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【書籍化】転生少年の錬金術師道  作者: ルケア
オーモンド伯爵領領都オルソン編

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98/201

98話 17歳 負傷冒険者置き去り事件、何でもするなら考えたのに

 レイド捗る真夏の魔境。8月の終り頃ですかね。どうも、ヘルマンです。魔境にレイドで何度も潜りました。そして漸くと星の川を買いに来る冒険者が現れました。星4つ分の奴ですよ。それを買いに来ているという事は新たな騎士爵誕生の予感ですね。流石にこの夏には無理でも、来年の夏には予定を組んで挑むんじゃないですかね。…挑んでくれよ。星11個の奴も宣伝しておいたから挑んでくれると有り難いよね。そうして毎日何組かレイドが起きる様になれば嬉しい限りです。冒険者が潤いますよ。冒険者が渋いとどうしても経済が停滞する。冒険者広場がテントで埋め尽くされるあれは不景気の象徴と言っても過言ではないですよ。まあ、この領都にも一定数いますが、埋め尽くすほどじゃないから結構いい感じに回っているんじゃないですかね。領都なら埋め尽くされててもおかしくないと思います。


 星2つ以下の冒険者には悪いとは思いますが。流石に星2つ以下の人たちまで面倒を見切れないんだ。でも頑張ればコッコドリッロまではいけると思います。…ケルピーはきつめだけど、狙えない訳ではない。鬼門はラグーンウルフの方ですかね。移動速度が速いですから。対応できずに不覚をとる場合があるんでしょうね。でも冬場にはラグーンウルフは出ないので、頑張ってコッコドリッロを倒しましょう。自分のレベルに見合った敵で稼ぎましょうね。…まあ、中には自分の実力を過信して突っ込んでいく馬鹿者もいるんですよねえ。今回みたいに。


「なあ、頼むよ。こいつの腕をくっ付けてやってくれ!」


「だから何度も言っている通り、この怪我だと最上級ポーションを買ってください。値段は小魔銀貨5枚ですよ。」


「だからそんな金は無いって言ってるだろ。なあ頼むよ。」


「何故金がないのに家に来るんですか? 正直迷惑ですので帰ってくださいな。」


「何でだよ! 何度もレイドを起こしてんだろ! 金を持ってるなら助けてくれよ。」


「僕がお金を持っているからと、貴方たちを助けるのと何の関係があるんですか? 他の仲の良い冒険者に助けを求めれば良いじゃないですか。」


「皆そんな金持ってねえんだよ! 金を持っているなら助けてくれたって良いじゃないか!」


「それを冒険者ギルドにでも言ったらどうですか? 漏れなく見捨てられると思いますよ。僕も只では助ける気は無いですよ。」


 とまあ、この通りである。別に助けたっていいんですが、集りが増えるだけですし。自分のミスを棚に上げて助けを求めるだけの人に何の価値があるのか。…別に傲慢に呑まれた訳じゃない。こっちの要求は簡単なんだ。ポーションを買え。それだけである。それなのに何故か30分ほど粘られているんですよ。迷惑この上ないですね。営業妨害です。


「しつこいですよ。大体何故貴方たちを助けないといけないんですか。」


「金を持ってる錬金術師だからだ! だから助けてくれ。」


「本当に意味が解りません。貴方たちを助けてなんになるんですか。さあ帰ってください。」


「こんなに頼んでるのに何で助けてくれないんだよ。こんなになってるのに見捨てるのかよ。」


「だから、見捨てないからポーションを買えと言っているでしょう? こちとら見捨てる気は無いんですよ。だからポーションを買ってくださいな。」


「その金が無いって言ってるだろ! なあ頼むよ。頼むから治してやってくれ。」


「そのお願いは何度言っても聞きません。ポーションを買ってください。」


「…解った。じゃあ、こいつはパーティーからここで解雇する。こいつは置いてく。じゃあな。」


「…? は?」


 なんかリーダー格の奴が勝手に怪我人をパーティーから解雇して出て行ったんだが。それに続いて他の3人も出て行った。何考えてんの? 意味が解らんのだが。誰か説明を要求する。…まあ、そんなことを言ったって誰も答えてはくれませんがね。店先を見てもすでにさっきの冒険者たちは姿を見せていない。本当に何処に行ったんだ? 戻ってきてくれませんかねえ。この気絶してる冒険者をどうにかしてほしいんですが。…とりあえず、店の奥に連れて行きましょう。そのうち取りに帰ってくるんじゃないですかね。


 そんな訳で閉店の時間なんだが、あの冒険者たちは帰ってこなかった。…とりあえず、初級ポーションで止血だけはしてあるので、後はくっ付けるだけなんですが…本気で見捨てたのか? マジで? やばすぎじゃない? なんであの結論になったのか見当も付かないんですが。…頼み方に因っては助けたんですよ。でもただただ何もしないで助けてくれは無いでしょうよ。…小魔銀貨5枚は高いですからねえ。基本は上級ポーションまでで抑えるんですが、よくもまあ生きて帰ってきましたよね。傷的にはコッコドリッロに噛み切られたんだと思いますが。良く腕が戻ってきましたよね。腕が無かったら至高のポーション1択でしたから。


 まあ、腕さえあれば最上級ポーションで済みます。それは…嫌な思い出ですが、永明派の授業で習いましたからね。多少、肉が抉れていますが、くっ付かない訳じゃない。本当にポーションって不思議な物なんだよ。…そして歳的にはまだ成人していないだろうね。身長はまだ伸び盛りって感じですし、村から出てきたばかりなんでしょう。活動して1年と少しと言ったところか。…文字の読み書きは出来ないんだろうなあ。どうするかなあ。このまま見捨てるのもなんなんだよな。


