86話 16歳 続婚活 お家の内見
いいねが1万超えて嬉しい作者です。
ヘルマン君とくっ付いてくれる人がいました。
…ヘルマン君身なりを気にしてませんが二人とも服がボロボロです。
ぼろ雑巾カップルですね。
…2人とも何もわかっちゃいないぽやぽやカップルの誕生です。…どうなるんだろう。
11月も終わりを迎えようとしているこの季節、いかがお過ごしでしょうか。どうも、ヘルマンです。あれからもお嫁さん探しに勤しんでおります。…多分お金を持っていなさそうな恰好が駄目なんだろうな。身体的な特徴でパスしたりする人も、とりあえずなんか理由を付けてパスするってな感じみたいだ。姿見は持ってないけど、水面で確認する限り、中の下位の顔はしてると思うんだ。イケメンってほどでもないと思う。この世界、顔では決まらんのだが。世の中金、宿暮らしっていうだけで却下されることも多いんだ。
でも話ができる人もいたよ。全部が全部向こうから却下された訳じゃない。こっちも却下したこともあったからね。料理の才能持ちは諦めました。別に嫁さんじゃなくても料理人雇うんだし、そっちでいいよねって考えに変更。それでも却下対象になったのは年齢が26歳以上だった場合。10歳差はちょっと許容の範囲外だと思うんですよね。なるべくなら年齢が近い方がいい。そのために普通の色の皮紙を取ってるんだし。いいなあと思う人も居たんだけどなあ。向こうから却下されたらどうしようもない。
でもまだ半分も行ってないんだよ。まだまだ結婚待ちの人が多いこと。大体20万人都市らしいんですよね。ここの領都。魔境の側だけあって結構な人数いるんだよ。冒険者の数は入っていない。税金を収めている人たちだけで20万人、王都の5分の1ですね。いや、子供の数が入っていないからもちょっと多いのか。でもこれでも空き家が結構あるって言うんだから解らないもんだよね。まあ、端から端まで半日かかるんだからそんなもんかとも思う訳で。最初にデカい町をどんと作るのがこの王国の標準なんだろう。…王都は大きく作りすぎだけど。それに王都よりも1軒1軒が少しだけ小さい。というより王都の一軒屋は割と広めにとってあった。…住んでないから意味ないんだけど。
大半の人は自由市で会えるから楽なんだけどさ。もう少しどうにかならんもんかな、僕の婚活は。婚活自体やったことないんだけど。前世の僕のなれそめは覚えていないから参考にならないので却下。システム自体が違うから当てにならないけど。ともかくこっちの婚活は数をこなさなければならない婚活システム。へこたれてなんか居られませんよ。まともな金銭感覚の普通のお嫁さんを貰うんだからな。出来れば一緒にお店をやってくれる人がいい。
会話ができる確率は今の所10人に1人って感じなんだよなあ。婚期に焦ってる人とかは会話にはなるんだけど、年齢がな。年が合って会話になっても多分身なりで却下されている。宿暮らしもかなりのマイナスポイントこれってだけで冒険者の烙印を押される。冒険者が嫌って人は一定数いる。…魔境の住民税は冒険者に優しいんだけどな。比較的って言葉が付くけどさ。それに今後は家持の冒険者も増えると思うんですよ。僕のせいで。金をばら撒くつもりなんだから。守銭奴のヘルマン君はなるべく顔を見せないで欲しい。
そんな訳で、本日4人目の方はエイミーさん。仕事は畜産関係みたいですね。自由市で会えるそうです。干し肉を売っているのかな。さてさて、探しましょうね。自由市の場所も把握しなれてきました。大体どのあたりに何があるのか解ってきましたね。まあ、何度も行ったり来たりしている有名人ですから。向こうが僕の事を知っているのかは知りませんが確実に入り口のおばちゃんとは顔見知り。名前は知らないけれど、頑張れと応援してくれる仲ですよ。さて、畜産関係はこっちだろ。
「すみません、エイミーさんは何方でしょうか?」
「エイミーちゃん? あそこ、向かいの3つ隣だよ。」
「ありがとうございます。」
