相手の矢が襲いかかってきたので、私は再び忍さんを座らせました。 

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