栞の絵日記
20xx年、少子化の歯止めとして、国は遂に動いた……
出会いの少ない若者達、結婚の高齢化によりさらに少子高齢化が進む
しかし考えて欲しい、一番最初に出会う異性それは、母親、そして妹だと言うことを、そうすでに若者の一部は出会っているのだ
しかし母親は既に結婚している、しかし妹は結婚していない、これを見逃している若者よ、出会いが少ないと言っているが、君達は既に運命の人と出会っているのではないか?
さらに競馬にインブリードという言葉がある、血統が近ければより強い遺伝子が伝達する、コロネーションという馬は兄妹配合により凱旋門賞を勝った。
そして、我々の祖先、そう日本を作った神、イザナギとイザナミは兄妹だ。
神話の世界では兄妹婚は当たり前、英雄は兄妹から生まれるなんて事もざらだ。
その歴史等から国は動いた、遂に本日、国会に於いて兄妹での婚姻が賛成多数で可決され、兄妹婚が国によって認められたのだった
私とお兄ちゃんはすぐに婚姻届けを提出、日本初の兄妹夫婦がここに誕生したのである。
「お兄ちゃん、遂に私たち、結婚したのね」
「そうだな栞、俺たちはもう夫婦だ」
「お兄ちゃん、嬉しい、志織……感激」
「さあ、志織、ベットにおいで」
「お兄ちゃん、遂に、遂に、この日が、ああ……お兄ちゃん」
「栞! 愛してる♡」
「お兄ちゃん私も、ああ、お兄ちゃん♡♡」
############
「えっと、栞さん……、おもむろに見せられたこれって……ナンデスカ?」
「え? お兄ちゃんと私のラブラブストーリー、なんか書いたら読んで貰いたくなって、なろうぜに投稿したの、そうしたらほら見て恋愛ランキング1位に~~ブックマークもドンドン増えてる、えへへへへへ皆私とお兄ちゃんの結婚を祝福してくれてるよ~~~」
「………………」
変な始まりで申し訳なかった……そう……ここはいつものリビング、そしていつもの妹との放課後ティータイム
学校から帰るなり妹に、「これ見てお兄ちゃん」とタブレットを押し付けられた。
『小説家になろうぜ』アマチュア小説投稿サイト、最近ではプロの登竜門となり、書籍化、漫画化、アニメ化と乗りに乗っている小説投稿サイト、そこに栞が先ほど読んだ小説を投稿したらしい……
「あ、ほらお兄ちゃん、感想も付いたよ~~幸せになってください応援してますって、どうしようお兄ちゃん、祝福されちゃった~~ブックマークも今2000件越えた、皆、お兄ちゃんと私のラブラブ物語を読んでるのね」
俺に寄り添うようにタブレットの更新ボタンを押す妹、ドンドン増えて行くブックマークにドンドン引いて行く俺……マジかほとんど実名で書くか? しかも変換間違えて実名そのままに為ってる所も、わざとか?……
「えっと栞って小説なんて書けるんだ」
「うん、昔からお兄ちゃん絵日記を書いてたから」
「なんか前に聞いたけど……えっと……絵日記は小説というよりは、あった事をそのまま書くだけだろ? 小説書くのとは違うんじゃない?」
というか……、日記じゃなくてなんで絵日記?
