決闘勃発
今日は良い天気だ。4月に向けて頑張っている月森 刀夜の同級生である綾瀬 霊花は、刀夜が心配でしょうがなかった。スキルが使えるようになるかというのもあるが、周りが女子ばかりでは男友達が作れないということになる。つまり、彼が異性の人と友人関係を築けるのか非常に心配である。まあここは女子高-いまのところ-だが、一応男性はいるのだ。教員として。だが、彼らはスキルは使えない。変わりに、魔法を覚えているが。いってしまえば、いまのところスキルを使える男性はこの世に一人もいないのだ。つまり、彼もスキルが使えるようになる可能性は低い。また、彼は偶然、自分が連れてこられたと思っているが、実は、校長の命名で連れてきたのだ。校長はなにを考えている人か分からない。そもそも生徒はおろか、教員すら、一部の者しか会わせてもらえないのだ。しかし、あんな一般生を連れてこいとは、校長は何か考えがあるのか。まあ唯一の人材とかなら納得がいくが...。
「まあ、どうにかなるわよね」
そういえば今日は、スキルの授業だっけ。刀夜は大丈夫か心配になってきた。
そして、スキルの授業。
「皆、すごいな」
「ええ、一人一つ以上はスキルを覚えているわ」
説明していると、後ろから刀夜が誰かに押された。
「あら、刀夜さん、スキルもろくに使えない人が突っ立っておられると邪魔でしょうがないですわ。端に寄ってくれませんこと?」
嫌味ないいかたをするその人は、霊花が嫌いな優等生気取りの水だった。
「え? いいだろ別に。そっちのスペースも結構空いてるしさ」
「私に逆らうということは、どういうことかわかっていらして?」
「転入したばかりなのに知るわけないだろ」
「いいでしょう。知らないというのなら、決闘で思いしらせてあげますわ」
刀夜は水を怒らせてしまったようだ。だが、刀夜は、
「え、喧嘩ってしていいの?」
目を輝かせている。決闘とは、この学園では主に、相手が立て膝をつくか倒れたら負けで、スキル及び魔法の使用は自由なのだ。つまり、スキルの使えない刀夜が圧倒的に不利である。そのことを刀夜に言うと、
「大丈夫だって。素手でなんとかする」
確かに出来ないことではないが、水が相手なら別だ。彼女はスキルを2つも持っているのである。ほとんどの生徒は1つしか使えない。それだけならまだしも、そのスキルが、両方とも強力なものである。高一で2つもスキルを使えるのはいまのところ彼女だけである。それでも彼は勝つ気満々である。
「さあ、いくぜ」
どうなっても知らない。一応救急箱は用意しておいた。