そんな訳でご対面。…かなりかわいい系では無いだろうか? 髪の毛もロングなのはポイント高めですよ。…切るのが面倒という平民も多い為、一概には言えないんですが。でも貴族婦人だと髪を伸ばさないといけないからなあ。その辺は元貴族と一緒らしい。まだ、髪洗液は普及していないからなあ。普及すれば見違えると思いますね。今はくすんでいますが、多分真っ赤な髪の毛だと思うんですよ。映えるでしょうね。
「こんにちは、代官屋敷の書類を見て来ました、ヘルマンです。」
「どうも、エイミーです。えっと、ヘルマンさんはどんな人を探していますか?」
「一緒にお店をやってくれそうな方を探しています。…今の職業は辞めて貰わないといけないですね。」
「それは大丈夫ですね。どっちにしても家業の手伝いなので、弟が結婚すれば辞めないといけなかったので。それで他には無いんですか?」
「他には特に無いですよ? 年齢が近い方がいいというくらいですか。そちらの条件はどういった感じですか?」
「私も年が近ければ特には。…子供が沢山欲しいくらいですか。子供が好きなので。」
「子供は沢山というのはこちらも大丈夫です。年が近ければというと今幾つですか? こちらは16歳です。この新年祭に17歳になります。」
「私も同じ年です。…いい人みたいですし、私はいいですよ? どうしますか?」
「僕もいいですよ。いつ届け出ますか?」
「今日今すぐでもいいですよ。今から行きますか?」
「そちらが良ければいいんですが、今は宿暮らしなので少し、新年祭までは実家にいて欲しいんですけどいいですか?」
「冒険者さんですか? その辺は気にしませんのでよろしくお願いします。」
なんと、あっさりと決まってしまいましたね。エイミーさんですか。末永くよろしくお願いします。とりあえず、子だくさんがいいとのことなので頑張りましょうね。村だと5人の子供でも普通くらいだったから、9人位欲しいのかな? どのくらいが子だくさんなのか解りませんが、条件がそれくらいなら問題ないでしょう。さて二人そろって代官屋敷へ。エイミーさんの書類を受付さんに引き渡し、とりあえず伝えるだけ。
「僕たち結婚することにしましたので。」
「それはおめでとうございます。」
「ありがとうございます。後することは無いですか?」
「家の位置も解っていますので問題ありませんよ。ヘルマンさんですよね? 台帳にはきっちりと記入させていただきますので。」
「解りました。」
「家はまだ無いんじゃ無かったんですか?」
「まだないんですよ。今作ってる最中なので。もうすぐ出来上がると思うんですが。」
「そうですねえ。そろそろ出来上がると思いますよ。ヘルマンさんの所は8つ分だったので4階建てになるでしょうし、他の方々よりも少し時間がかかってますね。」
「…? どういうことですか?」
「ヘルマンさん…? まさか説明していないんですか?」
「していないですね。それ抜きで結婚してほしかったので。」
「まあ、全部話す方が稀なのでいいんですが…。エイミーさん、ヘルマンさんは騎士爵を持っていますので、今屋敷を作っている最中なのですよ。」
「騎士爵⁉ …あの、本当に結婚してもいいんですか? 私、畜産農家の娘ですよ?」
「いいんですよ。普通の価値観を持った人が良かったので。特に金銭感覚ですね。錬金術師だと出ていく方もそれなりに多いので。」
「お店は錬金術のお店ですか⁉ 私やっていけるんでしょうか?」
「お店は繁盛しないと思いますよ。錬金術のお店って普通の人が入るところじゃ無いですよね?」
「…それはそうですが、使用人なんかも雇うんですよね。私、貴族らしくできるかしら…。」
「貴族らしさは求めていませんよ。普通に行きましょう。生活がちょっと貴族寄りになるだけですから。」
「ヘルマンさんも結構な無理を言いますね。貴族様の奥方になるんですから緊張もするものですよ。」
「…まあ、その辺は条件に含めてないので僕は問題無いですね。ちょっと身なりに気を付ける位でいいんですよ。」
「…解りました。これも何かの縁です。この話は進めてください。」
「解りました。ヘルマンさん、お屋敷の場所を教えておいてあげた方がいいですよ。畜産農家だと南側の家になるでしょうし、また明日にでも案内してあげなさいね。」
