その瞳に何を見る。
その瞳に何を見る。
今の世を知らぬ盲目の瞳は何を見る。
その耳は何を聞く。
単調な音楽を聞き続ける耳は何を聞く。
その心は何を感じる。
空虚で白痴となった心で何を感じる。
玉虫で極彩色の城の奥の奥、歪な扉のその先に。
王座にだらしなく寝そべるアナタは醜く美しい。
その王座は揺りかごにして牢獄であり鎖。
アナタを繋ぐその王座を、私では解くことは出来はしない。
アナタの瞳を対価にし、私は無限に等しい光を得た。
アナタの知識を対価にし、私は無限を知る術を得た。
アナタの自由を対価にし、私は無限に広がる腕を得た。
故に、私の命はアナタが為に。
故に、私の光はアナタの為に。
故に、私の全てはアナタに捧げる。
いずれは、アナタの抱く笛を掴み取り、私が世界となり果てましょう。
アナタが自由となるために、私は柱になりましょう。
私は無限の闇を見つめ、アナタは無限の世界を見る。
私は王座に捕らわれて、アナタは無限に広がる世界を歩く。
私は空虚と白痴の心を手に入れて、アナタは恐怖と無垢な心を手に入る。
かくして、化け物は眠れる神に成り上がり、王は弱々しい人へと成り下がる。
アナタはその瞳で一体何を見る?