「ううん、毎日お兄ちゃんと一緒にいた訳じゃないから、お兄ちゃんと遊べなかった日はお兄ちゃんと私で今日こうやって遊んだらっていう想像で書いてたの~」
「…………」
「あ、そうだ! 今小説書いている参考に一冊持ってた、えっと……はいこれだよ」
栞はテーブルに絵日記帳を置いた、タイトルは、栞とお兄ちゃんの絵日記vol318
て言うか……学校に持ってたって事かよ……まじでばれたらどうすんだ?、いや本当に俺を思ってる事以上にこれを書いている事を知られるダメージはでかいと思うぞ
「えっと、まさかとは思うけど、318冊目ってこと?」
「うん、今vol1518迄あるよ見る?」
「えっとまた今度でいいです…………、で、それはまだ書いてるの?」
「うん、最近サボリ気味で」
「ああ、そう……まあ、そうだよな、あはははは、さすがに高校生になったらな」
「うん、1日1ページ位しか書けないの……ごめんねお兄ちゃん」
「………………」
俺は怖いもの見たさでその絵日記を開いた……
『1月1日お正月、家族でスキー、お兄ちゃんが転んで雪だるまみたいになっちゃった、でも、お兄ちゃん雪だるま可愛いい』
雪だるまの顔が俺の顔になった絵が、上手い……
「上手い上手い、行ったな~スキー懐かしい」
「今年の冬は二人きりで行こうねお兄ちゃん」
「えっと、これ長野の婆ちゃんの家から行った奴だろ?」
「うん、お正月は多分また長野だけど、冬休み中に行けばいいんだよ、お兄ちゃんとスキー、ゲレンデビューのホテル、温泉……えへへへへへへへへ」
「おーい、栞~~~……ああ、また異世界に……まあいいか……えっとその妄想部分の絵日記はどれだ?」
異世界に旅立った妹をいつもの様にほっておき、再びパラパラと絵日記を捲る、絵はクレヨンと色鉛筆で話しに合わせて変えているようだ、なんか色鉛筆は写真的に塗り、クレヨンは油絵みたいに塗り重ねていて、これって結構凄いんじゃないって作品まである……ただ全部俺と妹の絵なんだけど……
「えっと……」
『3月1日、今日お兄ちゃんといつものようにお医者さんごっこ、お兄ちゃんがお医者さんで私が看護婦さん』
「ん? お医者さんごっこなんてしたことねえぞ? しかも医者と患者じゃなくて看護婦?」
『「先生わたしを診察してください」……そう言って私は白衣のボタンを外す、先生は聴診器を私の胸にあて「君の心の音を聞いてやろう、何々……お、聞こえるぞ、愛してる、愛してるという音が」「ああ、先生わかってしまうのね先生……、お兄ちゃん先生……」』
「…………なんだこれ昔の昼メロか!」
絵は栞の胸のちょうどその……の部分に聴診器をあてる俺……変態かよ!!
「なるほど、これを書き続けていると……頼むからそろそろ止めてほしい……」
そしてテーブルに置いてあるタブレットを更新…………なんかまたブクマが増えてる……
しかもこれ連載じゃね? これも書き続ける気かよ……
でも、栞の能力を考えたら……、ひょっとして書籍化とかあり得るかも……ましてやアニメ化なんてなったら……
しかもほとんど実名……これが栞の友達にバレたら……なんか爆発的に広まってまじでヤバイんじゃ
俺は削除のボタンに指を……でも…………妹が一生懸命書いた文章を消すなんて……
「出来ない……俺には……」
俺は削除を諦め幸せそうに妄想の旅に出ている妹を見ながらコーヒーを一口飲んだ
####
そして2日後……
「おにいじゃああああああん、うえええええええええん」
学校から帰りいつものリビング……部屋に着替えに行った後、慌てて泣きながら降りてきた
「ど、どうした?」
「なろうぜが、なろうぜのお兄ちゃんと私のラブラブ小説があああああああ!!」
「ど、どうした! ま、まさか……書籍」
「削除されたああああああああああああああ」
「へ? 削除? なんで?」
「わかんないいいいいい、昨日ちょっとお兄ちゃんとのベットシーンをちょっとだけリアルに書いただけなのにいいいいいい、なんでえええええええええ」
「……」
「そんなんで削除するの~~~ひどい~~~私とお兄ちゃんのラブラブストーリー120話が全部消えたあああああ、うえええええええええん」
「120話ってどんだけ書いてるんだよ……で、えっとリアルって……その……どのくらい?……」
あ……、聞いちゃダメな奴?
「えっとね、お兄ちゃんが私の(自粛)を(自粛)する、私もお兄ちゃんの(自粛
)(自粛)を」
「やめてええええええええ、本当にリアルに消されるから、やめてええええええええ」
「もっとリアルに書いて違う所に……ヨミカキに投稿してやる~~さあ、お兄ちゃん取材をしよう!!」
「やだよ!」
「私の小説の為にお兄ちゃん一肌脱いで」
「それ本当に脱がすって意味だろ、やだよ」
「やああだあああ、やあああだああああああ、お兄ちゃん協力してええええええ」
えっと、あの作品が世に出て、あの○○賞作家の孫なんてバレたら婆ちゃん泣くんじゃ、よかった削除されて……
でも、実は教えて貰った後にちょっとだけ部屋で読んでいた事は妹には内緒で
そしてちょっぴり最後まで読ん見たかった……妹が作った俺と妹の物語の結末をね
急いで書いたので文章が酷いと思います。
レビューのお礼になるかわかりませんが、自分に出来る事は書くことだけですので、この話しは、評価やブックマークとか気にせずに本編を読んでいる方に読んで頂ければ幸いです。
新規だと、本編知らない人がなにこれ? ってなるんですよね、苺編みたく、でもさすがにこれを今本編にいれるにはちょっと(笑)
新規で読んで頂いて興味を持った方がいましたら本編を宜しくお願いいたします。