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貸していたゲーム

作者: モモモタ

 小学校卒業と同時に、引っ越すことになった私は、友人と別れを告げ……特に仲の良かった友人から、貸していたゲームを返してもらった。



「また連絡するから、元気でな」


「お前もな」



 別に返せと言ったわけではないが、友人は何故か引っ越しの当日、朝一で返しに来た。その時はしっかりしているな、最後に会えて嬉しい等としか思わなかった。



ー--------------------------------------



 引っ越して数日後。ようやく荷ほどきも終わり、まだ馴染みのない部屋で一人、寂しくなった私は、ゲームでもしようと思い、返してもらったゲームを起動した。すると。



「あれ」



 返してもらったのはRPGで、そこには友人が残していたデータが残っていた。懐かしい気持ちになった私は友人のデータを続きから読み込む。このゲームは自分でキャラクターの名前を変更できるタイプで、主人公の名前が友人の名前だったからすぐに気づいたのだが。



「………」



 友人の名前の主人公と、3人の仲間達。その名前は……



 『きてる』『みてる』『たすけて』。



「!」



 すぐにスマホを取り出し、友人に電話をかける。だが、つながらない。心配になった私はほかの友人にも連絡して……ある一人の友人との電話で、なぜ繋がらなかったのかを知った。



『今日の朝、交通事故で亡くなったよ。急に道路に飛び出したみたいでさ。昨日から少し様子がおかしかったから心配してたんだけど』



 友人曰く、妙に周囲を気にしていたり、突然走ってどこかに行ったりと不審な行動が目立っていたらしい。心配した両親が病院に連れて行こうとしたところで、道路に飛び出し、車に轢かれたそうだ。



「……全然そんな素振りなかったのに」



 最後に私と会った時……というか、それまでは普通だった。私が引っ越した後に何かあったのか、それとも隠していたのか。貸していたゲームをわざわざ返しに来たのは、彼からのサインだったのかもしれない。今となっては彼に何があったのかはわからない。けど……彼のサインに気づけなかったことを、私は今でも悔やんでいる。



                         完

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― 新着の感想 ―
[良い点] 理由がわからない不幸な話好きなので面白かったです。 何に見られていたのか、何が来ていたのか。なにかに追いかけられていたのでしょうか⋯⋯ 亡くなった本人にしか分からない。良いですねぇ。
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