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昼とトイレ

 主人公の口が悪いですが素です。

「悪いちょっとトイレ行ってくる」

「おー行ってらー」

「いってらっしゃーい」


 昼食を食べ終わり席を離れ指定された教員用トイレへと向かう。


「あら那谷くん。トイレかしら?」

「ああ。だからまた後でな」


 実は内心焦っているユウでありそれを察した倉須院は何も言わずに手だけ振りユウの横を通り過ぎる。歩いているとも走っているとも言えない速度でトイレを目指して行く。後ろから3人尾行しているとも知らずに。

 教員用女子トイレ前に到着し躊躇するも背に腹は代えられないと入っていく。そして個室に入る前に腕を掴まれる。


「ちょっと那谷。ここ女子トイレなんですけど?」

「元とはいえ男子が女子トイレに入るのってどうなのよ」

「変態さんなんだねー?」

「……はぁ」


 数に任せて難癖をつけてくるのは性格が悪いとされるクラスメイト3人組である。厄日だと思いながらも弁解を試みる。


「あのなぁ……俺も好きで入ってる訳じゃないんだが……学校からここ使えって指定されて使ってんだよ。あと文句なら後で聞くから今は止めてくれ。割と限界なんだ」

「ふーん。限界なんだー?」


 面白そうに笑いながら体を見て来る。その視線を不快に感じて腕を振り解こうとするも離れない。


「そもそもアンタさーホントに体が全部女なワケ?」

「下だけ男って場合もあるよねー」


 そう言って1人が腹を撫でながら少しずつ押す力を強める。


「胸だけそんなバインバインにしてさー。正直ムカツク」

「いやいや。女性の魅力は胸だけじゃねーって。他にもあるから……ごめん」

「何故謝るし!?」

「君達の他の魅力探してたけど……言うと傷つかなーと思って」

「無かったって言えよ!変に優しいのが一番傷つくんだけど!?」

「てか那谷お前割と余裕あるだろ!」


 ユウは可哀想なモノを見る目でいるが先程から腹を擦られて本当に限界が近い。


「俺なんかに構ってる暇があったら自分を磨いて……な?」

「ムキー!男子のクセにー!」

「こうなったらアンタを女子として終わらせてやる」


 そもそも始まってすらいないよと思っていると女子の一人がスカートを捲ろうとしている為全力で抵抗をする。


「ちょ……」

「あっ!こいつ抵抗しやがって!しかもいっちょ前に短パン穿いてやがる!男子へのサービス精神ゼロか!男子として夢壊すのどうなんだよオオン!?」

「俺なんかで夢見る男子も男子としてどうなんだろうなぁ!」

「うっせぇ!男子の中で広まっている裏女子ランキングいきなりトップ10に入っといて文句言うんじゃねぇ!」

「そんなランキング俺は初耳なんだけど!」

「嫁の居る那谷にランキングなんて意味無いって男子はお前に聞かせてないんだよ!」


 スカートを空いている腕で全力で抑えながら言い返す。


「お前ら何位なんだよ!?」

「圏外だよチクショウ!!裏では女子として見るの無理って言われてんだよ!」

「分かってんなら尚更俺なんかに構ってないで自分磨けよ!俺なんて一時的だよ!そのうち戻んだよ!」

「だって悔しいんだよ!ポッと出の女子モドキが女子として見られてんのがさぁ!」


 言ってて自分から泣きそうになっている女子1名。それに釣られて他2名も嫌悪に陥っている。


「やっぱり胸か!胸なのか!?」

「ドサクサ紛れて胸触ってんじゃねぇ!腹擦ってるヤツも地味に擦る場所下げていくなよ!」

「ここまで来たらホントに全部女子になってるか確かめてやる」


 ついにスカートを脱がし始める。体操服が露わになり腕で抑えている部分をすり抜かして中にまで手を入れられる。


「ちょ……!?おいバカ!マジでやめろ!殴るぞ!?暴力に訴えるぞ!?」

「あっ……ホントに全部女子だ。しかも触り心地的に下の毛無い……」


 触られて涙目でいる。それを気にすら留めずに3人はマジかと驚いた様子である。


「おい!手を離せ!このままじゃ女以前に人としての尊厳が終わる!てか殴るぞ!マジで殴るぞ!?」

「そう言って暴力に踏み切らない辺り流石だな那谷」


 囲んでいる女子の後ろから声が聞こえる。女子達はゼンマイの様に首を動かす。そこに立っていたのは。


「お前たち3人は生徒指導室な?事情を説明して貰うぞ?ほら那谷から離れて行った行った」


 女性の生徒指導の先生であった。女子達はここが本来教員用のトイレである事をすっかり忘れていたのである。状況的にどう足掻いても言い逃れは出来ない。


「はい……」


 観念した様子でユウから離れてトイレから出ていく。ユウは囲まれたのが終わって安心したのか床にへたり込む。


「あのバカ共がすまんな……後で説教しとくから許してやってくれ」

「あっ……はい。わかりまし……………………………ぁ」

「…………ホントにすまん。個室で待っててくれ」


 先生が来た事により気が抜けたと同時に体の力も抜けてしまう。元々慣れない女性の体である。その結果がどうなってしまうのかはお察しだろう。先生から同情の目を向けられていた。

 その後トイレの個室で1人泣きながらも先生を待つ事になるのであった。


…………

……………


「死にたい」


 掃除時間も過ぎる程に遅い時間にトイレから帰って来たと思ったら開口一番がそれであった。完全に目が死んでいた。


「どうしたのかは……聞かない方がよさそうね」

「ユウくん大丈夫?」

「高橋さん……大丈夫じゃない。死にたい」

「よしよし。辛いことがあったんだねー」


 自分の机に座り今にも灰になりそうなユウを胸に抱いて、いい子いい子と頭を撫でる高橋に甘えながら今日の事を頭から消そうとするのであった。

 書いててなんだコレってなってしまった。サラっと流す予定だったんですよ?ホントですよ?

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