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1 プロローグ

【「シナリオ把握~皇女の話」からきた方へ】

「ルシーズで受けた借りはルシーズで返す!」をコンセプトに書いていきます。

ルシーズ役含め中の人達が頑張る様子を温かい目で応援してあげてください。


【ルシーズって誰?という方へ】

乙女ゲー「約束の逆ハーレム」の攻略対象であり、主人公である皇女から常々セクハラを受けている社畜騎士の事です。

 私の名はレフ。雪獣族という原始的な狩猟生活を営む山岳民族の出身で、事情により閉鎖的な集落を出て人里へ降り、冒険者ギルド経由で「地球コネクト」というサービス代理店の取引先である終焉プロの実行本部で働いている男だ。すまない、これまでの人生紹介が長くなってしまった。

 ともかく、私はこの世界ではかなり強い部類の人間でそこそこ容姿には恵まれていたために、この世界および別世界の住民…地球の民向けのエンターテインメントを日々提供する事を生業としている。ちなみにサービスの特性上、客層の大半は女性である。


 さて、少しこの世界と「地球コネクト」について説明させてほしい。

 たまに神の気まぐれか何かで、同時に存在するいくつかの世界がつながってしまう事があるらしい。そして転生とか転移とかいう方法でたまにその世界を行き来する者がいて、それを真似しようと学者が考え出した方法が「召喚」らしい。さらに文明は進み、召喚技術を通じてある世界の住民と通信しようという狂気じみた「交信」風潮が広がり、実際に時の大賢者が成功してしまった。

 その大賢者がつないだ先が…地球という世界にあるニホンという国だったらしい。ニホンは私達が住んでいるこの世界とよりずっと安全で文明が進んでいると言われているが、地球の民同士でしか通信を行わないと言う。それは、人種はあれども全て人族における種族は唯一だからだそうだ。


 私達の世界で通信が出来ないのは、人型をとる種族が複数存在しており、種族間に軋轢が生じている事もあるからだ。だからって別の世界のいるかも分からない人族に同族を求めて通信を求めるのはどうかと思うが。まあ、地球の民は人族だから良かったと思う。


 最初は自分達の世界だけで満足しているからすぐに交信を切られかねないと思われていたが、ニホンの民はかなり変わった民族らしく、大賢者に向かって「異世界と通信とか、神展開っしょ、これ!」とか近くにいた人族に基本友好的な亜人系の職員を見て「ケモ耳いるとかマジやん!萌え展開キタ!」「ここは俺達のユートピアなのか?」「エルフとかすげぇ!ああ、今日で俺氏は死んでしまうのか…」などと彼らの異常なまでの興味は飽くことがなく、むしろ交信を向こうからしてくれた。


 そんなニホンの民と私達の世界の民はやがてビジネスすら興すようになる。ニホンの民向けのエンターテインメントとして、劇やダンジョン攻略をやってみせたり地球にはいない容姿の者達が疑似恋愛として接客したり…ニホンはかなり豊かな国らしく、気前よく課金してくれる彼らは私達の世界にとって貴重な収入源だ。また、ニホンの民は昔から礼儀を重んじる民族なんだそうでマナーもなっている事が多いため、ありがたい客層である。ただ…かなり風変りした感覚を持っている。

 幼女や少年が好きだとか、黒・茶・金以外の髪色が好きだとか、同じ人族ではなく亜人族が好きだとか、趣味嗜好の傾向が私達の世界とはかなり異なっている。自らと非なる存在を好きになりやすいというのだろうか…よく分からない。


 ともかく、ニホンの民に向けたサービス業がこの世界では学が無い人間における唯一の稼げる仕事なのだ。

 競技選手や兵士、風俗業界は恒久的に金が稼げるわけではないが、この業界に入ってしまえばあとは実力次第でどこまでも収入も評価も変わるのだ。まさに私なんかがそうだ。


 ここは社会的弱者でも受け入れてもらえる場所、いわばはじかれた実力者の巣窟なのだ。



 「さあ、俺を殺してくれ。来い!」

 「無茶言うな、ついさっき拷問受けて半身不随になったばかりなんだぞ。」

 「ん~じゃあ、顔の皮はがさして~。」

 「どうしよう、どうしよっ、ナイフ貫通させたまま腕振ったら動脈切れちゃって血が止まらないんだけど!」


 ――これは、ゲテモノと呼ばれるいわゆるムナクソ展開且つグロ描写ありの乙女ゲーの役者を生業とし、一生懸命に生きるいわゆる「中の人」の物語。






 地球コネクト・終焉プロ部門・「約束の逆ハーレム」部の室長である私は、自傷の演出「練習」をして動脈を切ってしまったフユさんの腕に包帯を巻いてやりながら部下への指示を考える。

 「とりあえずヒデツグ、お前はエベッカさんの練習に付き合ってやれ。」

 「おう。」

 「よろしく~。」

 とりあえずこれで事態は落ち着いただろう。


 「ごめんね~、レフ君。気づいたら血が止まらなくなっててさ~…」

 「良いですよ、こういう時はお互い様です。」

 フユさんが申し訳なさそうに言う。

 男性らしからぬ女性のような細く白い腕はスベスベしている。中性的な見た目だが、引き締まった細身の長身が彼のアピールポイントである。


 「しかし、フユさんの我慢強さには常々驚かされますよ。」

 「え~、そんな事言ったらレフ君とかヒデとかどうなのさ。」

 「私たちは戦闘職じゃないですか、体が資本なので。でも、あなたは魔道系で、前線で戦うタイプじゃないですよね。」

 「えへへ~。」


 傷付いた時はすぐ死ぬ時である魔法使い・魔導士・魔術師・神官などすべての魔道を極めたフユさんは…魔族と人のハーフである狂戦士の末裔だ。

 能力が如実に発現して危険視された場合は彼のように政府の管理下で一部の自由を奪われる事がある。能力が発現していなければ解放されるらしいのだが、やはり能力を恐れられて一般職に就ける者は少ないが故にこの業界に流れ着く。

 ちなみに私以外のこの部署の正社員は全員末裔で固められている。そのぐらいの実力者揃いであり社会的に弱い立場という事だ。


 「こんなもんでどうです?」

 「うん、ばっちり!ありがとね!2時間したら元に戻るから。」

 異常な再生能力を備えているのも狂戦士の末裔の特徴だ。


 「研究熱心ですね~、フユさんは。」

 「そんな事ないですよ、コレットさん。」

 「あ、お疲れ様です。」


 書類の束を運んできた小柄な職員は、うちの部署の事務長であるコレットさんだ。彼女とフユさんと私は前の職場…別部門のダンジョンで働いていた仲間だ。


 「ヒデツグさんとエベッカさんは?」

 「ああ、今演出の練習を。」

 「そうなんですね、4人にお話ししなきゃいけない事があるので呼びます。」


相変わらず最初の出だしが下手ですが頑張ります。

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