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【書籍化】転生少年の錬金術師道  作者: ルケア
錬金学術院編

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82/201

82話 15歳 12月14日 ゼミの日、卒業

 5番棟0304号室からおはようございます。今日は3年生の12月の14日、僕の最後の豊穣会です。今回は何も報告することはありませんが、挨拶はしておきたいからね。しかし、錬金学術院でも色々あったなあ。錬金蒸留器を作ったことで2年生になった時に黎明派の授業が変わった。10月に錬金蒸留器作りが追加されたのだ。これの効果は技の領域になると絶大だからな。造命派と鉄迎派から礼金大魔金貨25枚ずつ出た。それ以外にも、報奨金が大魔金貨250枚出た。…両方とも僕の取り分だけでだ。これで破産する未来が全く見えなくなったが、傲慢さんがブレイクダンスを踊っています。


 他にも夏場はミズチ、スティナラニアの討伐に精を出していた。オーモンド伯爵領の領都にもコックス大湖という魔境に隣接しているという。そこにもミズチ、スティナラニアが出るのだ。そこで倒すように練習がてらレイドに参加していた。ミズチならソロでもいけると思うんだ。横やりでだが、何度か倒させて貰った。スティナラニアはレイドだよなあ。こっちは倒すのに30分はかかるからな。倒すためにタイマンにしてくれる他の人たちが必須だ。だからやるならレイドだ。僕だけでもスティナラニアは倒せる手ごたえはあるんだ。周りの露払いをお願いしたいところ。出来れば一緒に戦ってくれる人がいればいいんだがな。特に盾使いの人。盾使いがいるだけで倒す難易度が全然違うからな。タンクのありがたみを知った鉄迎派とのレイドでした。


 後は道具・装備もばっちり作った。錬金釜はそのまま、魔布は本刺繍をした。魔杖も最高品質の全属性にした。錬金蒸留器も持った。剣は最高品質の土属性の魔石を使った属性魔銀で作ったブロードソード2本、最高品質の魔石を使った魔金のブロードソード2本、最高品質の土属性の魔石を使った全身鎖帷子。これだけあれば魔境で十分に戦っていける。鎖帷子は全属性と迷ったんだが、水属性の魔境で活動するなら土属性の方がいいという事で作った。火属性も混じるからそれなら魔金の方がいいと言われたんだよ。全属性にもデメリットがあるんだなと思った。魔金の武器は万が一の戦争用。使わないとは思うんだけど、王都の鍛冶屋の方が腕がいいんじゃないかという考えで作って貰いました。無駄になってくれた方が良いものなんだけどね。


 後準備したものといえば、スケルトンかな。とりあえず、500体合体の物を20体用意しました。色んな人にケルピー1体とゴブリン50体で交換してもらったものだ。ケルピーの死体などいらぬ。ゴブリンの死体の方が使いやすいし、強化が出来ないからね。維持費がかからない労力として快命草と魔力茸を育てる予定なのだ。…魔境の側なら魔力茸の栽培もできるぞという事で、教えて貰った。なるべく魔境に近い方に住んだ方がいいとの事だったので、その辺は考えよう。


 技術としては、精霊樹の苗木を魔杖用にするんじゃなくて、普通に育てるんだってさ。そうすると、魔境の側なら魔力茸が取れるとの事だった。ついでに水たまりを作っておけば水泡茸も取れるって事なので、畑に川を通そうと思っております。アルキメデスの螺旋を使った空中庭園でも作るか。キノコ類は日光はいらんし、日陰でオッケー。快命草は流石に日光が必要だ。精霊樹の苗木も20日位で最大の大きさ、10m位まで育ってくれるんだってさ。だからその辺は色々と考えております。でもまずはさっさと騎士爵になっておいてからだね。暫くは宿暮らしの予定です。貴族様に相応しい建物に住まないといけないから、始めから家に住んだって直ぐに引っ越ししないといけないからね。とりあえず、家を建てて貰ってから自分で改造して、庭も作って、店も作る。そんな感じで1年くらいは宿暮らしかな。…家を建てる速度を知らんのだけど、夏に貴族になるとして、冬場に家が出来ればいい方だよな? 荷物はエクステンドスペースに入れられるんだからもっと早いかもしれないけど、その時はその時だよな。