「解りました。明日の朝少し過ぎたぐらいに代官屋敷の前で待ち合せましょう。いいですか?」
「はい! よろしくお願いします。」
そんな訳でエイミーさんと別れました。明日が楽しみですね。最近は僕も屋敷の進捗を見に行っていなかったので丁度いいですね。…進捗よりも婚活を頑張っていたので。何日くらい婚活してただろう? 20日位かな? もう少し短かったような気がするな。まあ、決まったんだしいいよね。エイミーさんいい人だったし、普通の人だと思うんですよ。160㎝位でかわいい系。見た感じ上の中位の容姿だと思います。磨けばね。あのくすんだ赤色が輝くだけで印象はかなり良くなると思うんですよ。
そんな訳で次の日の朝。代官屋敷の前に来ましたよ。時刻は朝の2時くらい。遅れない様に来たつもりでしたが、待たせてしまいましたね。早く着いて置きたかったんですが。
「すみません、待たせました。」
「いえ、殆ど待っていませんので。今日はよろしくお願いします。」
「はい、こちらこそ。それじゃあ行きましょう。」
家の方に向かって歩く。…手をつないだ方が良かったんだろうか? 解らんもの、しょうがないじゃない。恋愛に疎いんだから。結局結ばずに到着しました。…基礎と柱だけだったのがもう完成まぢかになっている。少しの間、見なかっただけなんだけどなあ。思ったよりも建築スピードが早い。
「大きな家ですね。」
「まあ、4階建てですからね。多分僕たちは4階で生活することになると思います。使用人の方が上の階で寝るのは不味いと思うので。食事は1階でしましょう。厨房なんかは1階にあるはずですから。」
「色々と大変なんですね。使用人は何人くらいを考えているんですか?」
「料理人1人と執事を1人か2人、メイドを3~6人雇う予定です。…まあ、彼らの仕事は屋敷の維持管理が主になるでしょうし、素材の扱い方も覚えて貰わないといけませんね。スケルトンで事足りるんですが、保存瓶の補充は頼まないといけないと思いますので。…雇いたい友達がいるなら言ってくださいね。採用しますので。特に料理の才能持ちは優遇しますよ。」
「本当ですか⁉ じゃあ友達3人をメイドに雇います。色んなところで見習いをしているはずなので、引き抜いても大丈夫なはずですし。…料理の才能持ちはいなかったと思いますね。」
「別に3人でなくてもいいんですよ? 余裕は十分にあるんですから。執事とメイドを合わせて多分8人位まで雇えますから。料理人入れて10人までは使用人用の部屋があると思いますので。」
「いえ、誘える友達は3人くらいしか居なくて…。畜産農家だと遊べる友達も少なかったんです。食料生産の仕事には、領主様からの補助があるんですが、それを受けているんです。なので受けていなかった子供たちとは余り仲が良くなくて…。」
「そうなんですね。そう言うのに子供は敏感ですからね。親同士が仲が悪かったり何か空気が悪かったりすると自然と離れていくんですよね。」
「なので誘いたいのは3人だけです。…お給金はどのくらい払うんですか?」
「年に大白金貨6枚で雇う予定です。…少ないですか?」
「多いです! 普通の人たちは年に小金貨で生活しています。それから税金も取られるんですよ。明らかに過剰です!」
「多分、この領都を僕が発展させていくので、景気が良くなると思うんですよね。その位払っても問題ないくらいは貴族年金が出るんです。知ってますか? 貴族年金は税金を引いて年に大魔金貨5枚なんですよ。これを使い切るくらいで無いといけないんです。…領都の経済を回すために。」
「貴族ってそんなことも考えないといけないんですか?」
「そこまでしろとは言われませんけどね。身なりを気にしたり装飾品を買ったりとお金を落とさないと町の人のお金が増えないでしょう? お友達にもお金は気にせず使ってくださいと言っておいてくださいね。僕らだけじゃ、大魔金貨5枚は使い切れないので。」
「…解りました。でも、強欲に呑まれそうですね。」
「そうなんですよ。7つの大罪はかなり迫ってきますよ。僕も傲慢に呑まれかけた事がありますからね。大変ですよ。大罪を振り払うのは。」
