85話 16歳 くじ引き婚活
OFUSE始めました。
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魔境の高波が凪ぎに変わる季節。ケルピーもラグーンウルフも出なくなって商売上がったりですよ。どうも、ヘルマンです。魔境が沈静化してしまいました。もうレイド出来ないね。懲りずに7日に1度、お金をばら撒くためにレイドを起こして来ましたよ。守銭奴の気がある僕がわざわざ赤字になるようなレイドを行ってきた成果が少しだが出てきたんだよ。
…まだ酒屋ばっかりだが、つまみのレベルは上がって来たんだよね。まあ、まだまだだけどさ。でも食い物屋も冒険者の景気がいいから材料をふんだんに使った料理が増えてきた。気に入ったのはオーク肉とトマトのアヒージョみたいなもの。海産じゃないアヒージョって前世のイメージが余りなかったんだが、これは美味い。ユガルヒの種油に香りと辛みの香辛料。それに浸かるオーク肉の赤身が本当に美味い。これが料理の才能の本領発揮かとでも言いたいほどには美味かったね。ちゃんと粉にした香辛料を使っているようだ。冒険者たちのお酒が進んでいた。…僕は飲まないぞ。そう誓ったんだから。でも、酒が進むのも解る、そんな味でした。
レイドも結構な規模になったんだよね。最終的には毎回500人位来てたかな。その人たちに中白金貨を5枚ずつ配っていた。…収支は若干の赤字。ばら撒きたかったんだけどさ。守銭奴のヘルマンがさあ、5枚にしかしないんだもん。ちょっとくらいいいじゃないねえ。毎回参加している人も居たんだろうなあ。というかルカさんやジュリオさん、マウロさんも参加してたんだよ。…あんたらは開催する側に回るんだからね? ちゃんと参考にしてくれよ。
…ジュリオさんは盾使いだから無理だって? 鉄迎派を舐めて貰っちゃあこまります。ブレードシールドという盾の先に剣先をくっ付けたような盾があるんだが、それだと盾使いの才能の範囲内なんだな。斬った張ったができる盾もあるんだ。…地面に突き刺して耐えるという使い方が出来なくなる代わりに攻撃に転じれる盾があることをジュリオさんに伝えたら早速作って貰ったらしい。ばっさばっさと倒せるようになったとお礼を言われた。盾使いの希望の星なんだからな。頑張ってくれよ。…まあ僕は黎明派なんですが。
黎明派は黎明派らしく、都市開発に勤しむことにしましょうね。…できることは無いんですよねえ。代官屋敷で働く位でしか貢献できんだろうね。まあ、店を構えるので無理なんですが。それよりも嫁さんを見つけないとなあ。この世界、人間は20歳で結婚してないと行き遅れと言われるんだよね。家ができて、新年祭があって、17歳になるわけですよ。ちょっと焦ってきますよねえ。どんな嫁がいいかって言われたら解らんとしか言えんのよなあ。前世の僕は結婚してたらしい。…尻に敷かれてたようですが。そう言う嫁は辞めておけと言っているんだよなあ。でも尻に敷くような嫁がどんなのかは解らんとしか言えんわけで。とりあえず、料理の才能が星1つ以上であればいいような気はします。…散財する人は辞めましょうね。収入を当てにするような碌でもないのは嫌だ。ちゃんとお店を手伝ってくれる人がいい。
そんな訳で、代官屋敷の旦那募集欄を見ているわけなんですが、盛ってる人が多そうなイメージだ。絶世の美女だと書いてある物もあれば、スタイルに自信ありと書いてある物。絶対に盛ってるだろう。見えた地雷は回避しましょうね。赤は駄目。今の時期に残っている赤は性格に難がある場合が多い。青も辞めた方がいいよなあ。盛ってる人は青い色が多い印象。普通の色と黄色は情報量が少なすぎる。仕事しか書いてなかったり、年齢しか書いてなかったりまちまちなんだけど。名前と何処で会えるかはちゃんと書いてあるけど、もうちょっと何か書くことはなかったのかな? 選びようが無い訳ですよ。これは待った方がいいのかもしれない。
しかしなあ、書いて待つってのもいい人が来にくくないか? くる奴は金目当てか地位目当てになるような気がするんだよね。錬金術師よ? 騎士爵よ? もろに赤色だよ? 急いでる人たちがこぞって来る未来しか見えない訳で。自分で選んだ方がいいような気がする。狙い目は普通の色。黄色以上は仕事が上手く行っている証拠。店を手伝ってくれそうな人はいないよなあ。今の仕事を続けたいって言うような気がする。じゃあ普通の色かな。うーむ、これ殆どくじ引きみたいな感じなんだけど。名前と仕事場、会える場所しか書いていない。とりあえず、一回引いてみるか。…これにしてみよう。
「すみません。これ持って行っていいんですよね?」
「はい構いませんよ。合わなかったり会えなかったりしたら、戻しに来てください。」
「解りました。」
そんな訳でとりあえず選んだこの1枚。名前はシンディさん、仕事場は自由市、会える場所は自由市。行商に出ていることあり。野菜売りをやっている。書いてあることはこれだけ。…自由市で探すのか。まあ、とりあえず行ってみるか。
そんな訳でやってきました自由市。さて、シンディさんは何処だろう? 野菜売りだから食品関係の場所で聞いてみよう。
「すみません、野菜売りのシンディさんは何処にいるか知りませんか?」
「シンディ? 知らないねえ。野菜売りならもう少しあっちじゃないかい?」
「ありがとうございます。行ってみます。」
野菜は向こうか。さて、今日はいるのかな?
