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潜入

日曜深夜

「ぬるいなぁ。もっと骨があると良いんだが」

 探偵は、電子ロックを前に呟きました。

「無駄口叩きたいのは俺もなんだから、さっさとやれ」

 愛嬌は横から活を入れます。

 彼等が企てた計画、それは闇夜に紛れての教会への潜入です。ニコラと会談し、彼女の魔術の本質を見る、それが彼等の目的です。

「しかしこいつ、金かけてるのは確かだが質が悪いというか仕掛け方が悪いぜ。それなりに腕があれば簡単に入れる」

「教会の体裁とってるんだから、そんな所に金かけるのもおかしいだろ。そしてまぁ、あれだ。予想だが、連中が魔術を使うせいだろ。日本軍のレーダーの話と同じだ」

 第二次世界大戦中、日本軍ではレーダーがあまり発達していなかった為に、相手も発達していないと思い夜襲を多く仕掛けました。逆にアメリカ軍は日本軍もレーダーが発達していると思いこみ、夜襲を仕掛ける事が少なかった。嘘か真かそう言った話があります。

「魔術対策はするが人の対策はこんなもんで良いと思いこんでるんだろう。自分たちの知識がそこまでしかないから良いも悪いもわかりはしない。そして、自分たちの常識外は信じられない」

「魔術を使うからこそ科学にも目を向けるべきだと思うんだがな」

「逆の言葉を世間様ではいて見ろ。頭の病院紹介されるか、新宗教に勧誘されるぜ」

 探偵は、電子ロックの指紋を取り終えました。

 鍵は電卓状の機械で5桁の数字を入力するだけのシンプルな物です。

「よしでた。あとは、っと」

 男はそして、鍵を解体し特殊なコードでパソコンと繋げます。

「なんだ?それは」

「電子機器のパスワードを総当たりで出すプログラムだ」

 無駄口を叩くなと行った愛嬌も、つい口を出してしまいます。そう言う性格なんでしょう

「このタイプは何回間違えてもなにも問題がないからな。5桁ならすぐさ。その五文字も解ってるから大体三千通りか、っていってる合間にほら」

 がちゃり、そう鍵が外れる音がしました。


 解体した鍵を戻し、二人は侵入します。

 中央にステンドグラスを配置し、十字架にかけられるキリストが配置してある典型的な教会の形です。

「安易だな。まぁそれが一番安全だと思うが」

 探偵がめざとく見つけたのは監視カメラ。二人は死角に隠れるように動きます。

「さて、ここの段取りはどうなってるんだか」

 二人に頼んだ事は、室内の警備を誤魔化して欲しい、と言う事でした。

 何時頼んだかと言えば、先ほどの奇跡がそれに当たります。どう頼んだかは、おそらく二人にも解ってないでしょうが、行動に移してくれているはずです。

 超自然的な力も人が使う限りは結局、なにか目的を遂行するための手段でしかない、それは、シスターニコラの魔術も同様でしょう。

「おい」

 探偵は、めざとく中央の演説台に紙がおかれているのを見つけました。その上には銀のアクセサリー。マルティンが昼につけていた物です。演説台は多くの信者に見やすいよう、周りより一段高くなっています。

 二人は死角から死角に移るように動き、演説台の紙を抜き取ります。

「死角が多すぎる。罠かもな」

 探偵はそう呟きました。愛嬌は紙に書かれた言葉を熟読します。

「問題ないそうだ」

 そう言って、紙を男に渡します。書かれていた言葉は、監視カメラで監視をつづける。鍵はどうにかしろ。ニコラは地下にいる。そこまでの道の魔術は死角が出来るように配置してある。等と読み取れる、指令書の体裁を取った文章です。指令を下す人間はマルティンと佐織の連名。

「なかなかジョークがうまいじゃないか。信用するか」

「するしかない。俺等には解らないからな」

 二人はそう言って、指令書に従い行動を開始しました。


「なんでこんな施設があるんだか」

 二人が居るのは教会の奥、地下牢の前にある警備控え室の前です。そこから監視するように鋼鉄の扉、その向こうに地下牢に続く階段がある。と言うのが先ほどの指示書に書いてあります。

「さぁな。それより、警備員が居る」

 愛嬌は、上手い具合に隠れるような場所でしゃがんでいます。

「鍵はどうにかするが、あれは電子とかじゃなくて普通の鍵だ。少し時間がかかるぜ。人はお前さんがどうにかしろ」

「あまり、使いたくないんだが」

 そう言って、愛嬌は立ち上がり、そこら辺を散歩するように警備室に歩いていきました。

 勿論警備室に居る警備員らしき人物は、愛嬌に気づきます。

「良いだろう」

 愛嬌は言いました。そうして数秒たち、警備員は座り込み、眠りだしました。

「チープだな」

「一番いいよ。単純こそ至高な方法だ」

 探偵はすでに鍵の解錠に取りかかってます。警備員から鍵を奪う、と言う方法もありますが、誰かが少しでも違和感を感じてしまうと全てが台無しになりますので、敢えて鍵破りを行います。

 この話は存在してはいけない話なのです。

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