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7.奇妙な箱
まあ、それもそうか。そんなことができてしまう人物なんて聞いたことがない。魔王ですらそんなことは不可能なのではないだろうか。
そんなことができるのは、彼女とわたしくらいだ。
シャロレッタは、安心させるようにやさしくいった。
「だいじょうぶだよ。だってその程度のこと、わたしでもできるから」
ジェリンナは驚いた様子でこちらを見つめてくる。しかし、その目を見るにどうも怪しんでもいるようだ。
まあ、それはそうだろう。今まで聞いたことがなく、自分しか使えない力を使えるといわれたらすぐには信じられないだろう。
「じぃ、あれを」
シャロレッタがそういうと、じぃがどこからか箱型のものを取り出した。
それは、スライム一匹が入りそうなほどの大きさの箱だった。
箱の側面には猫のような小さな生き物が描かれている。
しかし、その身体をまっぷたつにされたかのように、身体の半分は生き物の姿、もう半分は肉のない骨の姿である。