第7話 始まりの町
episode7
「次は~、新横浜~、新横浜です。新横浜を出ますと~、次は~、品川に停まります。」
名古屋を発車し、そんな車内アナウンスが鳴っている中、僕はゲームの夢中だ。
あの二人の運命が気になって仕方がないから......。
勇者「あの......場所で、いいんだよな?」
姫「いやいや、そこ以外反対にどこがあるのよ。」
勇者「だよな。魔王の威力から逃げられる場所......なんて、あそこしかないよな。」
勇者と姫は、そう話しながら、走って逃げる。
......ゲームだからか?スキップが入って、少しストーリーもあったものの、すぐ「あの」目的地に着いた。
姫「ここ......、本当に、私たちが生まれ育った......町なの?」
勇者「え?これ......って」
二人の眼中に広がっていたのは焼け野原。
勇者「どういう...あれなんだよ?」
焼け野原に足を踏み入れてみた。
そこには、一軒だけ、家が残っていた。
姫「誰か......いらっしゃいますか?」
返事がした。おじいさんの声だ。
おじいさん「はい?どうしました?」
姫「私たち......幼少期、ここで生まれ育って、今、帰ってきてみたら、焼け野原になってて......これっていったい、何があったんですか?」
おじいさん「これか。これはな、ちょうど今から2ヶ月前だったな......。大火に襲われたんじゃ。料理店から出火して町のほとんどが燃えていったんじゃ。わしの家は奇跡的に燃えなかったから、ここに今も住んどるんじゃが......。もうそろそろ引っ越そうかの。」
勇者「町の皆さんはいったいどこへいかれたんですか?」
おじいさん「あの山の上にみんな逃げてった。目指したらどうじゃ?あの山の上......。」
勇者と姫は頷きあった。どうやら登山の覚悟は出来たようだ。
勇者「ありがとうございました。目指すことにします!山の上。」
おじいさん「頑張ってな。これだけ君たちにあげるよ。」
懐中電灯を手に入れた。
おじいさん「あの山は標高約2000m。きつい道もあるからな、気をつけるんじゃぞ。」
勇者と姫「はい、頑張ってきます!」
二人は気合いを入れて山に入っていったーーー。
ん?スタッフロールが流れ出した?
エンディング?ここで?こんなところで?
あ~。そういうことね。
山を登るのはエンディング後の裏ストーリーね。
そう信じて僕はエンディングロールを見続ける。
5分後、エンディングロール終了。
え!?山登り、もう終わってる!?5分だよ!?
勇者たち、さすが、速いな......。
そして、山の上の町にたどり着いた勇者と姫。
そこには、どんな運命が待ち受けてるのやら......。
続く。