クラスメイトとの決別
ディーさんの話を聞いた俺は少しだがやる気になっていた。
(俺が軍師か、あいつらに指示する立場だなんて信じられねーな)
夕方になり、みんながそれぞれBPを割り振り、模擬戦場に集まっていた。
俺はディーさんの隣にいたが、他のクラスメイトは仲のいいやつと集まって、どんな風にBPを割り振ったかを楽しそうに話していた。
(おれはどうせ戦闘では役に立たないし、BPも少なかったから、あんな話できないよな・・・ってか、仲のいいやつクラスにはいねーしな)
そんなことを考えているとディーさんが叫びました。
「静かにしろ!話がある!」
みんなが静かになったことを確認して話始めました。
「貴方たちには、特別な力があり、特別な魔法があり、力もあります。しかし、使い方を間違えれば本来の力が発揮できないだけでなく、害を及ぼすことすらあり得ます。ですので、貴方たちには力の正しい使い方を学んでいただきます」
「それと、もうひとつ貴方たちにはパーティをつくってもらいますが、迷宮の探索は力押しではできません。そこで、作戦をたてて迷宮の探索を行うために玄には軍師になってもらいます」
その瞬間、いろいろなところから声があがりました。
「はぁ?」「戦闘できないからだろw」
「なんで、あんなやつの指図受けなきゃいけねーの?」
「作戦まともにたてれるのかよ・・・」
「足手まといの作戦なんか従いたくねーよ」
その声を聞いて、ほとんどのクラスメイトが笑いました。
(やっぱり、そうだよな・・・)
俺はある程度覚悟が出来ていたので、大人しくやめようと思いましたが、ディーさんは違ったようでした。
「わかった!貴方たちがそこまで言うなら、もうなにも言わないわ、ただし、玄はこちらで預かり、軍師の勉強をしてもらいます!戦闘には参加しないのでそのつもりで!!」
「だから、いらねーよw」
「どうせ、足手まといだろw」
クラスメイトたちはよりいっそう笑いました。
ディーさんはそれを見ると俺の手を引っ張って宿舎の方へ向かいました。
「すまなかった!」
宿舎に入るといきなりディーさんが謝ってきました。
俺は事態が飲み込めず固まっていました。
「そんなにショックだったか・・・本当にすまなかった!」
「あ、いや、そんなことないですよ?というか、なんで謝られてるんですか?」
「いや、見せ物みたいになってしまったからな、傷ついていると思ったのだが・・・」
「いえ、そんなことないですよ、予想内の出来事だったので」
「そ、そうか・・・しかし、やつらにも困ったものだな、あれでは完全に自分達の力に酔っているとしか思えないぞ」
「まあ、そんなもんですよ。それより、俺に軍師のことを教えてくれるんですよね?」
「ああ、もちろんだ!約束を違えることはない!」
「ありがとうございます。それと1ついいですか?」
「どうした?」
「もし、俺が軍師のことを学び終わるまでにクラスメイトたちが軍師を必要としなかったら、俺は1人で旅立とうと思います」
俺の話を聞いたディーさんの顔は青ざめていました。
「旅立つだと?なぜ、そんなことを・・・」
「この大陸のこと、いや、この世界のことをもっと知りたいんです。そのためには、やっぱり自分でいろいろなことを体験しないといけないですし・・・」
「そうか、もし、そうなるようなことがあればそのときはまた話そう」
ディーさんは後にこの時のやり取りを後悔することになるのでした。
「とりあえず、軍師殿はこちらには明日到着予定だからな、今日のところは休んでもいいぞ?」
「なら、町に出てもいいですか?」
「どこかいきたいところがあるのか?」
「図書館に行ってみたいと思っていたので・・・」
そういうと、ディーさんは紙になにかを書いて渡してきました。
「・・・これは?」
「それを持っていれば、図書館の利用料が無料になる。これからいろいろなことを学んでもらわなければならないからな」
「なにからなにまでありがとうございます。失礼します」
俺はお礼をのべて、図書館に行くために走り出しました。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
次回の投稿は明日の予定です。
ご意見・ご質問・ご感想お待ちしております。
気に入っていただけましたら、
ぜひブックマークお願いしますm(__)m