「すみません、野菜売りのシンディさんは何処にいるか知りませんか?」
「シンディならこの子よ。シンディ、お客さんよ。」
「私? …ああ、代官屋敷からね。歳は幾つ?」
「16です。」
「あー、年下なのね。年上がいいのよ。じゃあね。」
「あ、はい。」
野菜売りのシンディさんはバツと。年上がいいならそう書いて置けばいいのに。あと自分の歳も。本当にくじ引きだな。これは難しいな。まずは付き合える人を当てないといけないのか。もう少し、情報を書いておいて欲しいな。テンプレートとか作って欲しい。…難しいな、テンプレ。求めるものが違いすぎるもんな。僕だととりあえず、料理の才能持ちがいい。それに対応したテンプレを作るのは簡単だが、項目が多すぎても迷うな。書く方も大変になるし。特に才能なんかは10個持ってる人は全部書かないといけないのかってなるもんな。まあ、とりあえず、他にも会ってみましょうね。
そんなこんなで数日が過ぎました。挫折しそうです。書いてない内容でアウトが多すぎます。例えば年齢、年上年下がいいで却下されること4回。若干ぼろくなってきている服を見て貧乏そうだと言われること8回。身長がもう少し低い方がいいと言われること2回。高い方がいいと言われること4回。何も言わずにパスと言われること3回。そもそも出会えなかったこと9回。30回行ってみた結果がこれです。服のぼろいのはわざとです。金目当ての人避けですね。身長はどうしようも無いですね。これでも平均よりはあるんですが、まだ高い方がいいんですか? 歳もどうしようも無いし、心が折れそうなんですが。…まあ、まだ家は出来ていないですし、11月の半ばだしね。もう少しで12月ですか。家ができたら先に店を作った方が良さげですかね。家ができるまでは頑張りましょう。
ともかく、端から攻めて行っている感じ。もう内容よりも数で勝負してます。次はこれにしましょう。これはまだ取って無いはず。えっと、ジーンさんですね。場所は自由市ですね。鍛冶見習いさんみたいです。とりあえず、行ってみましょう。
「お金を持ってなさそうだからパス。」
「あ、はい。」
金持ち至上主義者でしたか。まあ、僕もパスですね。さて、次行ってみましょう。もう慣れました。最初は心に来るものがあったんですが、もうどうでも良くなってきました。代官屋敷に戻ってきまして、次はーっと、これにしましょう。ジョアンナさんですね。場所は南通り東3番通りの服屋さんのようです。店をやっているんじゃなくて工房なだけでしょうね。因みに服飾見習いのようです。さてさて、今度はどんな人かなあ。
「服がなってないからパス。」
「はーい。」
服は金持ち感を出さないために少し古いのを着てますからね。服飾見習いとしては駄目だったのでしょうか? 相手を着飾ればいいんだからお金の理由としてあげただけの気がしますね。さて、次行ってみよう。…黄色も行ってみようかな。これにしよう。イルダさんですね。魔術師ギルドの職員みたいです。早速行ってみましょう。
「何処に住んでるの?」
「今は宿暮らしです。」
「冒険者? それならパスね。冒険者は嫌よ。」
「はい。」
よく解らんかったけど、本当の事を言わない方がいい気がしたので僕もパス。話ができる人に当たりたいです。他の人もこんな感じで何回も会うんだろうか? 気が滅入るなあ。町の人は僕が思っているよりも強いのかもしれない。…精神的に。この後は無しの礫であった。そもそも会えない人もいたもんね。結婚相手を探すのは難しいです。
面白かった面白くなかったどちらでも構いません。
評価の方を入れていただけると幸いです。
出来れば感想なんかで指摘もいただけると、
素人読み専の私も文章に反映できると思います。
…多分。