ふた開けてみると主人公が妙に強い。これはお約束
「魔術結社、魔術、太陽を自由に見えなくなるか。作り話なら三文小説って言ってやるが」
「僕は嘘をつかない」
確かにそうだなぁ。と男は紅茶を飲みながら答えます。
愛嬌は器用に朝食を食べながら昨日の一件を彼に説明しました。
「この場では魔術結社や魔術と言う点については、疑問を挟む必要はないな。それがトリックかどうかは知らないが関係ない。恐らくどんな理由でも結社としての形は存在するんだろう。ただ気になるのは、自由が無くなるか」
「そこだ。そもそも自由に太陽を見る事すら出来なくなる。なんてあり得るとは思えない。空が落ちるわけでもない。世界が暗闇に包まれる訳でもない。そんなことが出来るなら、それは神話か」
「ゲームかアニメだな」
彼は紅茶を、勝手にもう一杯つぎ、出された角砂糖を二個放り込みます。
「魔術なんて物が存在するなら、ありえてもおかしくはないとも思うが」
「どちらにしろ情報不足だ」
愛嬌は一式食べおえて、緑茶を飲みます。
「だから調べて欲しい。専門だろう?探偵」
愛嬌は目の前の男に対して言いました
目の前の探偵は、どう表現したら良いんでしょうか、特徴という物が一切ありません。普通ならば、全く特徴が無い事も、特徴がないという特徴となりますが彼はそれとも違います。本当に何処にでも居る人間、ふと顔を逸らせば町中に消えてしまう。印象という物が存在しない。そんな言葉でしか言い表す事が出来ない男です。
「高いよ。日付は」
「即急、連休前までだ」
あんた、仕事をやるのかい。と探偵は皮肉を顔に浮かべます。
「あぁ、頼まれた以上はやらなきゃ駄目だ」
僕の信条でね。と愛嬌も同様に皮肉を顔に浮かべます。