第5話 二人の行動
episode5
三人で逃げたのがまずかったんだ。
......と思い、僕はやり直す。
ハッピーエンドにたどり着くまでもう一秒たりとも目が離せない。
数十分ぶりに魔王の間。
勇者たちは再び、魔王と対峙する......。
もう、決まり文句となった、例の選択肢。
(戦うor勇者だけ逃げる)
僕は戦うを選択した。
もう、やることは決まってるからーーー。
1ターン目、コマンドが姿を表す......。
勇者のコマンドで僕が選択したのは、「逃げる」。
でも、もう逃げたって、同じことにはならない。
どう逃げるかの選択肢があるから。
(姫とだけ逃げるor三人で逃げる)
もちろん僕は、姫とだけ逃げるを選択。
勇者「姫、二人だけで逃げよう!」
姫「はい!勇者と二人なら!」
二人だけで魔王の間からの脱出を試みる。
も、カイが追いかけてくる。
カイ「お前ら、俺を騙す気か!」
勇者には案があった。
魔王の間に続く一本道、裏道もない、たった一つの一本道。
そこに......勇者は柵を打ち付けた!
カイ「最初からそういう手だったのかよ!柵をはずせ!殺してやる!」
そんな願いもむなしく、柵は殴っても押し込んでも、外れることはなかった。
魔王「お前はカイというんだな。お前だけでも殺そうか!」
カイ「ひ、ひぃ~~~~~!」
......そこからカイがどうなったかは知らない。
何一つ知らない。
だってこのゲーム、このまま勇者に視点が行くから。
勇者と姫はやっとの力で外までたどり着いた。
勇者「なんとか......逃げられたね。これから、どうしよっか。」
姫「まだ、ここじゃ追い付かれるかも......だから、だから、もっと遠くに、遠くに、あなたと逃げたい!」
勇者「分かった。もっと、逃げよう。」
勇者と姫はもっと遠くに逃げることになった。
どこに逃げるか、二人の決意は、速くも、話さずとも、固まっていた。
「あの」場所に向かって......。
新大阪から乗った、東京行き新幹線、やっと岐阜羽島を過ぎた。
もうすぐ名古屋だ。
ちょっとここで一旦ゲームをやめて大阪で買ったグルメを食べてみよう。
(ハッピーエンドまで一秒も目が離せないって言ったの、誰だっけ?)
続く。