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7/8

(7/8)田中さんと中森さん

「そちらの会社に田中悟さんがいますよね。呼んで頂けませか」と中森トオル氏が言った。

「田中は関係ない」という剛田本部長を、進藤常務が制した

「木村さん。申し訳ないが、田中さんを呼んできて貰えませんか」

浩子は、はいと言って会議室を出たが廊下に田中さんがいるので驚いた。

「そろそろ呼ばれるかなと思いまして」と田中さんは気まずそうに言った。


田中さんが会議室に入ると、早すぎる登場に皆驚いたようだ。

その雰囲気を利用する意図が田中さんにあったかどうかは分からないが、登場と同時に田中さんは言った。

「公共のインフラとなる通信規格に独占権を入れるべきではありません」

「いきなりなにを言うんだ。我が社の技術だろう」と剛田本部長が息巻く。


田中さんが悲しそうに言う。本部長が理解してくれないのが悲しいのだろう。

「いえ、今回の話はそちらにいらっしゃる中森さんの基盤の上にあります。また多くの技術者により改良されてきたものです。我が社が独占権を主張すべきではありません」


そして田中さんは剛田本部長に向かって言う。

「剛田さん。あなたは自分だけがよければ、それでいいのですか」

田中さんは静かに言ったが、迫力がある。剛田本部長が少したじろいているようだ。

「な、何を偉そうに。利益を追求するのは企業なら当然だろうが」

「もはや、そういう時代ではありません。世の中全体の幸せを考える事が出来ない企業は滅びます」


剛田本部長は口をパクパクさせている。肩を震わせながら立ち上がりかけた、そのとき、うちの会社の進藤常務が発言した。

「ありがとう、いい発言だ。私もそのとおりだと思う。AAGP社の皆さん、うちの剛田が出していた独占権に関する文書は全て撤回します」

「し、しかし、、、、」剛田はまだ何か言いたそうだ。

「剛田さん。こういう場で言うべき話ではないが、あなたに関して社内のコンプライアンス委員会に複数の内部通報があります。一度引いてもらうことになりますので、ここは退席して下さい」

剛田はまだ何も言えず、進藤常務に一礼すると部屋を出た。


「うちの会社のゴタゴタをお見せして本当に申し訳ありません。改めてどういう事で協力出来るか相談させて頂けますか」

そう常務が切り出すと、その後の打ち合わせはスムーズによい雰囲気で進んだ。

浩子は、中森トオル氏が田中さんに親指を立てたグッドジョブサインを送ったのを見て笑ってしまった。もっとも、当の田中さんは全く表情を変えなかったけれど。


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