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1話

 季節は春だろうか。

 足元には色とりどりな小さな花が咲き、チチチ……と小鳥のさえずりが聞こえる。

 頭上の木々が葉を陽光に透かして、足元には柔らかな木漏れ日が広がる。


「わぁあ~、すっごい気持ちいい~……んだけど、どこだここ!!!!」


 気付いたら森の中にいた。

 何を言っているのかわからないと思うが自分にもわからない。

 さっきまで自分の部屋にいてゲームをしていた筈だ。

 でもここは森。もうすんごい周り木だらけ。マイナスイオン超すごい…気がする。


「え、これって新しいゲームの機能? そんなの聞いてなかった、けど……」


 自分がやっていたゲームは一般的なMMORPGだ。ラノベとかでよく見るVRMMOではないし、何より自分がいた日本ではまだVRMMOなんて開発されていなかった……たぶん。


「あー……もしかして、夢、かなぁ。もう3時近かったもんな……」


 そう呟きつつ、ぐるりと周りを見回してみる。

 間違いなく森だ。自分を中心に少し空間が空いていて、木で囲まれているようになっている。

 陽の光が葉でいい感じに遮られ、眩しすぎずポカポカと気持ちがいい。

 足元の花は小さいが鮮やかで、日本では滅多にお目にかかれないだろう……というか滅多どころか全く目にかかった事がないような花もあった。なんか虹色でキラキラしてるんですけど。


 それに、なんだか視点が低い。体つきも今までの自分と違う気がするし、何より服も違う。自分の普段着はこんな謎ベルトがチャラチャラいっぱいついてなかったし、それは自分がハマっていたゲームで苦労して製作した装備に似ていて…


「これじゃあまるで……まさか……」


 心臓が早鐘を打つ。

 一つの可能性が頭を過ぎった瞬間、自分は居ても立ってもいられなくて走り出した。


「どこか鏡……! じゃなくてもいいから、なんか、顔が映るやつ……っ!」


 転びそうになりながらも、無我夢中で森の中を走る。

 木々が擦れる音も、陽の光も、吸い込む緑の匂いも、もう夢だとは思えなかった。








 しばらく走ると綺麗な小川を見つけた。

 そういえば結構な時間全力疾走していたけど、胸がそれほど苦しくない。

 運動音痴の自分じゃありえない。

 そう、いつもの自分なら……


 半ば確信めいた自信を持って、川を覗き込んだ。



 ……天使がいた。


 白い肌はシミ一つ無く、触りたくなる程滑らかなのが見るだけでわかった。

 鼻筋はすっと通っていて、小さく開かれた唇は、薄ピンクに色づき艶々としている。

 アーモンド型で少しつり気味の目は驚きで見開かれていて、長い睫毛に縁取られた瞳は黄金色で、まるで上等なトパーズが嵌っているよう。

 それらが文句をつけようの無いラインの輪郭の中に収まっている。

 そのラインを覆うサラサラの黒髪は顎下程の長さでありながら、まさに烏の濡れ羽色と呼ぶに相応しい艶を放っていた。一度は言ってみたかった、烏の濡れ羽色。アンド天使の輪っか付き。


 そう、黒い天使……もとい


 天使の姿になった、自分がいた。




「神様ぁぁあああああああ!!!! 転生キタコレよっしゃぁあああああああ!!!!!!!!」


 見知らぬ森の中に、見た目だけは天使になった自分の声が響いた。

短い上に字の文が迷子です。

次話は近日中に投稿できたらいいな…

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