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「こんなものだ」

「えっと、我々がどのような集団かは何となく解ってもらえたでしょうか?」

「君らの言い分は解ったが、なぁ、魔術ねぇ」

 愛嬌はどうもそこに納得しません。

「君らは、その、魔法使いな訳だろう」

「チープな言い方をしたらそうだな」

 マルティンは返します。

「そこが一番信用がおけないな」

「それは………説明が面倒だ。一つ見せてやろう。論より証拠、一見は百聞に如かず。それなら納得するだろう?」

 そう言ってマルティンは、文字が書かれた札を取り出します。

「ラテン語か」

 その札に書かれた文字を見て、男は言います。

「君は読めるのかい?」

「読もうと思って独学で習ったが、難しすぎたよ。挫折だ」

「カンジだっけ。君らの文化圏では関わりが薄いから難しいかもしれないけど、僕らの文化圏じゃ先祖の言葉みたいなもんだからな」

「結局慣れか」

「そうさ」

 そう言って彼は、佐織とニコラ愛嬌に、少し離れるように言います。

「ショータイムだ。僕はこれでも使い手と自覚してるほうでな。良い見せ物になるだろう」

「そいつは楽しみだな」

 マルティンは三人を下がらせ、札を設置します。

 そうして、呪文を唱えました。

 愛嬌とニコラには解りましたが、その呪文はラテン語です。

 現在では死語であり、学名をつけるのとカトリックの総本山バチカン以外では公式には使われていない言語、そんな事を愛嬌が思っていると

 ボン

可燃性ガスが爆発したような音と同時に、魔術師の体が火に包まれました。

「大丈夫なのか?」

「えぇ。床を見てください」

 愛嬌は佐織に言われたと通り床を見て、驚きました。火に包まれているのはマルティンだけであり、他の物には一切火が広がっていません。

「どうだい?」

 彼はそう言ってポケットのタバコをくわえます。

「僕は火を自由に操れる。異教の悪魔イフリートの加護が有るから、と言うのが説明文句だな。実際の所は僕自身詳しく解らない」

「イフリート、アラビア語でジンニーは唯一神アッラーフが煙のない炎から作ったと言われる魔神だ。まぁ、火の神みたいに言われるのはゲームや漫画の影響だ」

「へぇ。まぁ実際はどうであれ、マジシャンの「種も仕掛けもありません」って謳い文句の代わりに僕はイフリートの加護の元、と言うことになってる」

 彼はそう言うと、タバコの先にだけ火をつけました。

 そうして、煙を吐くと同時に

「こんなもんだ。信じるかい?」

 何事もなかったかの如く、炎は消え去りました。


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