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現代病床雨月物語 第三十四話 「依怙地巡礼(その三)大阪編」

作者: 秋山 雪舟

大阪府の古寺巡礼は十二寺あります。第一番は四天王寺(大阪市)です。「四天王寺さん」と言われ大変有名です。「聖徳太子(厩戸皇子)」が建立したと言われています。明日香・斑鳩=法隆寺と繋がる寺です。私は、大阪湾から奈良に繋がるルートとしてこの小高い丘に四天王寺を建てたと思っています。この四天王寺は遥か朝鮮半島や中国=唐を意識しているのだといえます。大昔から大阪湾は大陸へと繋がる玄関口としての国際都市の役割を担っていたのです。大昔はここから大阪湾が一望でき夕日がきれいだったので夕陽丘と地名が付けられたと聞きました。昔の人達は船からこの四天王寺の伽藍を眺めたと思います。四天王寺の参道には今も神仏混交(神仏習合)を象徴する立派な石の鳥居があり威厳を保っています。

 第二番の清水寺(大阪市)は、四天王寺の丘を西に下り十五分ほど歩いたらたどり着きます。清水寺は小さい寺でこの界隈は多くの寺がありそのため墓地が目立ちますが静かで感じの良いところです。昔この清水寺の滝は水量が多く滝行が盛んにおこなわれていました。

 第三番の法楽寺(大阪市)はJR南田辺駅近くにあります、境内には鐘楼や建物が秩序よく配置されています。参拝者のためにベンチがありそこに腰掛けると落ち着いた気持ちになっていきます。

 第六番の太融寺(大阪市)は、JR大阪駅や阪急・阪神の大阪梅田駅にも近く繫華街の中にあります。境内に一歩足を踏み入れると喧騒が噓のようです。私はなんだかこの太融寺が仏の教えである泥池の中で咲き誇る蓮の花の様に思えてしまうのです。私が訪れた時は盛んに抹香が焚かれていました。参拝者は女性が多いと感じました。ある一人の女性はセレブのような綺麗な服装で真剣に手を合わせていました。日々の生活のなかで多くの人が過去も現在もこの様に手を合わせていることに真摯な気持ちにさせられました。未来にもこのことが続く事を願いました。

第十二番の安岡寺(高槻市)は、小高い山の上にありその立地そのものが何か尊い場所であると感じてしまいます。本堂に木造の不動明王像があり弘法大師の作と伝えられているそうです。また境内に不動明王の石造立像があります。ここではタイミングよく、住職の奥さんが是非お堂に入ってお参りしてくださいと勧められたのでそのお言葉に甘えて手を合わせて「難病平癒」を念じました。

第二十八番の成田山明王院(寝屋川市)は、節分の豆まきを例年NHKの朝ドラの出演者がする事がニュースで報道されます。地元では車の交通安全祈願で有名です。

私は何故か神社仏閣に行くと女性に案内してもらう事が多いのですがよく考えると何処の寺社でも日常寺社を切り盛りしているのが女性であるために当然と言えば当然であります。たまに男性の僧侶が出てきて説明する時は話口調に嫌悪感を覚える事があります。それは如何にも霊験あらたかな寺であり秘仏であることが当然であるように伝えるからです。また信心深ければご開帳の日に来るのが当然のように話すからです。その時私はのど元まで出かける言葉があります。それは「あなたが一番初めに崇めたてなければならないのは亡きアメリカ人のアーネスト・フェノロサではないのか」と考えるからです。

御存じではありましょうが明治維新により神仏分離が進められていた時代、僧侶は未来を悲観し日本全国で仏像を捨てたり燃やしたりしていました。その時代に日本政府は、お雇い外国人として一八七八年(明治十一年)アメリカ人のアーネスト・フェノロサを東京帝国大学の哲学の講師として要請しました。

フェノロサはやがて日本美術に興味を持ち日本古美術の保存・研究に力を注ぎました。彼の協力が無ければ今日の様な日本美術はなかったと言われています。

 余談ですが私は、このフェノロサの業績と精神がアメリカ人の一部にも伝わり第二次世界大戦時の空襲が京都や奈良を回避した事に繋がったと信じています。

話を戻しますが、女性の方が自然で違和感のない信仰を持っていると思いました。こんな私の依怙地な巡礼はまだ続きます。


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