遠くの汽笛
周りに鉄道が走っていないのにも関わらず、汽笛の音が聞こえてくる。
遠くの、はるか遠くのところに確かに鉄道が走っているから、そこの汽笛だろう。
田舎町だといわれたらそれまでだろうが、俺が住んでいるここには電車は来ていない。
正確には、戦後しばらくはあったが、結局廃線になってしまったものだ。
名前は忘れたが、確か何とか支線っていう名前だったらしい。
つまり本線があるということで、今聞こえている汽笛の音というのは、どうやらその本線を走っている鉄道のものらしい。
もっとも、山を2つほど超えた先の、直線にしても20キロぐらいは離れているところからの音だから、初めて聞いた時にはとてつもなく怖かったものだったが。




