部活
文芸部の部室。
今日は日曜日にも関わらず、私はそこに居た。
「えっと……」
やる事を整理する。
部の勧誘ポスターを作成、新入生の前で発表する部活紹介のスピーチを考える、部活に来た新入生にしてもらう部活体験の内容を考える3つだろうか。
「まずはスピーチから考えるか」
スピーチと言っても、紹介する時間は1、2分程度。
軽く紹介して、少しでも興味を持って貰えたらオーケー。
私は普段平日には部活動をしない。
理由は単純早く帰りたいからだ。
普段好きな事をやってる分土日の午前は特に暇なため、こうして基本1人で本を読んだり小説を書いたりと活動をしている。
「うぃーす」
「わざわざ日曜日なのに来てあげましたよ」
「2人とも、ごめんねわざわざ」
「いえ、どうせ家に居ても暇なのでちょうど良かったです」
「まぁ私もやる事ないですけど」
文芸部は私1人では無く、2年生の後輩2人を含めた3人だ。
基本的にはこの2人は平日活動しており、会うのはたまにだ。
今日はポスターや部活紹介の件で前々から話をしていた。
「俺がポスターの文章を書けばいいんですね」
茶髪の短い髪をした向井 柚瑠君。
彼は小説を書くのが得意で、いつも文章を考えるのを手伝ってもらっている。
「私は絵を描けばいいんですよね」
クリーム色をした髪を緩く2つに結んだ三重 遠子ちゃん。
彼女は絵を描くのが得意で、小説の挿絵やポスターの絵を描いてもらっている。
「うん、よろしくね」
この2人は私の留年を知っている数少ない人物である。
何なら親よりも先に報告し、マジですかと2人揃って返ってきた。
部活に入っている以上必ずバレるし、部活を辞めたとしても校内で出会えば疑問に思うだろう。
2人になら言っても馬鹿にされないし、部活を辞める選択肢もそもそも頭に無かったし、なんとなく言ってもいいかなと報告した。
案の定報告しても何も変化は無く、こうしてまたお世話になっているという訳だ。
「──こんな感じでどうです?」
「うん、いいと思う。
私のはどうかな?」
2人に考えたスピーチ内容を見せる。
「いいと思いますよ」
「俺もそう思います」
「ありがと」
それから全員で部活体験の内容を考える事になった。
「私としてはまず自己紹介、それから普段の活動内容を話して。
次に実際に体験してもらうのは、本を読むか小説とか詩を書くかを選んでもらうって感じでどう?」
「それでいいと思いますけど……人、来てくれますかね」
「本を好きな子は絶対いるはずだし、興味持ってもらえるよきっと」
「だといいんですけどねぇ〜」
机に被さり手を伸ばしながら遠子ちゃんは言う。
「とは言うものの正直私もちょっと不安だよ」
「私としては結構不安……なんですけど」
「大丈夫だろ。きっと」