第4話 『怒られる』
「へぇ?じゃないわよ!とーても痛かったんだからね!」
セリアは立ち上がり動揺しているゼルの方を見て、ぶつかった際の怒りを全てぶつけた。また、その怒りはまるで津波のような勢いできた。そのことに気づいたゼルは光の速さ並みに謝った。
「すいませんでした!周りを見ていなかった自分が悪かったです!だから、怒らないでください!」
ゼルは声を大きく出し、セリアの前で土下座をした。しかし、怒りは静まんなかった。
「こんなんで許されると思ってんの?これだからモテないのよ。」
ついに罵倒するようになってしまった。こうなってしまうと気が済むまで罵倒されたり、ひどいときはおごらないと許してくれない。
そうゼルは覚悟していたが、今回だけは意外とすぐに許してくれた。
「まぁいいわ。もっとアンタのことを馬鹿にしてやりたいけど、今回だけは許してあげる。その代わりに私の質問に一つ答えて頂戴。」
一瞬、許してくれると言ってくれたので今日はラッキーな日だと思った矢先に絶望が襲う。なぜなら、セリアの質問はろくでもないことが多いからだ。
以前ラウズが質問されたとき、納得するまでに5時間もかかったらしい。内心嫌なのだが、背に腹はかえられないからしょうがなく黙ってうなずいた。
「よろしい。じゃあ、質問するわよ」
彼女はキラキラした目でこちらを見た。それはまるで宝石に目がくらんだ人の目のように見ている。
「最近なんでそんなに働いてるの?」
俺からしたら簡単で難しい質問だ。なぜなら、本来の従業員の仕事時間だいたい17時から始まるのだが、ここ最近は6時から始めている。始まる時間に関してはさほど問題ではない。問題なのはこれからで、なぜ俺がこんなに早く働いてるのかと言うと魔導書が欲しいからである。理由はただ単純にみんなの役に立ちたいからである。でも、魔導書はとても高いから余計怒られてしまうという問題がある。
少し魔導書について説明しよう。単純に魔導書を使った人に無条件で魔法を覚えさせるという代物だ。しかし、魔導書は人間一人に対して1回しか使えない。また、魔導書で覚える呪文はランダムつまり、強い魔法か弱い魔法かは運しだいだ。
「えーと...その...」
ゼルは今日一番の動揺で言い訳の言葉がなかなか思いつかない。
「ちゃんとはっきり言いなさいよ」
もう、考えてる時間はないと思いゼルは正直に言うという賭けに出た。
「じ、実は俺...魔導書が買いたいんです!」
「へぇ!?」
セリアはこの発言に動揺してしまった。