「さて、時間だな今年最後の豊穣会を始める。まずは私からだな――――――」


 豊穣会がいつも通りスタートした。人数は特に増えなかった。5年に1人か2人入って来るだけとの事なのでこんなもんらしい。後輩は出来なかったな。残念だ。…まあ、僕もゼミに残るんじゃ無くて出ていくんだけどね。その後は治水の話が主に進んでいた。螺旋や歯車が画期的だという事で、治水の効率がかなり良くなりそうだとのことだ。今は構想をある程度まとめたので、実験場の確保中らしい。水車も紹介したんだ。今まで無かったんだって。有ってもよさそうなのにね。農家の才能や錬金術のせいでその辺は進化しなかったんだろう。車輪があるのに水車が無いのは変な気がするんだが、この世界はそんなもんなのかもしれない。そんなこんなと進んで行って話すことが無くなったので僕の話へ。


「それにしてもヘルマン君が来てからは長かったように感じるな。」


「そうねえ。色々と発見したものね。今は治水が熱いわね。」


「然り然り、早い所実験場を確保したいのである。」


「作物や料理に関しては始めだけだったわねー。2年生になってからは美味しいものも色々と食べさせて貰ったけど、新しい種なんかは見つけてないものねー。」


「流石に植物の改良は3年では無理でしょう。幾ら月に惹かれていると言っても。粉にすると色々見えてきたってだけでも十分に快挙ですよ。」


「まあ、俺としては自分の所の領を選んでくれただけで嬉しいがな。この会で作った作物が沢山ある町だから、そっちでも料理を堪能してくれや。」


「オーモンド伯爵領は食べ物には困らないだろうし、ヘルマンには丁度いい領地よね。」


「しっかし、やることといえば鉄迎派と言っても遜色ないことをやろうとしてるんだからな。」


「そうね、ミズチ討伐をやるんでしょ? こっちでもレイドで倒してたみたいだし、問題無いだろうけどね。」


「防具まで準備しているのであるな。冒険者ではあり得ない程の充実ぶりなのである。…王都の鉄迎派も盛況なのである。」


「鉄迎派はなあ。購買の買い占めの件で、造命派と一緒にとっちめられたからな。鉄迎派は魔境に、造命派は霊地に旅立って行ったぞ。」


「まあ、どっちの派閥も魔石が大切だもの。暫くはこのままよ。…造命派はずっとかもしれないけれど。」


「造命派もなあ。本格的に自分を作るって言ってたやつもいたよな?」


「ああ、…腕を切り落とすんだろ? よくやるもんだよなあ。」


「え⁉ 自分を作るのに腕を入れるの⁉ 髪の毛とかで良くない?」


「その辺は完全に造命派の領分だな。流石に解らない。」


「あいつらも行くところまで行ってる奴はいるからな。四肢を切り落とすくらいはやるだろうな。」


「結局は永明派以外には風を吹かせたわねー。永明派は無理だったけどー。」


「…永明派が活性化するのは不老不死の薬が出来た時くらいでしょう。流石に無理かと。」


「1500年ぶりに授業の内容も変わったし、他の錬金術師も公開された情報を逐一見ていればいいんだけど。」


「その辺は噂だけだな。数年に1回は情報更新をしているみたいだぞ。…長命種の場合はもっと長いかもしれんが。錬金術ギルドに領内にいる錬金術師には伝えてくれって書は出したからな。多分俺の所の領では伝わってると思うんだがなあ。」


「流石に情報を何も更新しない錬金術師はいないでしょ? 辺境伯領は広いから知らないけれど。」


「辺境伯領は領都でなくとも核となる都市には錬金術ギルドがあるのである。流石に何十年も錬金術ギルドを利用しない錬金術師は…幻玄派は解らぬな。今が熱狂していることも知らない可能性があるのである。」


