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修道女

「はぁ」

 ニコラはここに来てから何度目かの溜息をつきました。

 連れ戻されたあと、彼女は脱走者として地下牢での謹慎を言い渡されていました。

 この組織において、脱走は連れ戻されますが、自ら抜けると言う行為は肯定されています。彼等はマフィアやヤクザではないのです。あくまでも犯罪組織を騙る魔術師達の職業組合なのです。一生涯秘密を貫くと言う誓いを立てるだけで抜ける事は出来ます。

 仮に秘密を破ったところで、だれも魔術などと言う夢物語は信じません。

「はぁ」

 彼女自身も長くこの組織にいるので、外に出ても監視がある事や、その監視を避けるのは相当な事をしない限り無理だと言う事は気づいています。前回の逃避行は監視がない状況からの逃亡だったので彼女にも出来たのです。

「はぁ。なんでかしらね」

「溜息ばっかりついてちゃ運が逃げるぜ」

 ニコラは、その言葉に立ち上がり、手元の明かりを消しにかかりました。

 不特定多数や、とある条件にかかる人間を狙う魔術でもない限り、目標を認識しない限り敵に攻撃を当てる事は出来ません。魔術でそうなのだから、科学分野の銃などでも同様です。

 この部屋は換気扇と頑丈な扉以外に出入りできる場所はなく、明かりを消す事で部屋全体を真っ暗にする事が出来ます。ニコラは明かりを消した後、姿勢を低くし部屋の隅にすばやく、けれど足音を立てないように歩いていきます。この部屋のインテリアはベットと枕元を照らすライト、そして大昔から存在する部屋全体を照らす灯油ランプのみです。

 つまりいまこの部屋は一寸先も見えない暗闇に包まれました。


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