カウンター
水は案の定、氷を連射する。俺は避けつつ距離を詰めた。だが、それは彼女の狙い通りだったが、俺の狙い通りでもあった。彼女はしてやったりといった顔で氷結のスキルをかけた。一方、俺はまた予知がきた。だが、この距離では避けようがない。
「どうです刀夜さん。いくらスキルをもってしても、これは避けれないでしょう?」
彼女は勝ち誇ったように言うが、悪いが、俺の思い通りである。避けるつもりなど全くない。重要なのは、当たるタイミングだ。俺はそれを自分の凍った腕の先に当てて少しずつずらしていった。氷は少しずつ延長されていった。ここまでうまく行くとは思わなかったが、並みではない長さの氷のレイピアとも言うべき量の氷が腕に張り付いていた。少々形が不格好だが、水を倒すのには十分だった。俺は全力でそれを、水に振り下ろした。あまりの威力に絶えきれず、水は立て膝をついてしまった。こうして、俺が勝ったのだが、
「刀夜さん、やったわね!」
霊花は俺の勝ちを喜んでくれている。
水は、
「私の負けは認めますわ。でも、ひとつだけ教えてくださらない?」
「何を?」
「あなたのスキルは攻撃を避けるスキルではないのですか?」
「俺のはそんな都合のいいスキルじゃないよ。予知さ、だからあのとき、避けずに、氷を利用してカウンターしたんだよ」
水は、落ち着いたように、
「なるほど、それなら納得がいきますわ」
そういうと、水は去ってしまった。そのとき、なんとなく、あの人は悪い人ではないと思った。
「さあ、刀夜さん、先生にスキルの件、報告しに行きましょう」
「ああ、そうだな」
今日は大変な日だったけど、気分よく終われそうだ。
続く