「あそこは霊地から出てこないって話だもんね。まあ、それ以外には伝わるでしょ。」


「まあ、私たちは情報の伝達よりも錬金蒸留器の新たな使い方も模索しないといけないからな。」


「まあね、技だけしか使えない訳じゃ無いんだし、特性が変わるかもしれないものね。」


「まあ流石に錬金釜に錬金蒸留器は無理だったがな。ヘルマンが錬金釜の劣化って言ったのも当たってるかもしれないな。」


「でも、技になる条件は判ったんだし、またそのうち誰かが何かしらを考えるでしょ。」


「…自分じゃないことは確定してるって言い方ね。」


「また月に惹かれたものを待つのよー。私には思いつかないものー。」


「また長いことで。私の生きている間には無理かなー。激動期は今だろうけど。」


「激動期に生まれた方が運がいいだろう。…停滞期はつまらんぞ。」


「ちゃんと切り取れたし大丈夫よー。技にまで到達するなんて思ってもなかったけどー。」


「まあ、それよりもヘルマンのこの先よね。また何か思いついたら報告書を出しなさいよね。錬金術ギルドに豊穣会宛てで出せば届くんだから。」


「町に出るんなら結婚するんだろうが、人はちゃんと選べよ。後悔しないようにな。」


「あら、アルベルトは後悔してるの?」


「いや、していないが…俺も15人位とは会ったからな。…酷いのは酷いぞ。金しか頭に無い奴とかな。選べるんだから選んだ方がいい。」


「旦那選びはそんなに苦労はしなかったなー。これだと思った旦那がいたから。…始めはハーフリングか人間か解らなかったけど。」


「デボラの旦那は例外よ、例外。人間と遜色ないじゃない。歳を聞いて初めてハーフリングだって解ったくらいだもの。」


「人間の婚期は短すぎるのである。20になるまでなぞ短すぎるのである。」


「鱗竜人は300歳超えないと子供が出来ないものね。それくらいに見つければいいんだし。エルフも早く産めるけど、結婚は遅いわね。」


「…結婚の話は耳が痛いのでもうやめて欲しいです。」


「ですです。もうそろそろ相手を見つけないといけないのです。」


「獣人族も50かそこらで見つけるんだったか。マーサはまだまだだな。」


「結婚の話はお終い! これ以上私の心を抉らないで!」


「マヌエラはなあ…出戻りだもんな。」


「しょうがないでしょ? 寿命が早すぎたのよ。子供がいるだけいいわよ。…1人だけだったっけ?」


「そうよ…3人は欲しかったんだけどなあ。」


「冒険者と結婚したからでしょ。魔境でぽっくりと逝ったものね。」


「あの時は荒れたのよね。…もう忘れなさいな。」


「重い話は止めてやれ。ヘルマンの旅立ちの前なんだからよ。…そういやいつ出るんだ? 新年祭には出んといかんだろ?」


「明後日の予定でいます。領都オルソンまでは15日を見ておけばいいんですよね?」


「ああ、2頭立てならそんなにもかからんけどな。最速で8日だ。町も飛ばすんなら5日でつくが、急いでも仕方あるまい? どうせ7,8,9月でないとミズチも出ないんだからよ。」


「日付もここ程意識もしないのであるな。凡そで見ておいていいのである。暑くなってきたら出ると思っておくのである。」


「錬金術ギルドがあるんだし、問題ないわよ。錬金術ギルドでも一応日付の管理もしているのよ?」


「意識はしないだろうけどね。そろそろだと思ったら聞きなさいな。魔境で探すよりは確実よ?」


「まあ、ここの皆もヘルマン君の活躍を祈っているよ。」


「そうよー。楽しく生きなさいねー。」


「はい。楽しんでいきます。」


 そんな感じでお別れも終了。明後日出ていくのに荷物の整理を明日で終わらせる。…『エクステンドスペース』に放り込むだけなんだが。こっちの世界は引っ越しは便利だよなあ。忘れ物があっても、新入生が使うだろ。増えたけど、何を増やしたかまでは覚えていないものもあるからな。椅子とかは増やしていないけど、棚とかは勝手に作った物もあるからな。シャワーヘッドはちゃんと回収したけど、後は何か回収漏れはあったかなあ。そんな訳で楽しくお喋りしながら別れを惜しんだ。豊穣会は楽しかったなあ。食事の改善も自分の周りだけはある程度改善した。料理の才能は無いけど、料理が作れない訳じゃない。美味しいものは結構食べたつもりだ。…食べ専だった前世を恨みたかったがな。食べたくても作り方が解らないのはしょうがないじゃん。カレーも食べたかったんだけど、スープカレーにしかならなくてさ。あのとろみが出ないんだよ。どうやって出すんだろうね? …まあ、米が王都に入ってきていないせいでカレーライスにはどうやってもならなかったがな。

面白かった面白くなかったどちらでも構いません。

評価の方を入れていただけると幸いです。

出来れば感想なんかで指摘もいただけると、

素人読み専の私も文章に反映できると思います。

…多分。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あらら、いろいろネタになりそうな物あったのに学生変終わりか残念
[一言] ふと思ったのだが、蒸気機関の簡易的な物を作った方が水車や石臼等々の動力には良さそうな気が。錬金術で簡単に作れそうだし、スライム燃料はたくさんあるのだから。 もしくは、スケルトンの腕だけとかた…
[一言] ヘルマンくんご卒業おめでとうございます。 お嫁さん探す?ご縁待ちして採取に討伐に精を出す? 押しが弱そうなので聖女になったお姉ちゃんみたいな 方に押し掛けられてうっかり嫁にしたら 後悔しちゃ…
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