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12.シャロレッタの細工
「はあ、まったく……お嬢様には驚かされますよ。ジェリンナ様が魔力が回復した気がしなかったとおっしゃっておりましたが、私も完全に同意ですな」
「あ、それはわたしが魔力回復の魔道具をとめてたからね」
シャロレッタは天井を見つめてそういった。
視線を戻すと、じぃがジト目でこちらを見つめている。
シャロレッタはあわてて早口にいう。
「いや、だって、少しでも万全の状態にさせないことで、交渉が成功に近づくかもしれないでしょ? あ、ちなみに、彼女の魔力が減ってたのはわたしが事前に魔力を消費させる魔法をこっそりかけてたからだね」
じぃは額に手をあてている。
「はあ、もうお嬢様はとんでもないですな。いやはや、相手に気づかれないように魔力を消費させる魔法をかけ、そのうえ魔力回復の魔道具の効果もこっそりとめてしまうなど……魔王ですら不可能なのではございませんかな」
「いやいや、さすがに魔王だったらできるでしょ」