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羨望
3月の春休み。
時刻は夕方。
私はぼーっとしながらただ道を歩いていた。
左手にはキラキラと反射した海が見え、車が何台も走っている。右手には薬局やガソリンスタンド。その奥には高架した線路を走る電車。
通り過ぎたのは紅掛空高等学校のジャージを着た複数の生徒たち。
すぐ高台の上にある、私も通っている高校だ。
そんな彼らを思わず振り返る。
………羨ましい。
なんて、眩しく見えてしまう。
あんなキラキラした学校生活を私も送りたかった。
だけど今度こそ私は1人で精一杯頑張るんだ。
だって───私にとっては4度目となる高校生活が待っているのだから。