 翌朝、寝かせていた冒険者はまだ目を覚まさない。…目が覚めてくれないとお話も出来ないんで早く目が覚めてくれると嬉しいです。痛みで正気を失って気絶でしょうから、どれくらいで起きるとか解らんのよなあ。水をぶっかけての強制気付けとか外道では無いのでやりませんよ。…それに今日、昨日の冒険者が帰ってくるかもしれませんしね。


 結局今日も冒険者たちは帰ってこなかった。マジで置いて行ったのか? 外道過ぎるだろ。何考えてるんだろう。…何も考えてないんじゃないかな。いらなくなったから捨てたって感じかな。あのパーティーは長くは無いだろう。仲間を捨てる冒険者は成功できない。捨てたことを周りに知られるからな。そんな奴に命を預けたいか? 預けたくないよな。自分も捨てられる可能性もあるんだから。そんな感じの事を考えていたら、寝ていた冒険者が目を覚ましたそうだ。落ち着いているというか、訳が解っていない様子だったらしい。腕が無いのは解ったらしいので、まずは話をすることからだな。


「気が付いたようですね。」


「あの、ここは?」


「ここは、僕の家ですね。君の元パーティーメンバーが君を置いて帰りました。君はパーティーを解雇されました。…腕が片方落ちてしまいましたからね。」


「え⁉ そんな…。腕はくっ付かないんですか?」


「くっ付きますよ。小魔銀貨5枚かかりますが。高いかどうか解りますか?」


「ごめんなさい。それが高いのかも解らないです。」


「文字の読み書きも出来ませんね?」


「はい、出来ないです。」


「どうして覚えなかったんですか? 村で覚える様に言われませんでしたか?」


「冒険者をやるのに文字の読み書きなんて必要ないと思っていたから…。」


「まあいいです。君は腕を治す費用、小魔銀貨5枚を返すつもりは有りますか?」


「あります! なので腕を治してください。」


「よろしい、では契約をしましょう。君は僕に小魔銀貨5枚を返すまでいう事を聞いてもらいます。良いですね?」


「はい、お願いします。」


「では、治す代わりに君はパーティーに戻らない事。まあ、君は捨てられたのでもう戻れないと思いますが。そして文字の読み書きを覚えて貰います。良いですね?」


「はい…。でも、何処で教えて貰えば良いんですか?」


「教会で教えて貰ってください。子供たちも覚えるために通っていると思っています。…今どのくらいのお金が残ってますか?」


「大銀貨2枚を持っています。」


「それだけあれば生きていけますね。冒険者広場で泊まりながら文字の読み書きを覚えてください。覚えたらまたこの場所に戻って来てください。」


「…解りました。それで、腕は…。」


「ああ、今治します。痛いですから気を付けてください。」


 そうなんですよね。治すのも痛いそうなんです。…実験の時に聞きました。造命派は自分の腕を落とすとか言ってたけど、狂気の沙汰だよな。狂ってるよ。そしてポーションをかけるとあ”あ”あ”あ”あ”と悲鳴にもならない声が響き渡り、また気絶してしまった。…今回は直ぐに起こします。ショック死なんて洒落にもならんので。


「治りましたね。それでは文字の読み書きを頑張って覚えてください。…それまでに死なない様に。」


「はい、ありがとうございました。」


「お礼を言うのはまだ早いです。借金は返してもらう予定なので。」


 文字の読み書きが出来れば簡単に返せる金額なんだよなあ。まあ教会でついでに計算も教えて貰って、借金の額に驚愕するがよい。そして、借金を返せたときには君はまた驚愕するでしょうね。文字の読み書きが出来ない冒険者との違いに。まあ、火事で死なないといいけどな。火事だけは防げないから運なんだよなあ。まあ、冬には覚えて来るだろう。そうしたら霊地に旅立って貰います。ゲシュケ高原という霊地が近くにあるんですよ。乗合馬車で10日程でしょうか。割と近場にある光属性の霊地です。そこでは満月茸が採れますので、それを保存瓶に20本採ってきて貰う予定です。そうすれば借金の返済と共に星の川が買えてしまうんですよね。魔境に来てるんだから戦う才能くらいは持っているだろう。その星の川を買えれば、ほら騎士爵候補の出来上がりですね。助けを乞うてきたときにはこのことを考えてましたよ。…何でもするくらいは言って欲しかったですね。彼にとってはこの冒険者はパーティーの数合わせだったのでしょう。まあ、こちらも慈善事業では無いので借金は回収しますよ。パトロンでも無いですしね。…まあ多少の手助けはしてあげますが。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 返してくれるまで気長に待つんですかね? その間はまた錬金術の研究とレイドの日々になるのでしょうか。 [一言] ヘルマン君...仮にも食の錬金術師なら、もっと錬金術で料理作ってみようよ.…
[一言] なんだか流行りの追放からの見返しみたいな展開になりそうですねぇ。施す側の視点というのはちょっと新鮮な感じ。
[一言]  ↓の感想でスケルトンでてきて思い出したが、ゴブリン以外のスケルトンはあるの?  コボルトはゴブリンと大差ないようだが、オークでは大きさ違うで力も違うんじゃないかと思うのですが・・・  あと…
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