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大観覧車恐怖症(※お食事前、お食事中の人は自読み下さい※)

作者: KEN


高所恐怖症でもなければ閉所恐怖症でも無い僕が『大観覧車』に恐怖を感じるってのもおかしな話ですよね?


僕が大観覧車に対して『恐怖の感情』を抱くようになったのには、十年前ぐらい前に家族で行った遊園地で、身も凍る冷や汗ダラダラの経過をしたからになります。


あれは秋もすっかり深まり、そこらかしこの山では紅葉が盛りの頃、息子の小学校の創立記念日と僕の仕事の代休日が重なり、この日は家族みんなで遊園地に行く事になりました。


朝からゴソゴソと家事を済ます嫁の都合により遊園地に着いたのはお昼前になっていましたが、行楽シーズンにも関わらず平日の遊園地内は予想通りにガラガラ、だからどのアトラクションも待ち時間がなく遊び放題の様子、先ずは家族みんなで楽しめる『大観覧車』に乗車をし、遊園地全体を見渡すと、案の定に慌てる必要もないと考え、すっかり紅葉の深まった山々を眺めながら少し早いお弁当タイム、家族団らんのほのぼのとした時間を過ごし、しばらく休憩をした後、身長制限がやっとクリア出来た息子に誘われてジェットコースターに乗る事になったんですが・・・


まあ、元々から妻恐怖症以外には何の恐怖症もなかった僕なんで絶叫マシーンも何のその、童心に戻り息子以上のハイテンションでジェットコースターに乗り込むと、スピードや落差や回転などには恐怖よりも充分にスリルを楽しめていたのに、年を取ったせいなのか?


若い頃には何も感じなかったはずの『内臓をグリグリ掻き回されるような感覚』が苦しくて苦しくて、絶叫をあげる余裕もなく目を瞑りながら「早く終わってくれ!」と泣き出しそうなのを何とか耐え抜いたまでは、大人としての体面を守れたのですが・・・


それがですね、ジェットコースターを降りた瞬間、強烈な便意が僕を襲い始めたんです!


おそらくジェットコースターのアクロバティックな動きに内臓が悲鳴を上げたと思うこの便意!


今までの僕の人生で経験をした事の無いような猛烈な便意!


慌ててポケットから取り出した園内パンフレットでトイレの位置を確認するも、どう考えなくても今の便意を抑え切れる距離では無い場所に仲良く並んでいる青と赤の鮮やかな人間のマークが・・・


小学生時代の下校時にも経験をした事のない、僕にとっては『人生で最大』と表現をしても過言ではない大ピンチに冷や汗をダラダラ垂れ流している僕の目に入ったのが、すぐ目の前にあったガラガラに空いている『大観覧車』です・・・


この時の僕はとにかく便意以外の事は何も考えられずに慌てて大観覧車へ乗車をし、しばらく他のゴンドラに人の気配がないのを確認後、ベルトもボタンもチャックもブチ切る勢いでズボンとパンツを下ろし、そのまましゃがみ込んで排便(これ以上リアルな表現は控えます)・・・


少し?多いに?スッキリとした気分でお尻を拭こうと立ち上がり、清々しい気持ちのまま頂上付近で見た周りの景色には「何となく登山家の心境かな?」と、少しワイルドな思いにも浸りました。


こうして人生最大のピンチを乗り切り「何とか大人の体面を守る事に成功した・・・」と安堵をし、冷や汗を拭いながら落ち着いた心境で大便にパンフレットを被せ、ゆっくりと近付く地上の景色を確認しながら、ゴンドラの扉が開くなり速足でその場から離れ何食わぬ顔をして家族と合流、その後、ガラガラの遊園地で楽しい一日を過ごそうとしていると・・・


その間も全く止まる気配を見せない『大観覧車』が視線に入るたんびに、楽しそうに騒ぐ子供たちとは裏腹に


「あれはいったいどうなったのか?」


「もし何も知らずにあのゴンドラに乗った人がいたならば?」


「いったい誰がどんな状況で見付けたのか?」


「誰がどうやって片付けたのか?」


等を考えてしまい、色んな想像をすればする程に身も凍る恐怖感に襲われ、改めて自分の犯した事の重大さに気付き、はっきりと、身体全身に恐ろしい戦慄が走るのを感じずにはいられませんでした。


この出来事があって以来「もし僕と同じようにしてピンチを乗り切った人がいたとしたら?」と考えると『大観覧車』が巨大なロシアンルーレットに思え『大観覧車恐怖症』を抱える事に・・・


その後、その遊園地では『大観覧車』から『観覧車』へと名称変更されたそうです。




信じるか信じないかは・・・


あなた次第です・・・

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