「解りました。その辺もしっかりと釘を刺しておきます。」
「はい。…それじゃあ少し中を見てみましょう。親方ー、中に入ってもいいですかー?」
「お前さんの家だ。良いに決まってるだろ。後は細かいとこだけだ。4階まで上がってもいいぞ。」
「でも親方、途中から随分早くなってないですか? 20日位前までは柱と梁を設置して壁を打ち付けている段階だったじゃないですか。」
「お前さん以外の3人のとこが終わったから人員をこっちに回してもらったんだよ。5日位前から作る速度が上がってんぞ。俺と同じく指揮がとれるのが4人になったんだ。早さも4倍以上にはなろうて。」
「そういう事でしたか。後どのくらいで終わりますか?」
「今日入れて3日で終わる。できたら代官屋敷の方に報告すっからな。その後は細かいとこ弄んだろ? 錬金術師様だからよう、弄んのも得意だろ?」
「まあ、これでも黎明派ですので、弄るのは得意ですよ。水道を通したり、色々としたいんですよ。家具なんかも最低限で大丈夫ですからね?」
「その辺は要望通りだ。必要なもんは自分で作るって聞いたからな。俺らが作ってるのもガワだけだ。ある程度、必要最低限と思うもんは作ってるがな。」
「それで十分です。畑の方も整地してくれたようですし。」
「そっちは錬金術ギルドに依頼したがな。こっちのも平らにするんだから一緒にやって貰った。後は井戸もいらんのだったよな。自分で掘るんだよな?」
「そうです。店を作るときに一緒に作ってしまう予定です。その他細かいところまで弄り倒す予定でいますから。」
「なら問題ねえ。こっちも仕事だから手は抜いてねえ。簡単な所は冒険者共にやらせたが、技術がいるところはしっかりとやってるから安心しろ。」
「その辺は信用しています。じゃあ、中を探検させて貰いますね。」
「おう! 奥方もいいのを貰ったみたいだしな。幸せにしてやれよ?」
親方とは色々話し合った仲だからな。暇なときに良く見に来てたもんな。レイドの合間に。それから婚活だったから暫く来てなかったが、中々に立派な作りになったもんだ。
「中々にいい感じだね。」
「2階以上があるなんて、怖いですね。落ちたりしないんでしょうか?」
「その辺は大丈夫だと思うよ。まあ、後で強化もするけどね。それに色々と便利にする予定だからさ。水道って言って井戸から水をくみ上げないでもいいようにしたり、お店と畑も作るからね。ちょっとした庭みたいにする予定だから。」
木も土みたいに弄れることは解っている。土属性の魔石じゃなくて風属性の魔石を使うんだけどね。なんで風属性なのかはよく解っていないが水道を通すだけなら余裕だよな。土も一杯用意してきたぞ。コックス大湖の土だけど、何処の土でも一緒一緒。魔境の土が一番手頃に肥えた土が手に入るからね。知らんけど、元に戻ろうとするんだよ、魔境はさ。井戸みたいに大分固めたら結構もつらしいんだけど、土を取ったくらいだと知らない内に平らに戻ってる。これは魔物の攻撃でえぐれても一緒だ。何か魔力的な何かが働いているんだろう。その辺は知らん。黎明派の領分では無かったし。何処の派閥か、もしくは外部の機関かもしれんな。公爵とかが調べてるんだろう。それと辺境伯も調べてそうだな。特に西の辺境伯は絶賛大魔境を開拓中なんだ。調べておかないと魔境に戻ってしまうからな。
今日入れて3日でできるっていうし、人を雇うっていう求人票もださないといけないな。…伯爵の所から執事かメイドを引き抜けないかな? 代官屋敷で聞いてみよう。見習い執事か見習いメイドが1人いるだけで円滑に回る様になるだろう。さて、家ができるまでも色々やることがありそうだ。とりあえず、領主様の所にいる使用人も沢山いるだろうし、引き抜いても問題なかろうて。交渉するのに領主様に会わないといけないんなら面倒だけど、代官屋敷から紹介してもらえばいいんだし。そんな訳で、エイミーと内見しながらああでもないこうでもない言いながら屋敷を見て回るのだった。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。